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第4話 のんびりと一人暮らし

とりあえず、毎日やることを考えた。

目覚めたら、駆け足30分。そのあと朝飯。足ダンと猫手の訓練。

手は、普通の大きさの猫の手、大猫の手、ライオンの手の3つが使い分けられる。


昼飯の後は、昼寝。

 (カメさんは追っかけてこないよ!)


そのあとは、食料探し。生きてゆくためのサバイバルが仕事だよ。

「肉よ出ろ!」なんて、都合のいい魔法は無い。


合間があれば、魔法の練習をする。まだ、制御がうまくできない。規模が大きすぎたりしょぼかったりで。

ひいらぎの魔導書をタブレットにも入れてきたのだが、タブレットは機能しなくなった。やはり、電子機器は機能しなくなるようだ。


ちょっと厚めの『ひいらぎの魔導書』を開きかけたが、止めた。

ここまで来て、活字は当分見たくない。


どうやって、火を点けたかって?。サバイバルの初歩。乾いた木と木をこすり合わせて、摩擦熱で発火させるのだ。ファイアボールじゃないよ。ちゃんとサバイバルの基本をやってみた。



この星10日目。


今日は、あの丘に行ってみよう。西の方へ2時間ほど歩けば辿りつけるところ。あそこに行けば、もっと広い範囲で眺めることができそうだ。


目の前には、大きな道があったように思える直線の視界が続いている。

よし、ぴょーんぴょーんと。

毎日、ウサギ走法を練習していたので、思ったより早く30分で到着した。


少し西に、大きな河が流れていた。右の方から海に注いでいる。

もっと右には大きな山脈が見える。あの山脈と、この河の名前を付けよう。

広大な肥沃な平野を縦横無尽に流れている姿を現す名前、グレイス河と名付けよう。

そして、ずっと西側には森と山が連なっている。


南方、遠くに見える海までは、幾重にも山並みが続いており、50キロメートルほど先には水平線が広がっている。東の方は、草原とブッシュだ。意外と東の方は平野部なんだ。北の方は草原や森に続いて、遠くに山が見える。


村や町はもとより、人の住んでいる様子が全くない。

どこまでも広がる緑の大地と青い海には、文明の兆しは全くない。

がっくりと僕は、立ち尽くした。僕の一人ぼっちが確定した瞬間であった。


最悪のサバイバルだ。甘く見すぎていた。セバスの言うことを聞いておけば・・・。

通信機は役立たず、連絡の取りようがない。50年先の救助までは、とても耐えられない。


力なく僕は、とぼとぼと拠点に帰った。

そして、しばらく何もする気が無く、呆然とした日々が続いた。


この星15日目


無人の領域でサバイバルをやろうと、思惑通りではないか。

ひいらぎの魔導書を片手に魔法を唱えてみるが、自己満足と一人芝居の域を出ない。やっぱり歓声が欲しいかな?。


15日目で、もうギブアップかよ。情けない。


でも、このままじゃ、だめだ。


(ルーレットよ!。

あの、一家襲撃事件と再興の日々を思い出せ!。絶望に甘えるんじゃない!。

お前は宇宙を制覇したルーレット・カガクじゃないか!)



そして、今日から僕は積極的に周囲の調査に出かけた。

そう、太陽が昇る方向へ。廃ビルの成れの果てである小高い森や草原を超えて、2時間ぐらい歩くと帯状に続く砂地に辿りついた。きっと道路だったところと思う。足が埋まるのでちょっと歩きづらい。ひたすら歩いても文明のかけらもない。太陽が真上に来たので、昼飯にした。

ここでUターンしよう。


今日は、拠点から20キロメートルほど東に行ったところの、廃ビルと思われる小山に来ている。

周囲を見たところ、文明レベル6ぐらいの廃墟のようで、あの崩れ具合だと数千年は経っているのだろうか?。

さて、このビルを探検してみよう。何か使えるものがあるかもしれない。


2階から上の床がすべて崩落して積み重なっていた。結局、一階部分しか探検するところはなかった。家具らしきものも、ドアも朽ちて土にかえっていた。もちろんスマホやコンピュータの類、集積回路などもない。お手上げだ。表に出て、他のビルを覗いてみたが似たり寄ったりで、電気機器はなかった。でも、ガラスや銅線など風化が遅いものは少し有った。いずれ利用することがあるかな?。


交差点らしきところの横に、下る坂が見える。きっと地下鉄の跡だろうか?。今は埋もれている。

道の脇は、廃ビルの小山が点々と続いている。


おぉ・・。これはカボチャだ。

小山の陰に、緑豊かにカボチャの蔓が伸びている。ヘタがコルク状になって熟しているものを3個ほど取って、リュックに入れた。

カボチャは2週間ほど日陰におくと、美味しくなる。



動物はというと、草原にウサギや、イノシシの掘った跡や、蛇。空には鳥。梢には鳥が止まっている。種類はわからない。バッタや蝶の類も結構居る。


細菌とか見えないほど小さなものは、どうかと思っても確認する術がない。


川には魚が居たよ。カエルやミミズのようなものも居た。

木や草も種類がたくさんある。


魔物やモンスターなどの類に遭遇したことは無い。居るのだろうか?


まずは、食べることができる食材を探すことだ。

ニンジン、パセリ、小松菜、大根葉、ルッコラなどなど野菜。それにお肉。


僕は、ウサギに似ているからってウサギではないよ。まあ、進化の過程でウサギが混じっているのかもしれないけど。


エネルギを効率よく摂取するには、肉は欠かせない食材だよ。

で、肉はウサギ。おいおい共食いじゃないかって!。それは先にも言ったよね。

僕は、ウサギに似ているからってウサギじゃないよ。ってまた言っちゃった。

ウサギは、この辺の原っぱにたくさん生息している。


僕も走るのは得意だが、野生のウサギには勝てん。よって、落とし穴を作った。

鼻歌交じりで、ウサギの通り道を探す。まあすぐに見つかるが、巣穴に近い方が成功率が高い。

翌日、10か所の罠を見ると、3匹かかっていた。早速、瞬殺して解体、肉片となった。

今晩は、ウサギの肉とニンジンでバーベキューだよ。



気ままに過ごしていたら、この星30日目になった。

わくわく感もしぼみ、倦怠感、疎外感、絶望と暗くなっていた。


このままじゃ、いかん!。名前は変えたら心機一転できるだろうか?


そうだ”フリオ・マレイ”にしよう。


身体を動かそう。頭でぐずぐず考えるより、まず身体だ。

そう思うと、なんだか身体が軽い。


いろいろ、やってみた。

足ダンは20回、猫パンチは10回、ライオンパンチは3回が限度だ。どうしてなのか、それ以上は身体がだるくなってできない。この前は、ライオンパンチを4回目に挑戦したら、気を失った。まあ、拠点の前だったので良かった?。危険な獣は来なかったよ。


後で、わかったことだが、魔力切れになったようだ。

それを知らずに、毎日練習を重ねることで、繰り出す回数も威力も増した。


衣食住の内、食と住は何とかなった。衣関係は、自力では無理がある。精々獣の皮をつなぎ合わせて作るしかない。どこかで、文明に遭遇したら入手しよう。



今日も、駆け足、足ダン、猫パンチの朝練をして汗をかいた。

甘いものが欲しい、ピリッとした香辛料も欲しい。いや、もっとも塩が欲しい。

南東に広い海のようなところがある。あそこならばきっと塩がある。50キロメートル以上ありそうやな?。毎時10キロメートルで走れたとしても、5時間以上かかるだろうか。途中、森や、岩場、小山、川などがあるので、平地を走るような訳には行かないな。


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