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25.ハロウィンパーティー2

 私服の真っ黒いワンピースに着替え終わった紅が顔を赤くしながら俺を呼びに来たので久々に紅の部屋に入った。今日はハロウィンということもあり、カボチャ系のグッズやウィッカーマンだっけ……木で編まれた人形が飾られている。コキュートスも可愛がられているようで、ベットの枕元に飾られていた。自分があげたものが大事にされていると思うと嬉しいな。それはさておき……



「なあ……これって何だ? すっげえ、かっこいいじゃん」



 俺がリクエストした料理達の並べられたテーブルの真ん中に置かれている黒い液体が入った無駄にでかい禍々しい髑髏の形をした鍋を指さした。



「ふふ、今日は悪霊が跋扈する日ですもの。彼らを迎えるにふさわしい魔女鍋よ」

「おー、いいねぇ、手に負えない悪霊が来たら俺も手助けしよう。しっかしこんな変な鍋良く見つけたな……」

「アマゾンで3000円くらいだったわ」



 思ったより安い!! てかなんでもあるな……アマゾン……中を覗くと何かの骨? がういている。え、ごめん。本当にナニコレ? 



「お前まさか野良犬とかを……」

「そんなわけないでしょ、食べてみなさいよ。まったくデザートだったのに……」



 俺が恐る恐る小さい骨のようなものを食べてみると甘みが口に広がる。あ、これチョコソースの鍋に白玉で作られた骨だわ。美味しい!!



「そういえば仮装はしないの? さっきのみたいな……」

「あれは忘れなさい……本当は黄泉の魔女のハロウィンVerがあったんだけど、おねえちゃんに隠されちゃったのよ……あんな格好着れないし……」

「えー、魔女としてそれでいいのかよ!! せっかくのハロウィンだろ!!」


 さっきの格好は確かにやばかったなぁと思っていると、紅もよっぽど恥ずかしかったのか顔が赤い。しかし、黄泉の魔女ハロウィンVerってソシャゲみたいだな。



「そんなに残念そうな顔しないの。まあ、どうしてもっていうなら猫耳くらいならしてあげてもいいけど……」

「お願いします!!」

「本当に黒竜の騎士としてのプライドはどうしたのよ……にしてもこれじゃ魔女っていうより魔女の使い魔の黒猫って感じじゃない?」

「大丈夫、可愛いぞ。語尾ににゃーってつけてくれない?」

「いうわけないでしょ」



 そう言ってあきれながらも紅は猫耳をつけてくれた。やっべえ、くっそ可愛い。写真を撮りたい衝動に襲われるぜ。そして俺達は料理に手を付ける。おお、すべて美味しいな。ステーキも柔らかくて肉汁があふれてくるし、サラダもドレッシングと合っていて絶品である。 美味しい料理に可愛い彼女(偽装)。こんな幸せでいいのかな?



「そういえば今日は朱も来るって聞いてたけど先に食べてていいのか?」

「ええ、あの子は部活があるから終わってから来るっていってたわよ、あの子の分も温めるだけにしてあるから大丈夫よ」

「沖田は誘ってないんだっけ?」

「ええ、神矢以外の男性を部屋に呼ぶのは抵抗がね……それより一つ忘れてないかしら……」

「え、忘れてるって何を……?」

「ハロウィンと言えばこれでしょう? トリックオアトリート。お菓子をくれないと悪戯しちゃうわよ」



 猫耳をつけてはにかむ紅はとても可愛らしくて……俺は即答した。



「いたずらでお願いします!!」

「え、あんたお菓子持ってきてたじゃない、それよこしなさいよ」

「いえ、いたずらでお願いします!!」

「無限ループこわ!!  あんた今日ちょっとおかしいわよ……じゃあ、スマホを渡しなさい」



 確かに猫耳の紅が可愛すぎて今日はちょっとおかしいかもしれない。でもまあ、仕方ないよな、ハロウィンだし……黒竜の騎士たる俺も悪霊に取りつかれているのかもしれない。

 あきれた顔の紅にスマホを渡すと彼女は俺の隣に座ってきた。うおおお、ボディーソープの匂いだろうか、相変わらずいい匂いがする。これから何はじまるの? どんないたずらされるの? 俺がドキドキしていると紅はスマホのカメラ機能を起動して一言。



「カメラみて。はい、チーズ」

「え、心霊写真でも撮るの?」



 スマホには可愛らしい笑みを浮かべた猫耳の紅とまのぬけた顔をした俺の2ショットがあった。紅は写真をみると嬉しそうにその写真を待ち受けに設定して俺にスマホを返した。



「いたずらの内容はこんな感じかしらね、その……別にいやだったら待ち受け画面変えてもいいけど今日くらいはそのままにしておいてくれると嬉しいわね」

「何そのいたずら、お前可愛すぎない。一生変えないから安心して」

「一生? 来世でも変えないくらいの事いってほしいわね」



 来世にスマホあるかなぁって思っているとチャイムが聞こえた。くっそ、俺と紅の二人っきりの時間を邪魔しやがって……



「朱ね、悪いけど神矢むかえにいってあげてくれないかしら。私はあの子の分の料理を温めておくわ。あなたの事を驚かすって気合入れてたから気を付けてね」

「了解、あいつどんな仮装してるんだよ……」



 俺はちょっとこのやりとり恋人っぽいなあなどとニヤニヤと思いながら玄関に朱を迎えに行った。扉を開けると右手に赤色のバットを持ち魔女の恰好にパンプキンヘッドの怪しい人物が立っていた。え、こいつこの格好でここまで来たの? 通報されない?



「あなたは黒竜の騎士……玄関に迎えに来るなんて……紅姉さまの彼氏ずらをして!! デットオアカース。どちらか選ぶといいですわ」

「何で死か呪いなんだよ。トリックオアトリートじゃねえのかよ!!」

「ちなみにデットはこの『魔杖アブソリュートクリムゾン』による撲殺で、カースは……」



 朱は一端を間をおいてパンプキンヘッドを取り外した。すると本来可愛らしい顔にやたらリアルなゾンビメイクをした朱の顔が現れる。こえええええええええ、傷とかむちゃくちゃリアルなんだけど!!眼球も白めだよ。これもう特殊メイクじゃん。



「黄泉の魔女の呪いによって、眷属にかまれることによって貴様も黄泉の住人になるのですわ!! 観念しなさい」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」



 ゾンビメイクの朱にビビってしまい俺は玄関先で押し倒された。なんか首にかみつこうとしてきやがる。ゾンビ映画かよ!! 俺がとっさに押しのけようとすると右手が柔らかいものをさわっているのを気づく。これはまさか…おっぱ……



「神矢……何をやってるのかしら?」

「紅姉さま!! いまこいつも眷属にしてやりますわ」



 朱がなにやら騒いでるが耳に入らない。紅の冷たい視線は俺の右手を捕えていてそして、その右手には……



「けっ、『巨乳女子高性』が好きだものね……」



 俺の持っているDVDじゃねーか!! くっそ、俺は一生紅のにいじられるのだろうか。そうして朱も含めハロウィンパーティーは続くのであった。でも右手は柔らかくてしあわせでした。






あとがきに書くことがなくなってきましたね。


ちなみに紅の姉は大学生です。

ハロウィンパーティーって渋谷や池袋のイメージが強いんですが友達同士でもハロウィンパーティーとかするんでしょうかね?


面白いなって思ったり、厨二っていいよねって思ったら、ブクマや感想、評価いただけると嬉しいです。

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