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side1.3


ワシの名はバーナード・サタナエル。

アルセイヌ国の王だ。

愛する王妃メリッサは賢く美しいし、

子供にも恵まれた。

近隣国とも上手いっており、戦もない。


そんなワシには長年続く悩みがある。

息子のジョエルだ。

ジョエルは第一王子だが、王太子ではない。

ジョエルは色々残念な息子なのだ。

ワシと王妃の数少ない弱点だけを上手くまとめてみました!といわんばかりの残念さなのだ。

そんな息子の婚約者のセラフィーヌは、とても素晴らしい令嬢だった。

こんな馬鹿息子をあてがって、申し訳ない程素晴らしい令嬢だった。



ジョエルが物心着いた頃に、王妃から相談を受けた。

『ジョエルの教育係と世話係がまた逃げましたわ。あの子は予想以上に我儘で出来もよろしくないかもしれませんわ』と。

初めての子供という事もあり、ワシが多少甘やかしたのは事実だが、王妃はワシと違って厳しく育てていた。

王妃の言葉を聞いたワシは、今までの教育係や今までの世話係に、ジョエルをどう思うかを、包み隠さず話させた。


「ジョエル王子は…いささか、いえかなり勉強が苦手のようで、全く進みません。1年かけて教本5ページがやっとでした」


「ジョエル王子は…仰っている意味が理解しかねます。あれでは諸外国の王子達との雑談もままなりません」


「ジョエル王子は…美人の侍女以外はお部屋に入れません」


結果は王妃の予想通りだった。

むしろそれ以上だった。


そこからワシは甘さを一切無くし、勉強やら剣術やらを学ばせ、軌道修正をはかった。

その間に第一王女のマリアンヌが生まれ、ジョエルが5つになる頃、第二王子のステファンが生まれた。

マリアンヌもステファンもジョエルと正反対で、幼い頃から読書を好み、勉強も熱心で、運動も好み、興味があるものは何でもやる子だった。

そしてジョエルが6つになった頃、セラフィーヌと婚約を結ばせた。

セラフィーヌの父であるルブラン公爵はかなり渋っていたが、様々な制約を設け、なんとか婚約が成立した。軌道修正はあまり上手くいかなかった。


そしてジョエルが14になった年、市井で『真実の愛』を題材とした本や舞台が流行りだした。

ジョエルはセラフィーヌと婚約したものの、その頃になっても全く仲が良いとは言えず、偶然舞台を見たジョエルが、『私にも真実の愛の相手がいるはず』と騒ぎ出した。(と、王家の影から聞いた)

息子は顔だけはワシに似て、なかなか良かった。

茶会などがあれば、チヤホヤされていた。

しかし茶会もパーティーもセラフィーヌが同席していたし、大丈夫だろうと高を括っていた。


それから少し経った頃、『ジョエル王子が次々と女性とお付き合いのようなものをされている』と報告が上がった。(影から)

詳しく聞けば、女性に出会って直ぐに『君は私の真実の愛の相手だ』と口説き、少しするとまた別の女性に同じ事を繰り返している、との事だった。

何故早く報告しなかったのかと、影に問い詰めれば

初めの頃は、女性側がセラフィーヌが居るのを知っている上で友人としての付き合い程度だったそうだ。

つまり、ジョエルは付き合っていると思っているが、

相手の令嬢はジョエルを友人としか思っていない、という事らしい。女性側から2人きりになる事は避けており、いわゆる一方通行だったわけだ。

それが最近、相手が男爵令嬢や子爵令嬢になると、セラフィーヌと婚約を解消して、自分が王妃になれるのでは?と積極的な令嬢がジョエルにアタックしだしたらしく、影が報告してきたそうだ。

このままだと、噂になってジョエルはセラフィーヌに婚約破棄をされるかもしれない。


焦ったワシと王妃は、ジョエルに説教をした。



「お前はセラフィーヌがいるのに、何をしている?」


「父上、セラフィーヌはつまらないのです。父上だって、私が愛した女性と将来結ばれる事を望まれるでしょう?」


「ジョエル、あなたがしてるのは立派な浮気なのよ」


「後々、私が結婚すれば浮気ではなくなりますよ」


「ちょっと、お前が言ってる意味がわからん」


「父上、こんな簡単な事なのにわからないのですか」


「ええと…ジョエル、今お付き合いしてる令嬢はいるの?」


「はい、おりますよ。スコット子爵令嬢のマリアです」


「そのマリアがあなたの真実の愛の相手という事かしら?」


「そうです。なので7日前に告白をしました」


「では、セラフィーヌとの婚約を破棄すると?」


「そうですね、セラフィーヌは嫌だと駄々をこねるでしょうが」


息子よ、その自信はどこから。と言うのは言わないでおく。

そこにワシの執事が来た。


「ルブラン公爵とご息女セラフィーヌ様が謁見を申し入れております」


ワシと王妃はこのタイミングに真っ青になりつつ、謁見の間へ向かった。


長くなりそう・・・

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