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side1.11

昨夜、書きながら寝落ちしてしまいました・・・

消えてなくてよかった・・・


さらに時は巡り、ジョエルは5ヶ月後に卒業を控えていた。


学園では毎年9の月のどこかの3日間で、芸術祭というイベントが行われている。

絵画や音楽、演劇と、芸術と言われる物を学生が作り、それを鑑賞するイベントだ。

芸術祭は在学生以外も参加可能なため、近年では貴族や商人が、芸術家のタマゴの発掘に来たりと、かなり賑わうイベントになっている。


そして今日は芸術祭2日目。


昨日、早々に断罪出来ない劇を繰り広げ、いつも通りに失敗したジョエルは、昨日の芸術祭終わりに、「付き合っているつもりはなかった」と、フラれた。

そんなジョエルを慰めてくれたのは、偶然その場面を見てしまった同学年の伯爵家令嬢プリシラ。

ジョエルは知らなかったが、プリシラは優しくて頭も良く、とても良い子だと評判のいい令嬢だった。


二人は芸術祭の残り2日を一緒に見る約束をした。



そして翌日。


私はプリシラと芸術祭を楽しんでいた。

プリシラは見た目の華やかさはそんなにないが、心根が良い。

面倒見もよく、姉がいたらこんな感じかもしれないな。


「プリシラ、次は何を見たい?」


生徒の描いた絵を熱心に見ていたプリシラが振り返り、嬉しそうにぱぁっと笑う。


「わたくし演劇部を見に行きたいです!昨日、ロミオとジュリエットを見たお友達から、とても素敵だったと聞きましたの」


なるほど、それを楽しみにしていたのか。


「ほう!それは楽しみだ。何時からだ?」


「1日2回やっているそうで、今日の2回目の公演があと30分で始まりますわ!」


「ちょうどいい時間だな。大広間に行くとしよう」


「楽しみです!」



ジョエルとプリシラは、一番前の席に座った。

プリシラには近すぎたが、あまり舞台から遠いと視力の低いジョエルが何も見えないのを察したプリシラが気を利かせてくれたのだ。


そしてようやく開演時間になり、ステージの幕が上がった。

プリシラは演技の素晴らしさや、演者のドレスの美しさに見入っていた。

しかし、ジョエルはその間、ずっとジュリエット役の令嬢に釘付けになっていた。


(なんて美しい令嬢なんだ…!名前が知りたい!)


本人は気付いてないが、ジョエルの人生で初めての一目惚れであった。


劇を見終えたジョエルは城に帰宅するまでほとんど上の空だった。

ずっとジュリエット(役の令嬢)の事を考えていたからだ。


翌日ジョエルは、ほかの演目もありますよ、と言うプリシラに「あまりにも素晴らしくてもう一度みたい」と力説し、ロミオとジュリエットを2回とも見たのであった。


-----------------------------



芸術祭が終わった後、プリシラとはよくランチを共にしたりしていたが、ジョエルにとっては珍しく、恋愛ではなく友人として付き合っていた。


そしてジョエルは毎日血眼で愛しのジュリエット(役の令嬢)を探していた。

しかし、なかなか見つからなかった。



-----------------------------



「芸術祭の初日にミーサ嬢にフラれてからのジョエル王子は、いまのところ誰ともお付き合いされていません」


影から聞いた王と王妃は驚いた。

いつもであれば、すぐ次の真実の愛がいたからだ。


「レイブン伯爵家ご令嬢のプリシラ様と『ご友人』としてお付き合いはされております」


「ジョエルがご令嬢と友人ですって!?」


「ジョエルが…」


王と王妃は、少し成長した息子に涙した。


「しかし、ジョエル王子が毎日必死に探している方がおられます」


「どこのご令嬢なの?」「どこのご令嬢だ?」


王も王妃も 流していた涙を器用に止め、いつもの呆れ顔になって聞いた。


「それが言い難いのですが…ご令嬢ではなく、ご令息です」


「「は?」」


「フィール侯爵家のご令息ノエル様をお探しです」


「…なぜフィール家の令息を探しているのだ?」


「どうやら、芸術祭でノエル様が演じられたジュリエットに一目惚れされたようです」


王と王妃が息を飲む。


「ま、まさか…ジョエルは…」


「あ、いえ、そちらに目覚めたわけではないようです」


「え?それならば何か理由が?」


「ジョエル王子はノエル様をご令嬢と思い込んでおります」


「マジか」


「マジでございます。私も影として舞台を見ましたが、確かに見目麗しいといいますか、女性と見紛う美しいご令息ではありました。しかし元からノエル様は演劇部ではその顔を活かして女性役…いわゆる女形をされてるのは有名だったのですが、ジョエル王子はご存知なかったようです」


「そういえば、フィール侯爵も侯爵夫人も線の細いとても綺麗なご夫婦だったわね…息子が綺麗な顔になるのは頷けるわ」


「なるほど…それで男と知らずに探しているのだな…」


「はい。しかしご令嬢の中から探しておられるので、未だに見つけられておりません」


「わかった。進展したら知らせよ」


「はっ」


王と王妃はなんとも言えない複雑な顔をお互いに見合わせ、ため息を吐いていた。


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