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39.文化祭二日目<魔女の騎士と黄泉の魔女の恋愛譚>

『それではこれで今回のプログラムを終了いたします』


 ナレーションとともにまばらな拍手がおきて俺たちは満足そうにうなずいた。今回も何とか無事におわったようだ。



「恵理子お客さんの入りはどうだ?」

「動画を流したのが効果的だったからかしらね、中々よ。友人に聞いたけど、逆に天草先輩のところはリピーターばかりで新規の客はふえていないらしいわ」

「よかった……天草先輩には勝ちたいですからね」



 恵理子の言葉に俺と紅は安堵の笑みを浮かべた。今日は昨日と違い一般人もいるのだ。生徒の家族もいるわけで、天草先輩のところの出し物は教育上あんまり良くないからだろうか、あまり増えないようだ。まあ、カップルであそこに行ったり、家族連れで行くのは度胸がいるよな。ちなみに妻田は行き過ぎて出禁になったらしい。



「恵理子もありがとうな、受付だけじゃなくてポスターも描いてもらって……でも結構普通だよな、正直な話最初はどんなものが来るのかドキドキしていたんだが……」

「そうですね、その……擬人化と聞いていたのでもっと絡みがあるものを想像していました」



 俺は恵理子の背後に貼られたポスターをみながらつぶやく。そのポスターは凛々しくガタイの大きい半裸のオリオンと、サソリらしき尻尾のついた擬人化された中世的なイケメンが追いかけっこをしているポスターだ。実はもっとBLっぽいものが来ると思っていたからほっとした。俺たちの言葉に恵理子はあきれたように言った。



「あのねぇ、子供だって見るのよ、私たちの文化がマイノリティだってことはわかってるんだからみんなの目に映るところに書くわけないでしょ」

「そうだよな、悪かった。でも隠れキリシタンみたいでそれはそれでテンションあがるよな」

「ええ、だから私のツイッター名を言った人だけにプレゼント用のポストカードを作ったのよ」

『うわぁ』



 そう言ってどや顔で差し出したポストカードを見て俺と紅は引いた声を出してしまった。ポスターの続きなのか、サソリにつかまったオリオンが押し倒されて尻尾で(自主規制)されているところだった。これは確かにうかつに世に出してはいけない禁書だった……



腐腐腐ふふふ、一日で作った割にはクオリティが良いと思うのだけれどどうかしらね」

「ああ……まあ、いいんじゃないかな……」

「それはともかくあんたら次まで時間あるし、宣伝がてらその格好で文化祭回ってきなさいよ、練習と調整でろくに楽しんでないでしょ」

「え、でも……」

「せっかくだから彼女と文化祭デートを楽しめって言ってるのよ。察しなさい。大事な青春の一ページなんだから」

「……ありがとう」



 恵理子が俺にだけ聞こえるように囁いた。その言葉に俺は顔を真っ赤にしてしまう。でもそうだよな……せっかくだから紅と一緒に回りたい。



「じゃあ、行くか、紅」

「え、ですが……」

「いいのよ、さっちゃん。私がここにいるから宣伝してきて」



 恵理子の最後の一言が効いたのか紅俺は文化祭を楽しむことにした。それにしても白い外套のようなきた紅は神秘的でかわいいと思う。いつもの魔女モードもいいがこれはこれで女神みたいでテンションがあがる。



「えっちゃんと何を話してたんですか?」

「え、いや何でもないぞ」

「ふーん」



 俺の言葉に何やら紅は不満そうにいった。あ、なんか変な風に誤解されているなこれは……俺がどう説明しようと悩んでいると紅が、俺の耳元でささやく。



「あんたは私の騎士なんだから、ほかの女にデレデレしないようにね。さもなければ魔女の呪いが降りかかるわよ」



 彼女の吐息が耳にかかりぞっとしてしまう。どうやら恵理子にささやかれ顔を真っ赤にしたことに嫉妬したようだ。少し冷たいを目をした彼女は衣装も相まってまるで堕ちた女神のようだ。まあ嫉妬してもらえるとは怖いけど嬉しいな。しかし勘違いしないでほしい。俺は彼女一直線なんだよ。



「その……恵理子にせっかくだから彼女と二人きりでデートしてこいって言われたんだよ……なんか恥ずかしくてついな……」

「な……馬鹿じゃないの……」



 俺の言葉に紅が顔を真っ赤にした。そして「うー」とうなりながら俺の手を握った。彼女の体温が俺の手を覆う。



「おい……」

「彼女とのデートなら手くらいつなぎますよね」



 そういうと紅がどんどん先に行ってしまう。俺は引っ張られる形で彼女についていく。でも今は無理に並びはしない。彼女が顔を真っ赤にして恥ずかしがっているのがわかるからだ。もちろん俺も……

 さあ、文化祭を楽しもう。




オリオンとサソリは何をしていたんでしょうね!!

更新遅れて申し訳ありません。神矢と紅の文化祭デート編です。俺もこんな高校生活を過ごしたかった!!


新作というかヤンデレヒロインを書いてみようってテーマで書いた作品になります。中篇くらいの長さですが毎日更新するのでよんでくださると嬉しいです。自分でもヒロインがみんな似てしまっているなって思ったので書いてみました。よろしくお願いします。


別作品がランキングのって驚いております。よかったらこちらも読んでくださるとうれしいです。


『口は悪いが巨乳で美人な幼馴染に「別にあんたのことなんて好きじゃないんだからね!!」って言われたから「俺もだよ」って答えたらヤンデレになってしまった。』


https://ncode.syosetu.com/n0195fz/


おもしろいなって思ったらブクマや、評価、感想をいただけるとうれしいです。


特に評価ポイントは、『小説家になろう』のランキングシステムにおいてはかなり重要視されるんですよね。


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【催眠ごっこで結ばれるラブコメ ~初恋の幼なじみの催眠術にかかった振りしたらムチャクチャ甘えてくるんだけど】 こちらが新作です。 催眠術をきっかけに、素直になれなかった幼馴染達が結ばれるラブコメです。
― 新着の感想 ―
[良い点] 無事終了~ 先輩にも勝ったようで さて学際デートどうなるか? [気になる点] オリオンxサソリ 見たいような見たくない様なw [一言] ちょっとした嫉妬はかわいいもんだw
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