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side1.29

12月に入り、ようやくノエルがアルセイヌ国に戻ってきた。


「王子、ノエル様が戻られたそうですよ」


「テイラー、それは誠か!」


「はい。来週から学園に出てこられるそうです。ようやく話しかけれますね」


そして気付け。

色々と。


「来週・・・あと2日という事か・・・あぁ、待ち遠しい。今回は何か贈り物を用意しようと思うが、どうだ?」


「よろしいのではないでしょうか」


どうでも。


「エメラルドのアクセサリーなんてどうだろう」


「・・・それは、王子の瞳の色ですね」


「そうだ。ネックレスとイヤリング、あとは髪飾りと・・・」


ノエル様が制服姿でデカいエメラルドをぶら下げてるのを想像すると笑えるな。


「ノエル様は普段アクセサリーはされてないですよね?好きでは無いのかもしれませんよ」


「え?でもティターニアだぞ?」


「・・・いや、それは舞台だからですよ」


「そういうものか・・・考えてみたらいつもノエルの顔だけで心が満たされるから、舞台以外での服装はあまり覚えてないな・・・」


まさか・・・それで男って気づいてねーのか!

全身見ろよ!全身!


「どうせなら演劇関係の物の方が喜ばれるんじゃないですか」


「新しい羽とかか?うーむ・・・」


・・・なんでそーなる?


「王子があげたいものでいいと思います」


せめて男が貰っても問題無いものを、というつもりで助言していたが、面倒くさくなってきた。


「明日、頑張って下さい。では失礼します」


「ああ!もちろんだとも!」


-----------------------------


2日後、ノエルに会いにAクラスへ行ったジョエルだったが、久しぶりのノエルからのキラキラしい笑顔にやられ、気絶して早退した。


その後リベンジするも、気絶、鼻血が止まらなくなる、目眩・・・で、贈り物を渡す以前に、至近距離のノエルのキラキラにやられ、ぶっ倒れ続けた。


-----------------------------


そして年が明け、卒業まで2週間を切った頃・・・。


その日もジョエルはAクラスのキラキラノエルに挑んでいた。


「のののののえるっ」


廊下からノエルを呼ぶと、ぱっと笑顔を向けてこちらに歩いてきた。


「ジョー、おはようございます。今日は体調大丈夫ですか?」


心配そうに眉を下げるノエルに、鼻血を吹きかけたが、なんとか堪えた。


「あ、ああ!今日は大丈夫だ!」


「それは良かった」


ノエルの藍色の睫毛に覆われたグレーの瞳が細められ、少し薄い唇が弧を描く。


「っっ・・・!(耐えろ私!)」


「ジョー?大丈夫ですか?やっぱり具合悪いんじゃ?」


「いや、そんなことはない!大丈夫だ!そ、そうだノエル」


「なんでしょう?」


「こ、ここここここれを君に」


ジョエルの手には正四角形の高級感溢れる箱。


「これを俺に?」


ジョエルは恥ずかしさから、ただひたすらコクコクと頭を振る。

『俺』はスルーしたらしい。


「えー、なんだろう。開けてみてもいいですか?」


ジョエルはまたコクコクコクコクと首を振る。


「・・・これは・・・?」


箱の中には、大きめのエメラルドのネックレスと、これまた大きめのエメラルドのイヤリングがあった。


「ノ、ノエルにつけて欲しい・・・」


「ああ!舞台用ですか!確かにエメラルドならティターニアのイメージにあいますね・・・でもすみません、ジョー、今月予定していた王都演劇場での演劇部の舞台公演が中止になったんですよ。なのでつける機会がないんです。せっかくですがお返しします」


ジョエルは、緊張でひたすらコクコクと頭を振り続けていたが、「返す」と言われてピタッと止まった。


「い、いや、返さなくていい!持っていてくれ!・・・出来れば卒業パーティーでもごもご・・・」


元々、卒業パーティーでつけて欲しいと言うつもりでアクセサリーを送ったジョエルだったが、羞恥で語尾が小声になってく。


「ジョー?すみません、聞き取れなかったのでもう一度・・・」


そこで始業のベルが鳴った。


「あ!授業始まるので、とりあえずお返ししますね」


アクセサリーの箱を返され、ドアを閉められたジョエルは、しばらく廊下に突っ立っていた。


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