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7-6

昼食の時間が終わり、体育祭は午後の部に入った。

最初はクラスごとにまとまって自席についているのだが、後半にさしかかってくるとみんな思い思いに動き回り、校庭に並べられていたイスもかなり乱れており、いよいよお祭りのようだった。


団体競技の最大の目玉である組体操も終わり、残る競技はリレーのみとなった。

計六組で優勝を争う。

決勝に残るような組はいずれも有名選手がそろっていて、なかなか混戦模様だった。

正直僕達のクラスは力不足な気がしたが、ここまできたので全力を出し切ろうと決めた。

競技前にアップしていると、クラスのみんなが応援に来てくれた。

みんな結構テンションが高い。

結衣の組はもう敗退してしまったらしく、応援に来てくれた。

僕達は自然と気合が入った。


少しでも体重を軽くしようと無駄な事を考え、僕は競技前にトイレに行った。

体育館の裏にトイレがあり、いちいち校内に戻らなくてもいいようになっていた。

僕がトイレから出てきたとき、体育館の裏から佐倉くんと…高梨が出てきた。

高梨は僕をみてニヤリとし、その場を去った。

不気味な笑いに何か不吉なものを感じた。

「佐倉くん大丈夫?」

複雑な表情をしている佐倉くんに僕は声をかけたが、小さくうなずいただけだった。


いよいよリレーが始まった。

走順は予選と変わらない。もう力不足などと言っていても仕方ない。僕達は全力を尽くすだけだ。

ピストルが鳴り響き、リレーの決勝が始まった。

佐藤君はさすがに速かった。一位で二走目にバトンを繋ぐ。二走もなんとか一位をキープしたが、差は縮まってしまった。

三走目で、ついに抜かれた。それでも横山さんは必死で走り、僕にバトンを繋いでくれた。

順位的には二位だったが、混戦状態だった。差はないと言っていい。

アンカーが佐倉くんであることを考えると、これ以上差をつけられる事は避けたかった。

一位とは少し差がついてしまっていたが、後続はもつれている。

僕は必死に走り、なんとか頭一つ飛び出る事ができた。

ふっ、ふっ、ふっ。

一定のリズムで呼吸を刻む。

僕はトラックの線を見ながら、ひたすら走った。

しかしそれ以上の差をつけることはできず、佐倉くんの待つ場所へと近づいてきた。

「宗平!ほら、バトン早くしろよ!」

聞きなれない声に、僕は目線を上げた。

そこにいたのは高梨だった。

高梨がバトンを要求している。

なんで?佐倉くんは?

佐倉くんを探した。

佐倉くんは、高梨に押しのけられ、走者の外側へ追いやられて戸惑った顔をしていた。

何だよそれ。高梨。

咄嗟の事だったが、僕は理解した。

高梨にバトンを渡すべきではない。

僕は大きく外側に広がり、走者の一番端にいる佐倉くんへバトンを渡した。

佐倉くんは尚も戸惑った様子で高梨を伺っていた。

ふざけんな「佐倉、走れ!」

僕が叫ぶと、佐倉くんは意を決したように走り出した。

走れ、佐倉。

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