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誰かが言っていた。僕の住んでいる国の自殺者数は、年間三万人を超えるそうだ。


三万人…多いのか少ないのかと聞かれたら、僕は多いと答える。

幸い身近な知り合いが統計に含まれたという話は聞いたことが無いが、僕が住んでいる町の人口が4万人弱であったことを考えると、やはり多いと感じる。


僕の住む町は緑が多くきれいな町だったが、数年前の市町村合併で消滅してしまい、以来開発が進んでいる。

空き地には家が建ち、森林には重機が侵入する。

今は、いかにもニュータウンといった、作られたような街並みに変わってしまった。

友人はそんなことはないというが、僕はこの街が変わっていってしまうことがあまり好きではなかった。

緑の街路樹も、公園も、何だかいかにも作られた感じがするのだ。

僕の自宅周辺も随分変わってしまった。

近距離にどんどん乱立するコンビニエンスストアとか、さして必要とも思えない大型ショッピングモールとか。

毎日のように見ていた景色のはずだが、いざ変わってしまうとそれは案外あっけなく記憶から消えていってしまうものなのかもしれない。

僕はもう二度と見ることのできなくなってしまった景色を思い、いつかその景色があった事すら忘れてしまうであろう事を思い、お門違いではあるかもしれないが、重機とそれを操る人たちを少しだけ憎んだ。



僕の通う中学は、住宅街の中にある普通の公立の中学校だ。

桜の木で囲まれていて、四月はきれいな桜の花が咲く。

最近の中学校にしてはずいぶん平和な方だと思う。

男女間は未だに変な垣根があるし、不良っぽい生徒はいるが、どこかなりきれていないような雰囲気を感じるのだ。

えらそうな目線で話しているが、僕はごく普通の中学生だ。と思う。

成績は中の中。普通に友達もいる。


季節は三月。

僕はいよいよ義務教育における最終学年にさしかかろうとしていた。

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