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第二日本帝国  作者: 脇田朝洋
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第7話 十六夜の仕事

 シヴァたちが職場に戻るとふてくされたニースが待ち受けていた。


「シヴァ。リナの荷物運び終わったの?」

「ああ。カインたちが運び終わった」


 ニースはシヴァの後から職場に入って来たカインたちに恨めしそうな視線を向ける。


「あ~あ。俺もリナの荷物運びやりたかったなあ。ギルやイワンが羨ましいぜ」

「別にたかが荷物運びだぞ」


 ギルがニースに言うとニースは人差し指を振りながら答える。


「チッチッチ、分かってないなあ、ギル。女の子の荷物は女の子の匂いがするんだぜ」

「お前は変態か」


 仕事をしていたデュークが突っ込みを入れる。


「デューク。君だってリナのこと気にならない? 顔は可愛いし武人だけあって引き締まったボディしてるし」

「生憎、お前みたいな女の子なら誰でもいいって気にはならん」

「おー。それは俺様のことを勘違いしてるぜ。デューク。俺様だってちゃんと相手を選ぶっていうの」


 ニースはデュークに向かって言う。


「お前が荷物運びしたらリナの下着とか盗むかもしれん。シヴァの人選に誤りはなかったな」


 ロベルトが呆れたようにニースを見る。


「フン! ロベルトは彼女がいるから俺の気持ちは分からんさ」


 ニースは泣き崩れるような芝居をする。


「いつまでも馬鹿やってないで仕事しろ。ニース」


 シヴァが注意するとニースは書類をシヴァに渡す。


「こないだの第二地区の爆弾テロ事件の犯人が捕まったよ。今、背後の組織を洗い出してる」

「そうか。証拠が爆弾で吹っ飛んで解決するまでに時間がかかると思ったが」

「犯人が駅の防犯カメラに映っていてね。画像解析したら前科があったから追跡して逮捕したの」


 ニースは第二地区の事件などを担当している。


 第二日本帝国の領土は日本国の約10倍ある。

 そこを第一地区から第八地区に分けて統治している。

 各地区には地区長がいる。


 十六夜は軍と警察が一緒になったような組織だ。

 帝国内の各地区を二人で一地区担当してその地区で起こった事件や事故の報告を受けて軍の介入が必要かを決めたり事件に対して指示を出したりしている。

 もちろん十六夜に上がってくる報告の事件は凶悪事件だったり組織的な事件の場合のみだ。

 その他の軽微な犯罪は地区長の持っている私軍を使って解決する。

 皇帝の警護だけが十六夜の仕事ではないのだ。


 シヴァは書類を受け取るとニースに言った。


「事件の詳細データは俺のパソコンに送ってくれ」

「了解」


 ニースは普段はふざけることも多いが仕事はできる。

 伊達に六武衆にその名を連ねているわけではない。


「そういえばロベルト。彼女と結婚はしないのか?」


 デュークがロベルトに聞く。

 ロベルトはシャイン伯爵家の長男で現在32歳。

 年齢と爵位を継ぐ長男という立場を考えるならそろそろ結婚して伯爵家を継いでもおかしくない。


「ああ。彼女とは結婚の話は出ているがもう少し先になるかもしれない」

「そうか。じゃあ。次の退職者はロベルトかもだな。もしロベルトが抜けたら次の六武衆を選ばないとだな」


 デュークの言葉にロベルトは苦笑いする。


「そんなに俺のことを早く追い出すなよ」

「可能性のあることは考えておかないとだろ」

「まあ、それはそうだが」

「シヴァは次の候補を考えているのか?」


 デュークの問いかけにシヴァは首を横に振る。


「いやまだ考え中だ」

「そうか。まあ、実際に退職が決まってからでも遅くはないからな」


 十六夜を退職する時は約三ヶ月前に事前申請しなければならない。

 そうしないと引継ぎに問題が出るからだ。


「それより皆聞いてくれ。今日の昼食の時にリナの紹介するから皆定時に食堂に集まれよ」

「ういーっす」

「了解」

「分かりました」


 シヴァの言葉に皆が返事する。


「シヴァ。第四地区の密輸の件でお話が」

「分かった。俺の部屋で聞く」


 シヴァはカインと共に隊長室に入った。


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