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side1.15


翌朝、テイラーは陛下に学園に行く許可を貰いに行った。


陛下に、


『王子に的確なアドバイスが出来るように、学園で王子がどのようにノエル様を追いかけてるのか偵察したい』


と言ってみたところ。


『是非偵察してきてくれ』


と速攻で許可が降りた。


俺は学園に忍び込む為に、変装をした。

プラチナブロンドの髪は茶色のウィッグで隠し、ターコイズブルーの瞳は分かりにくくなるように前髪でちょうどよく隠した。

最後に最近流行りのオシャレ眼鏡をかける。

これで教師テイラー(変装)が完成した。



俺が学園に着いたのは2限目が終わる頃だった。

普通なら理事長に挨拶しに行くべきなのだが、

王宮から連絡を入れておくと言われたので挨拶はなし。


「さて、休憩時間の王子を見てみますかね」


屋上から、3学年のクラスが並ぶ教室内が見渡せる位置に待機した。

手には高性能の望遠鏡。


「えーと、王子はDクラスだったな。Dクラス…お、セラフィーヌ様がいる。ってことはあそこは特別クラスのSクラスだな」


王子は『SはDより後だからDの方が良いクラス』

とか寝ぼけたこと言ってたっけ。


「あ、いたいた」


左から5番目のクラスに王子が見えた。

王子は…寝ていた。


そこに休憩時間のベルが鳴った。


望遠鏡から見える王子がガバッと起きたかと思うと、SクラスからHクラスまでを走って回っていた。

おそらくノエル様を探してると思われる。

ノエル様はAクラス。勿論今もAクラスに居た。


「うお、あれがノエル様か。なるほど確かに美丈夫だ。女って言われても仕方ないっちゃ仕方ない…かも」


姿絵で確認はしてきたが、本物はかなり綺麗な顔のご令息だった。


しかし先程Aクラスを覗いた王子が気付いた様子はなかった。


「まぁ、女生徒を探してるつもりなんだもんなぁ。でもあの顔なら見て気づきそうなもんだけど」


当たり前だがノエル様は男子生徒の制服。

男子生徒は初めから視界に入れていないと思われる。


王子がSクラスからHクラスを2往復したところで

始業のベルが鳴った。


お昼休みまでの休憩時間の度に観察してみたが、

なんと王子は休み時間の度にそれを繰り返していた。


テイラーは屋上から、貸切のサロンに移動していた。

昼休みに生徒が屋上にくる可能性を考え、

学園に潜む影の一人に婚約者であるルナマリアに伝言を頼んでいた。


サロンに着き、備え付けの紅茶を用意していると

ルナマリアが来た。

紅茶を置いてソファーに座ると、

突然影が現れたと思うとランチを置いて消えた。

相変わらずすげぇ。


「ルナマリア、急にごめんね」


「いいのよ。王子の事でしょう?」


「ああ。ちょっと、微妙なことになっててさ」


「それは王子が休み時間の度に走り回ってる事と関係あるのかしら」


「ははっ、あれはびっくりしたよ」


「誰かを探してるみたいね?王子はたしか、ジュリエットとか言っていたけど」


「そう。ジュリエット役の令嬢を探してる」


俺の言葉にルナマリアがポカーンと固まった。


「テイラー、今ご令嬢って言った?」


「うん、王子はご令嬢を探してる」


「…」


「ランチ食べながら話すよ」


俺はルナマリアに、王子がジュリエット役に一目惚れして探してるという内容を簡単に話した。


「王子が探してるのって、どう考えてもノエル様よね?」


「そう」もぐもぐ


「女生徒だと思っているってことよね」


「そう」もぐもぐ


「芸術祭からずっと探してるのね」


「そう」もぐもぐ


「それで私は何をすればいいのかしら」


さすが、話が早い。

俺はランチを終えてにっこり笑った。


「あなたがその顔するといい事ないのよね…」


失礼な。


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