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沖田君の恋7<不審者と眷属の恋歌 フェイズ7>

 俺達が剣道場を訪れると珍しく緊張に満たされていた。いや、俺達が入るまでは緊張に満たされていたというのが正しい。ウ〇娘モードの朱に目線が集まって、ざわっとした後になぜか横にいる俺を見つけた我が学校の剣道部員たちは納得したようにうなづいた。



「ああ、如月の仲間か……」

「ちょっと待った。俺とこのコスプレ女が同じカテゴリーなのか? 俺は騎士でこいつは魔女の使い魔だぞ!!」

「そうですわ、私をこのへたれ騎士と一緒にしないで欲しいですわ。私は黄泉の魔女である紅お姉さまの……もごもご……」

「剣道場では静かにしたほうがいいですよ」



 余計な事を口走りそうになった朱を紅が笑顔で口をふさぐ。しかも、偽装している田中さんモードだ。まあ、彼女は正体を隠しているからな。朱のせいで正体がばれるのを防いだのだろう。沖田を筆頭にうちの学校の剣道部員たちは苦笑しているが、相手高校の綺羅星学園の人たちは困惑しているようだ。そりゃあ、いきなりコスプレした女の子が来たら驚くよな。あ、ひとりだけ「うまぴょいしてー!!」とか叫んでいる。

 こちらの意図せずに、相手を困惑されることができたようだ。俺がほっとしていると剣道着を身に着けた沖田がやってきた。悔しいけど普段のクソみたいな感じとのギャップがあってかっこよいな。



「みんな応援に来てくれてありがとう。特に……朱ちゃん、知らない高校に行くのは少し勇気がいたでしょ?」

「別にそんなことはありませんわ。だいたい私は紅お姉さまがいらっしゃるから来ただけですの。勘違いしないでくださいな」

「おお、これは良いツンデレだな……いってぇ、思いっきり足を踏みやがったな!!」

「今のは神矢が悪いですよ……、それで沖田君は今日は勝てそうでしょうか?」



 俺が足を全力で踏んで「きしゃー!!」と威嚇をしている朱と喧嘩をしていると紅が肩を竦めながら沖田に問う。彼は少し難しそうな顔をして、朱の方に目線を向けて言った。

 


「どうだろうねぇ、実はあっちの斎藤君には一回も勝ったことないんだよね。でも、やれるだけのことはやったつもりだし、前の様にはいかないと思うよ」

「そこは絶対勝つって言いなさいな。私はあなたがどれだけがんばっていたかを知ってますわ、きっと今日は勝利の女神はあなただけにチュウをしてくれると思いますわ」

「そうだね……ありがとう、がんばってくるよ」



 沖田の気弱な言葉に朱がまっすぐ彼を見ながら言った。その言葉に沖田は目を輝かしてうなづいた。待って、無茶苦茶いい感じじゃん。



「なあ、これって俺達いなくてよくないか?」

「なんというか可愛い後輩が青春をしているのを見るとむずがゆいわね……私が中学の頃なんてどっかの騎士がヘタレてたせいで全然こんな風にならなかったのに……」

「いや、あれは……だって、告白とか気軽にできるもんじゃないだろ!!」



 なぜか、こっちに飛び火をしてきた。いや、でもさあ、俺達確かにずっといたけど、恋愛とかよくわからなかったし……あの頃はずっと一緒にいるだけで楽しかったんだよ。

 俺が何と言おうか悩んでいると彼女の手が俺を包む。そして、剣道場で最後の稽古をしている部員たちを見ながら紅がボソッといった。



「でも、ちゃんと好きって言ってくれたから許してあげるわ」



 うおおおお、いきなりデレてきたぁぁぁぁ。俺も彼女の手を力強く握り返すと、正面から殺気を感じたので、視線を送ると対戦高校の部員たちが殺意に満ちた目でこちらを睨んでいる。



「なんであいつらは剣道場でいちゃついてんだよ、ぶっ殺すぞ」

「くそが、鬼滅女子が剣道部に入ってくると思っていたのに誰も入ってこねーって嘆いている俺達への嫌味か。今日の試合は絶対負けねえぞ!!」

「あいつらうまぴょいするんだ!! この試合を観終わったらうまぴょいするんだ!! 絶対許さねえ」



 やばい、俺達のいちゃつきが相手の士気と団結力を一気にあげてしまったようだ。そんな変なテンションのまま、練習試合が始まる。まずは先鋒同士の戦いが始まる。相手の高校はどれくらい強いだろうか?



「めぇぇぇぇぇん!!



 その勝負は一瞬だった。相手の高校の先鋒の竹刀が気づいたらうちの高校の先鋒の頭を叩いていた。なんていう強さだ、一応訓練をしている俺でも反応できなかった。そして……沖田よりも早い。

 剣道場がざわりと騒がしくなり、先ほどまでのどこか浮かれた雰囲気が消え去った。そして次鋒が呼ばれる。こちらは沖田で、相手は先ほどうまぴょいがどうのとか騒いでいた男だ。名前は斎藤というらしい。

 沖田と対峙をしている斎藤君だったが、いきなり竹刀を朱に向けてこう言った。



「なあそこのコスプレ女子、君は沖田と仲がいいんだろ? もし、俺が勝ったらデートしてくれよ」



 それはあからさまな挑発……じゃないな……あの表情見たことあるよ、女の子と遊びたくて必死な時の妻田の顏だぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 本気でデートしたいんだぁぁぁぁ!!

 この状況に沖田と朱はどうするんだろうか?













ウマ娘にすっかりはまっています。



気分転換にラブコメも書いてみたので読んでいただけると嬉しいです。コメディ強めのラブコメです。



『ハイスペック恋愛クソザコお嬢様である黒乃姫奈に手を出したら俺の〇〇〇が飛ぶ~好きすぎて我慢できないから距離を置こうと思ってんのにウチに住むってマジで言ってんの??』


https://ncode.syosetu.com/n0032gz/

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【催眠ごっこで結ばれるラブコメ ~初恋の幼なじみの催眠術にかかった振りしたらムチャクチャ甘えてくるんだけど】 こちらが新作です。 催眠術をきっかけに、素直になれなかった幼馴染達が結ばれるラブコメです。
― 新着の感想 ―
[良い点] はまりすぎw 沖田なら勝つ!   よねw [一言] 映像みてると大運動会が頭をよぎるw
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