かつての祈りはいつかの君へ～狂王とその臣下たち～

紅の章

第１話：飛龍の騎士

七星卿の物語、その一人テオの物語を記します。

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　大陸西の果て、テレイシオス半島の南部を統べる紅の国(エカルラート)は、北部青の国(セレスト)と長年に渡り戦いを続けていた。両国は同じ騎士の国でありながら、古き遺恨から相容れず戦いを辞めることはなかった。

　紅の国の男たちは物心つく頃には剣を握る。これから語る一人の騎士も例外ではない。

　テオドロス・レグルス・ココアニス。

飛龍の騎士(ドラゴアニス・ナイト)と呼ばれ、比類なき忠誠心と強靭で汚れのない真心を持ち合わせた、史上最強の騎士の、物語の断片をここに記す。