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沖田君の恋8<不審者と眷属の恋歌 フェイズ8>

「なあそこのコスプレ女子、君は沖田と仲がいいんだろ? もし、俺が勝ったらデートしてくれよ」



 朱に向けられたその一言で場の空気が変わった気がする。肝心の朱は何と反応すればいいのかわからず助けを求めるように沖田を見ていた。いや、この目は違う、困惑しているようにみせて、少女漫画の主人公のような状況に酔っている目だ。俺にはわかるぞ!! そして、俺も沖田の様子を見る。あいつにとっては朱は想い人だからな。喧嘩にならなければいいのだが……

 いざというときは、最近購入して一応持ってきた模造刀レーヴァテインを使って乱入するしかないだろう。最悪俺が先に手を出せば怒られるのは俺だけで済むだろう。沖田が手を出して、大会にでれなくなるよりはマシだしな。



「いやいやいや、斎藤君何言ってるんだよ。女の子を物みたいに言ったら失礼だよ。そんなんじゃ女の子に嫌われちゃうし、別にどっちが勝っても朱ちゃんがデートにする理由はないよね?」

「え……あ、そうだな……ごめんなさい……」



 沖田のやつくっそ正論で来たぁぁぁ!! いや、確かに沖田の言う通り別にこの試合でどっちが勝っても朱がデートをする必要性はないよな。

 でもさ、こういうのって漫画でよくあるパターンじゃん。沖田も誘いに乗って、朱を賭けて勝負する展開じゃん。現に斎藤君は気まずそうに朱に向けて振り上げていた竹刀を落として居心地の悪そうにしている。朱と紅もちょっとこの展開にワクワクしていたのか、しょんぼりとしている。ああでも、これはチャンスだな……



「おい、朱。ちょっと耳を貸せ」

「何ですの? セクハラをしたらうったえますわよ。あと、そっちは人耳ですわ。炎上してしまいます。上の方の耳に喋ってくださいません?」

「何言ってんだよ、上の耳は生地で作られた耳だから聞こえないだろ?」



 俺は朱に馬の様に頭の上にある耳? に話しかけろと言われるが無視をして、本来の耳のある場所に口を寄せる。そういえばウ〇娘で、イラストレーターが人の耳を書いてしまうと炎上するとか聞いたことあるな。ちょっとこわいよな。うまだっち。



「え? でも……」

「いいから、そうすれば沖田が勝てるんだ」

「うう……わかりましたわ。今回は魔女の騎士の顔を立ててあげますわ」



 俺の言葉に顔を真赤にした朱だったが、彼女は俺が真面目だと知ると少し観念したように溜息をついた。何だかんだ沖田には勝ってほしいんだろうな。



「何を企んでいるのよ、朱に変な事をいわせようとしてないでしょうね?」

「大丈夫、沖田を勝たせるための魔法の言葉だよ」


 

 にやにやと笑っている俺に紅が不審そうな顔をして聞いてきたので答える。そろそろ試合が始まるようだ。少しテンション低めの斎藤君と沖田が対峙する。その時だった。



「沖田先輩!! 勝ってください。その……もしも、この試合に勝ったら、どこへでもデートに付き合ってあげますわ!! だからそいつをぶちのめしなさい!!」



 剣道場に朱の叫び声が響き渡る。それを聞いて沖田も叫び声をあげる。



「うわあああああ、ようやく不審者さんじゃなくて、名前を呼ばれたぁぁぁぁ!! 今の僕は三女神像すらも凌駕する存在だ!!」

「いや、三女神像ってなんだよ。てかまだ名前すら呼ばれていなかったのかよ!!」

「三女神はウ〇娘でステータスを上げてくれる存在よ。あれで継承因子が決まるの。青3とURA3が本当に出なくて結構むかつくのよね」



 知らんがな……しかし、継承因子ってなんかくっそかっこいいよな。ってか、沖田のやつちゃっかりウマ娘やってるんじゃねえかよ……俺は紅の聞きながら心の中で突込みをいれる。まあでも、これで沖田は絶好調になり、イチャイチャをみせられた斎藤くんのやる気は下がり不調になった。

 これでようやく互角だろう。確かに沖田は才能あるし、最近練習もがんばっている。でもさ、ずっと一生懸命やってきた斎藤君にはやはり劣ってしまうと思うんだ。だからこそ、バフとデバフをかけたのでこれでようやく互角と言ったところだろう。


 審判の人の言葉と共に試合が始まる。決着は一瞬だった。沖田と斎藤君が二、三回うちあったかとおもうと、ほぼ同時に距離をとった。



「「メェェェン!!」」



 スパァンという言葉と共に二人がすれ違いざまにお互いの面をうった。みんなの注目が審判に向かう。生唾を飲んだのは俺か、朱か、はたまた両方か……少しの沈黙の後に旗が上がる。



「勝ったよぉぉぉぉ!!」



 勝利の雄たけびをあげたのは沖田だった。隣をみると朱も嬉しそうに笑っていた。これはフラグがたってるっていうことかな。ここからは俺達が出る幕はないだろう。きっと二人の物語が始まると思うから……



試合のシーンもっと書こうかと思いましたが、別にそこは重要じゃないなって気づきました。

最近無職転生を読んでますが無茶苦茶面白いですね


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【催眠ごっこで結ばれるラブコメ ~初恋の幼なじみの催眠術にかかった振りしたらムチャクチャ甘えてくるんだけど】 こちらが新作です。 催眠術をきっかけに、素直になれなかった幼馴染達が結ばれるラブコメです。
― 新着の感想 ―
[良い点] やっと名前を呼んでくれたのかw 長かったなw [気になる点] 剣道で勝って思わずガッツポーズしたら反則負けになった動画があったなw 沖田ダイジョブ? [一言] 乱入は論外だろw 頭の上に…
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