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side1.2


その後、将来の王子妃として妃教育の後に少量の執務もこなしていたはずのセラフィーヌは、全く城に来なくなった。

妃教育から解放された途端に来なくなるとは何を考えているのだ。


そのせいもあるのか分からないが、突然私の執務が激増した。

今までは書類10枚くらいだったのに。

イラつきながら執務室で書類と睨めっこしていたが、内容がさっぱりわからないので、侍従のテイラーにセラフィーヌを呼ぶ様命令をした。

しかしテイラーに


「ジョエルが何か言おうとセラフィーヌを呼ぶことは許さん!と陛下から言われております」


と、声真似付きで言われてしまった。


それならばとテイラーに執務をさせようとしたのだが。


「こちらにある書類は、陛下や王子、その伴侶となる方しか見ることが許されておりません。ですので私にはお手伝いできかねます」


そんな事を言われても、さっぱりわからんのだが。


「そうなのか。でもこんなに多いのはおかしいじゃないか。セラフィーヌの分が追加で私に来たとしてもこれはおかしいだろう」


「あー、ジョエル様、えーと、不敬と思われるかも知れませんが、お答えしても?」


「なんだ、言ってみろ」


「その、増えた分は全てセラフィーヌ様がこなされていた書類です」


「…は?これ、全部?え?マジか?」


「マジです」


「セラフィーヌはどんな裏ワザでこなしていたのだ…」


「はい?裏ワザ?」


「だって!多いじゃないか!無理だろこれ!それにあいつは妃教育で城に来てたはずだ!」


「セラフィーヌ様はその倍でも問題なくこなされておりました。それに妃教育ははるか昔に終えられております」


「は?妃教育が終わった?確かにセラフィーヌは頭がいいかもしれんがありえんだろ。そんな見栄っ張りな嘘をついて城に来なくなるとはまったく。しかしどうするか。無理だぞ私には。午後からエミリーと市井にデートに行くし」


「エミリー、さま?マディソン様は?」


「マディソン?ああ、マディソンは何やら領地に帰らねらねばならんとかで、もう王都にいない。そしてエミリーに会って、エミリーこそが真実の愛と気づいた」


「…」


「よし、ステファンにやらせよう」


「ステファン王子ですか?」


「そうだ。あいつなら暇だろ」


「いえ、ステファン王子にも執務はまわっておりますので無理かと」


「なんだと!?ではやはりセラフィーヌを呼べ」


「無理でございます。陛下の命ですので」


「ぬぅぅ。仕方ない。エミリーに今日は無理だという手紙と花を送らねば。テイラー、花の準備をしておけ」


「かしこまりました」



ジョエルの執務室を後にしたテイラーは

大きな溜息をついた。

「セラフィーヌ様の妃教育はもう何年も前に終えられているのに…それも知らなかったとは…やれやれ。にしても次の真実の愛はどこのエミリーだか」


また溜息をついたテイラーは渋々と花の準備に向かった。


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