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第二日本帝国  作者: 脇田朝洋
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第9話 自己紹介

 リナは腕時計を確認して二階の食堂にやって来た。

 中に入ると十六夜のメンバーが既に集まっていた。

 皆の視線がリナに集中する。

 リナは緊張した。


「リナ。まずは昼食を受け取って私の隣の席に座ってくれ」

「はい。シヴァ」


 リナは十六夜のメンバーに用意された昼食のお盆を受け取りシヴァの隣に座った。


「当番のアルファとルイ以外は揃っているな。ではリナの紹介をする。今日から十六夜のメンバーになったリナ・キサラギ・ファインだ。リナ、自己紹介を」

「はい。皆様初めまして。リナ・キサラギ・ファインです。日本人と帝国人のハーフです。年齢は17歳。父は昔十六夜に在籍していたコレット・ファインです。私の母方の祖父は如月グループの会長をしています。趣味はアニメです。よろしくお願いします」


 リナは十六夜のメンバーに頭を下げる。


「では十六夜のメンバーを紹介する。カインから順番に時計回りに自己紹介をしろ」


 シヴァに言われてカインが口を開く。


「私はカイン・ロード。十六夜の副リーダーです。副リーダーになって二年ぐらいです。シヴァがいないときは私がリーダー代理になりますので。ロード伯爵家の次男です。よろしく」

「はい。よろしくお願いします」


 カインは礼儀正しい感じの男性だ。

 ロード伯爵家も名門貴族でリナも知っている。


「次は俺か。俺はロベルト・シャイン。六武衆の中では一番年上になる。シャイン伯爵家の長男だ。よろしく」


 ロベルトは身長が高い。

 帝国人は元々身長は高いが2mくらいはあるのではないだろうか。


「よろしくお願いします」


「はいはーい。次は俺様ね。俺はニース・マイル。十六夜で一番のハンサムボーイだよ。実家はマイル商会でリナの如月グループとはたくさん取引きしてるよ。リナ、よろしくね」


 ニースはリナにウィンクする。

 リナは一瞬たじろぐ。


「は、はいよろしくお願いします」


 マイル商会は帝国でも有数の企業グループだ。


「ニース。冗談は顔だけにしとけよ。リナ、俺こそが十六夜で一番の美形と言われるアンディ・サバルトだ。サバルト侯爵家の次男だ。よろしく」

「はあ……。よろしくお願いします」


 リナが戸惑っているとシヴァが声をかける。


「ニースとアンディはいつもあんな調子だから気にするな。俺とカイン、ロベルト、ニース、アンディと今は皇帝警護のためこの場にはいないがルイ・オスマンという人物を含めた六人が六武衆だ」


 リナはニースとアンディも六武衆だと聞いて驚く。


 (こんな軽いノリの人物が六武衆とは意外ね)


「俺はギル・ヴァイボルト。十六夜では一番の年長者で十六夜歴も長い。分からないことがあったら聞いてくれ。実家はヴァイボルト海運会社を経営している。会社の方は兄が社長を引き継いでいる。よろしく」


 本人が言った通り40歳ぐらいに見える。

 若い人間が多い十六夜にその年齢でも在籍できるのだからそれなりの実力者なのだろう。


「はい。ありがとうございます。よろしくお願いします」


「次は俺だな。俺はデューク・イカルガだ。俺もギルに続いて十六夜歴は長い。何かあったら頼ってくれてかまわない。実家はイカルガ宝石商会を経営している。よろしく」


 デュークは温厚そうな笑顔を見せる。

 イカルガ宝石商会は上流階級の人間たちの御用達の企業だ。


「はい。よろしくお願いします」


「私はハインリッヒ・フォースです。リナのことを歓迎します。フォース伯爵家の長男です。よろしくお願いします」


 ハインリッヒは大人しそうな感じの男性だ。

 貴族の長男らしく話し方に気品を感じられる。


「こちらこそよろしくお願いします」


「次は私ですね。私はリカルド・ブラックです。ブラック男爵家の次男です。よろしく」


 リカルドは人好きのする笑顔を浮かべる。

 整った顔立ちでニースやアンディより女性にモテるような気がする。

 それにブラック男爵家は過去に何人もの優秀な武人を輩出している家系だ。


「よろしくお願いします」


「俺はイワン・ソードルート。実家はソードルート航空会社を経営している。リナの如月財閥と取引きもあるからリナのことは前から知っていたよ」

「え? そうなんですか?」

「ああ。如月財閥のたった一人の孫が武人を目指してるって聞いていたから。歓迎するよ。リナ」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」


「次は俺か。俺はケイン・バード。実家はバード銀行を経営している。如月グループとも取引きがあるはずだ。よろしく」


 バード銀行は帝国の銀行グループとしては最大の銀行だ。


「よろしくお願いします」


「俺はネルソン・リクラインだ。リクライン子爵家の次男だ。父は現在帝国の財務大臣を務めている。よろしくな」


 ネルソンは優しそうな顔をリナに向ける。


「はい。よろしくお願いします」


「最後は私ですね。私はステルス・ハイガー。ハイガー公爵家の四男です。よろしくお願いします」


 リナはハイガー公爵家の名前を聞いて正直驚いた。

 ハイガー公爵は現帝国の宰相を務める人物で先代の皇帝の正妃の実家だ。


「ステルスさんは皇帝陛下と親戚になるんですか?」

「ああ、うん。一応陛下とは従兄弟になる」

「そうなんですね。よろしくお願いします」

「これで一通り自己紹介は終わったな。まあ、一度で全員の顔と名前を覚えろとは言わないからこれから徐々に覚えていけばいい」


 シヴァの言葉にリナは頷く。


「はい。分かりました。シヴァ」

「ああ、あと今この場にはいないがアルファ・レインという者もいるから。レイン子爵家の次男だ。当番が終われば仕事場に戻って来るはずだ」

「分かりました」

「十六夜は身分も様々だが十六夜の中では皆平等だ。リナもリナ個人の成績が己の価値を決めると思って頑張れ」

「はい」

「では、食事が終わったら具体的なリナの仕事を話す」

「はい。分かりました」

「これでリナは十六夜のメンバーとなった。皆、リナのサポートをするように」

「承知しました」

「ういーっす」


 皆はシヴァの言葉に返事をする。


 その後はリナを交えて昼食を取ることになった。


「リナ。リナはアニメが好きって言ってたけどどんなアニメが好きなの?」


 昼食を食べながらニースがリナに聞いてくる。


「いくつかありますが一番好きなのは「武人〇伝」です」

「ああ、知ってる。武人の主人公がいろんな事件解決するやつでしょ。出てくる武人は美形でカッコイイもんね」


 ニースはニコリと笑う。


「はい。その主人公の男性キャラが私の推しなんです」

「へえ。リナはあんなタイプが好きなのか」

「俺もそのアニメなら見たことあるよ。日本では結構有名なアニメだよね」


 アンディも会話に加わって来る。


「ええ。日本では有名ですね」

「俺たちも武人だけど俺たちには魅力感じない?」


 アンディの甘い問いかけにリナは正直に答える。


「皆さん、武人として尊敬します。私も早く皆さんのように立派な武人になりたいです」

「いやいやそうじゃなくて……」

「アンディ、諦めろ。リナは武人になりたくて十六夜に入ったんだ。お前を武人として尊敬することはあっても恋愛対象にはならんとよ」


 ギルがアンディに笑いながら言う。


「まあ、今はそうでも恋に落ちる時は一瞬だからね。リナの恋愛対象になるべく頑張りますか」


 アンディは溜息交じりに呟く。


「くだらん話はしないでさっさと食べろ。次の当番はアンディとケインだろ」


 シヴァに注意されてアンディは自分の昼食をたいらげる。


「んじゃ。交代してくるわ。ケイン行くぞ」

「分かりました。ではシヴァ、行ってきます」

「ああ」


 アンディとケインは食堂を出て行く。


「さてそれじゃあ。私たちも仕事場に戻るか」


 シヴァはリナが食べ終わったのを見てリナに声をかける。


「はい」


 リナたちは十六夜の仕事場に向かった。

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