side1.31
ジョエルは保健室の事件(?)から昨日まで空回りし続け、
今日はいよいよ学園の卒業式である。
登校したノエルに、卒業式が始まる前に告白を!
と意気込んだものの、ジョエルは寝坊し、ノエルに会えなかった。
今回はジョエルが卒業という事で、ステージの脇には陛下と王妃がいた。
卒業式が始まり、学園長の長いスピーチや、陛下からの祝いの言葉、卒業生代表としてセラフィーヌの挨拶など、滞りなく行われた。
堅苦しい卒業式の後、少し休憩を挟んで、大広間で立食パーティーが行われる事になっていた。
ちなみに、ジョエルはノエルに例のエメラルドのアクセサリーを、この卒業パーティーで付けてもらおうとプレゼントしたわけだが、この学園の卒業パーティーにはドレスコードはなく、最後まで制服で行われるため、例えノエルがアクセサリーを受け取っていたとしても、卒業パーティーでノエルがそれを付けた姿を見ることは叶わなかった。(という事実にジョエルが気づくことは無かった)
ジョエルは休憩時間になると、急いでノエルを探した。
学年ごとの人数がかなり多いが、クラス順に座席が並んでいる為、労せず探し出すことが出来た。
「ノエルっ」
「あ、ジョー、卒業おめでとうございます」
「あ、ありがとう!ノエルもな!」
「はい、ありがとうございます」
ノエルは今日もキラキラと美しい。
「あの、な、ノエル」
ジョエルは覚悟を決める。
「はい?」
「あの、・・・・・・・・付き合・・・ってはもらえにゃいだろうか」
か、噛んだ・・・痛い・・・いや、それよりも!
「はい?いいですよ?」
「!!!!!本当か!?」
「?・・・ええ」
「ありがとう!!!!!ノエル、私に着いてきてくれ!」
「はい、どちらへ?」
ノエルを連れたジョエルは、足早に大広間のステージ裏へと向かった。
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「ジョー?これから何を?」
ステージ裏に連れてこられたノエルは、胸騒ぎがした。
「大丈夫だ、私にまかせてくれ」
「はぁ」
そこでフッと照明が落ち、
そしてステージ上のジョエルとノエルにスポットライトがあたった。
「え?ちょっ、まさか、え?」
狼狽えるノエルを他所に、そのまま幕が上がる─。
「セラフィーヌ・ルブラン公爵令嬢!私はそなたとの婚約を破棄する!」
隣に立つドヤ顔のジョエルがビシッと指指す先には、元婚約者のセラフィーヌ様。
「今日こそはっ!全てをかけてでも断罪するっっ!」
(嘘だろーーーーー!!!!)
ステージ下ではセラフィーヌがぽかんとした顔をして「はぁ」と生返事をしている。
「セラフィーヌ!私は『真実の愛』を見つけたのだ!今度こそ!
この記念すべき学園35人目の『真実の愛』であるノエル・フィール侯爵令嬢と婚約をする!絶対する!その為にそなたを断罪するのだ!まずはだな――」
王子のセリフに、広間の卒業生たちの顔には困惑が浮かんでいる。
(付き合ってって、どこかにじゃなくて告白かよ!?)
ノエルは今猛烈に、影さんとテイラーさんに謝りたかった。
そしてそんなノエルと周りの困惑を代表し、断罪直前で発言したのは、ビシッと指されたセラフィーヌ様だった。
「ジョエル王子殿下、本日で卒業ですし、一言、宜しいでしょうか。」
「なんだセラフィーヌ!これからようやくそなたを――」
「ジョエル王子殿下、ノエル・フィール侯爵令息は男性のはずですが。」




