side1.1
何話で終わるか未定です。
私の名はジョエル・サタナエル。
アルセイヌ国の第一王子。
つまり、未来の王だ。
そんな私はあとひと月で貴族学園に入学する。
その学園には、私の婚約者であるセラフィーヌも入学するのだが、最近この婚約者と連絡がとれない。
たしか最後に会ったのは…2ヶ月前の王宮であったパーティーか。
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王宮で開催されるパーティーの前日、私はセラフィーヌに迎えに行けないと手紙を出した。
最近知り合ったばかりの男爵令嬢マディソンをエスコートしたかったからだ。
しかし返事は来なかった。
失礼なやつだなとは思ったが、心の広い私は許すことにした。
翌日のパーティーで私は、エスコートしていた金髪縦巻きロールの令嬢マディソンと談笑していた。
その会場に現れたセラフィーヌは、兄のアルフォンスにエスコートされ、私の父である王の元へ挨拶に向かっていた。
そのうち私の元へも挨拶に来るだろうと、マディソンとの談笑に戻ったが、時間が経ってもセラフィーヌは挨拶に来なかった。
おかしいな?と思い、会場を見渡すが、セラフィーヌもアルフォンスも見当たらない。
仕方なくマディソンを連れ、父上の元へ向かう。
「父上、セラフィーヌはどこですか?」
私に気づいた父上は、私の隣で緊張していたマディソンを一瞥すると、顔を歪ませて溜息を吐いた。
「はぁ…お前は本当に…はぁ」
「父上?どうされたのです?セラフィーヌが何かしたのですか?」
「お前にこの間サインさせた書類。あれの中身は読んでおらぬのか?」
「書類…ああ、何やら長々と書いてあったので、さっと目を通してサインしましたが」
「それでその態度ということはまともに読んでいないのだな」
「す、すみません。しかしそれとセラフィーヌに何か関係が?」
「いや、もうよい。ジョエルよ、今後お前とセラフィーヌが城で会うことはない。それが全てだ」
「?」
父上はそう言うと、母上の元に戻ってしまった。
その時母上と目が合った気がしたが、すぐそらされたような…まぁ、気のせいか。
しかし父上のさっきの言葉は何だったのだろう。
今後城で会わぬと言うのはセラフィーヌの妃教育がやっと終わったとか?領地に篭るとか?
考えてもよく分からないし、パーティーに戻ろうと
マディソンを見ると何やら口を尖らせている。
「ジョエル様ぁ、わたくしを紹介して下さらないばかりか、セラフィーヌ様のお話ばかりで酷いですわ」
「ああ、そうだった、すまない。明日父上に話しておくから泣かないでおくれ」
「約束ですわよぉ?」
そして2人でパーティーに戻った。
しかし今回のパーティーはいつもと違って群がってくる貴族が少ないな。
毎回これなら、息苦しくもなくて楽なのだがな。
そうしてパーティーは終わった。




