side1.30
「テイラー・・・」
「はい、王子」
「アクセサリー、貰ってくれなかった・・・グスッ」
泣くのかよ!?
「あー、えーと、ドンマイ?」
「しかも舞台公演が中止になったらしい・・・グスッ」
「ああ。予定していた劇場でボヤがありましたから、その影響でしょうね」
「もうノエルのティターニアが見れない・・・グスッ」
あぁ・・・ノエル様のティターニアが見れなくて残念なのは理解するよ、うん。
あれはガチで目の保養。
「舞台公演は私も是非見たかったですね」
「そうだろー!?・・・グスッ」
「王子もあと2週間で卒業ですね」
「うっ・・・そうだな、早く私の想いを伝えなければ!・・・アクセサリーがダメなら何を贈ろう・・・」
王子がブツブツ考え出したので、部屋を後にした。
「それにしても・・・ノエル様は卒業したらアスガールに婿にいくんだよなー。王子知らないんだろーなー。ノエル様は婚約破棄したと勝手に思ってるしなー。まぁ、俺の仕事もあと2週間だし、いっか」
3年間ジョエルに苦労させられたテイラーは、卒業パーティーを心待ちにしていた。
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翌日。
一限目の休み時間、またもやジョエルはAクラスを目指していた。
ドアを開けてノエルを探したが、見当たらない。
近くにいた男子生徒に、声をかけた。
「そこの君、ちょっといいだろうか」
「はい?あ、ジョエル王子、おはようございます」
「ああ、おはよう。ノエルが見当たらないんだが、どこに居るかわかるか?」
「ノエルなら登校はしたんですけど、貧血で保健室ですよ」
「なんだと!?分かった!後で褒美を取らす!」
「え?はい。・・・え?何の褒美・・・?」
戸惑う男子生徒をよそに、ジョエルは保健室へと突っ走った。
保健室の前にたどり着くと、寝てるかもしれないノエルの為に、音を立てないようにそそそとドアを開けて入った。
保健室の4つのベッドの一つに、ノエルが眠っていた。
「ノエルっっ大丈夫かっ!」
小声で叫びながらベッドサイドの椅子に座ると、青白い顔のノエルが眠っていた。
「ああ、なんてことだ・・・私のノエル」
ジョエルは心配し過ぎて無意識にノエルの頭をそっと撫でた。
すると、パチっと目を開いたノエルと目が合った。
ジョエルの手は、まだノエルの頭の上。
「・・・え?ジョー?」
途端に恥ずかしくなったジョエルの顔が茹でダコになった。
「あ、う、え、えっと!大丈夫か!」
「あ、はい・・・大丈夫です・・・あの、頭・・・」
「はうあっ!」
慌ててノエルの頭から手を離したジョエルは、恥ずかしさに猛ダッシュで保健室を後にし、そのまま校舎を飛び出し、馬車に乗って城に帰った。ちなみにまだ2限目だった。
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ジョエルが去った後の保健室─。
「まさか影さんの話って本当だったのかな・・・最近毎日来るし・・・ちょいちょいスキンシップあるし・・・いや〜でも誤解は解いたはずだし、やっぱ気の所為だ、うん」
そんな呟きを眺めていた影のレイスは、盛大な溜息を吐いていたらしい。
傍から見たらどう見てもBLという切なさ。
あと数話で終わります!




