沖田君の恋6<不審者と眷属の恋歌 フェイズ6>
「それでね、最近このゲームが面白いのよ。女の子が結構可愛いの。それに白馬とかもいるし、ペガサスっぽくてかわいくないかしら? 使い魔に欲しいわよね」
「あー、無茶苦茶流行ってるよな。でも、使い魔にウマかぁ……ちょっと大きすぎないか? いや、でも騎士的にはウマはありだな。ウマ息子とかいないのか?」
そう言って楽しそうに紅が見せてくるのは競走馬が擬人化されているソーシャルゲームだ。育成要素があって中々面白いらしい。俺もやりたいのだが、今はFGOと原〇で忙しいんだよな……
今日は沖田の練習試合である。俺と紅は朱と待ち合わせをしていた。なんで二人かって? それはまあ……せっかく集まったんだし、ランチだけでも二人で食べようって言うだけである。別に少しでも二人一緒にいたかったとかではない。
「じゃあ、そろそろデザートでも注文を……」
「バクシンバクシンですわーー!! ずるいですわ、紅お姉さま、お食事なら私も誘ってくださいまし、こんな騎士よりも、楽しませてみせます!!」
変な事を言いながら俺達のテーブルにバクシンしてきたのは、もちろん朱である。どうせ、早めについてたまたま俺達を見つけて、紅と一緒に飯を食べている俺に嫉妬したのだろう。
「クソ、また俺と紅の二人の時間を邪魔しやがって……ってなんだその恰好。なんで尻尾が生えてんだよ!!」
「見て驚くといいですわ。黄泉の魔女の眷属、ウ〇娘モードですわ」
そう言ってどや顔をしている彼女は通っている中学の制服に、リボンを耳の様に結び、尻尾をはやしている。いやいやいや、なんで尻尾が生えてるんだよ。ハロウィンは終わったんだが……くっそ、ファンタジー世界みたいでいいな。これが許されるならば、俺も甲冑とか着て歩きたいものだ。てか、仮にも紅も偽装しているのだ。この格好できたら引くだろう。
「可愛いわね……朱、写真を撮るわよ」
「もちろんですわ、紅お姉さま!! よかったらお姉さまの分もつくってきたんですがどうでしょうか?」
「予想以上にノリノリだった!?」
そう言いながら、紅と朱がパシャパシャとスマホでツーショットを撮り始めた。待って、完全にデートどころじゃなくなったんだが……ああ、でも、紅のウ〇娘姿とかいいよな……てか、獣耳とかっていいよな。俺がそんな事を思いながら朱を見ていると、目が合ってしまった。
「お姉さま、気を受けてください、騎士が厭らしい顔をしていますわ!!」
「してねえよ、理不尽ないちゃもんつけるのやめてくれないか? 俺は紅のウ〇娘姿を想像していたんだよ」
「ふーん。その割にはなんか朱を見てにやついてたわよ」
朱の言葉でこちらを振り向いた紅がじとーっとした目で俺を見つめてくる。無茶苦茶疑われている。だけど仕方なくないか? 好きな人のけもみみだよ。絶対興奮するだろ。
「まあ、私のウマ娘姿は置いておくとして、朱……聞きたいんだけど、あなたも応援しに来るなんてちょっと意外ね。現世の事は興味がないものだと思ってたわ」
「それはその……まあ、私は興味はなんですけども、どうしても来てくれと言われたから仕方なく来てあげただけですわ」
紅の言葉に朱が顔を赤くしながら答える。おいおいおい、これって脈ありなんじゃ……てっきり沖田の独り相撲だと思ったが、朱も少し意識をしているのか? いや、冷静に考えてみれば、俺よりずっとモテる沖田なのだ、女性へのアプローチも慣れているのだろう。
それにしてもこれはいいツンデレですねとおもってニヤニヤしているとなぜか紅が不機嫌そうに俺を見つめていた。え? 俺何かやっちゃいました?
「そろそろ時間ね……行きましょう」
「もちろんですわ。あと……よかったら、お姉さまもウ〇娘姿になりませんか?」
「そうね、考えておくわ。勝負服はここぞというときにとっておくのよ」
そう言って立ち上がったので俺もついていく事にする。そのタイミングでスマホがなったので確認すると「そんなにウマ娘が見たかったら今度は私が着てあげるから、朱ばかりみないの!!」と紅から来ていた。
慌てて彼女を見ると、振り向いた彼女と目が合ってべーっと舌を出された。いやいや、別に朱に見惚れていてニヤニヤしていたわけじゃないんだけどな……でも、紅のウ〇娘姿が見れることになったのでなによりだ。俺の彼女は今日も可愛いな!! そう思いながら沖田の試合会場へと向かうのであった。
ウマ娘にはまりました