21.恵理子のお願い<腐界の女王の依頼>
「神矢に沖田一生のお願い!! 売り子をやってくれないかしら、今週末のオンリーで頼んでた子がインフルになっちゃったのよ」
「はぁ?」
「なんだって?」
放課後に恵理子に呼び出された俺と沖田は思わず聞き返した。てかここ一応天文部のなんだけど……と思いつつも秘密の話をするのに適してるのはここなんだよな……最初にここに恵理子を入れたときは内装をみてまじかって顔をされたものだ。
「私の趣味知ってて仲良いのあんたらしかいないのよ、それにキャラ的にも二人の身長差とかぴったりなのよね」
「だからってなんで俺達がやらなきゃいけないんだよ。俺にも家で魔力を貯めるっていう大事な予定があるんだよ」
「僕も予定あるんだよねぇ……イベント周回しなきゃいけないんだ……いま銀河の危機を救っているんだよ」
「そう……それは困ったわね……おっと、落としちゃったわ」
俺達の言葉に溜息をつきながら恵理子は何かの写真を落とした。そこに写っているのはメイド服をきて慣れない化粧した男子生徒だ。ってか中学の俺じゃねーかよ。なんで持ってんだよ。学園祭でじゃんけんで負けて女装をさせられたのだ。俺の黒歴史の一つである。
「神矢がオッケーしてくれないなら私ついついっさっちゃんにこれをみせてしまうかもしれないわね」
「きったねーぞ……」
くっそ……この幼馴染卑怯すぎない? 人の黒歴史を人質にするとは……紅がみたらどんな反応をするのだろう。なんか喜びそうでちょっとこわいな……
「あー。神矢どんまい。僕は帰らせてもらうね」
「お前この前中学生と一緒に歩いていたのばらすぞ」
「へー、何それ詳しく教えなさい」
「神矢ぁぁぁぁぁ!」
自分は関係ないとばかりに部屋を出て行こうとする沖田を俺は引き留めた。恵理子も興味深そうに食いついてきた。やっぱり親友っていうのはつらいこともたのしいことも共有すべきだと思うんだよな。
「このまえ、カフェでダブルデートしてたんだけど、こいつその中学生にエッチなサイトみせて怒らせて帰らせちゃったんだよ」
「うわ、ひくわ……」
「違うんだよぉぉぉ、いや、嘘はいってないけど色々事情があるんだよぉぉぉ」
部室にごみをみる目で恵理子に睨まれている沖田の絶叫が響いた。その通り俺は嘘は言っていないのだ。まあ、ダブルデートっていうよりも黒竜の騎士と魔女の眷属との戦いだったが、はたからみればダブルデートにみえなくもないだろう。
「剣道部のエースロリコン疑惑ね……私ったらついついみんなに話しちゃうからすぐ広まるけど強く生きるのよ」
「俺もついついみんなにばらすけど許してくれよな。多分これから剣道部で何か偉そうな事いってもこのロリコンカッコつけてるなって後輩に思われるんだろうな。がんばれよ、ロリコン」
「わかった……僕も行くから朱とのことは秘密にしてくれないかい……」
ようやく沖田も観念したらしく俺達は恵理子から話を聞くことにした。どうやらとあるゲームの同人イベントがあり、そこに出す同人誌の売る手伝いをしてほしいとのことである。
俺達にはそのカップリングのキャラのコスプレをお金のやりとりをしたり、ファンサとして時々みつめあったり、さりげなくスキンシップをしたり、飲み物を間接キッスで回し飲みすればいいらしい。待って後半おかしくない? いや、後半どころか最初以外おかしいだろ。
「まあ、いいじゃない。へるものじゃないんだし」
「何か人としての尊厳が減る気がするんだが……」
「それって僕らが性的な目でみられないかなぁ……」
「……きっと大丈夫よ」
まてよ、今の間は何だ。とはいえ恵理子が俺に頼み事なんて珍しいので引き受けてもいいかもしれない。ちょうどその日は紅も朱と遊ぶらしいからとデートを断られたので暇だったのだ。
「いいぜ、引き受けるぞ。晩御飯くらいおごってくれよな」
「まあ、神矢がいくなら僕も付き合うよ」
「二人ともありがとう。これ衣装ね。一応サイズあうかだけ確認しといてね」
そういって俺達に持っていた袋を恵理子が渡してきた、これ最初っから俺たちが拒否することかんがえてなかったことだよな……恵理子の思惑通りに話が進んでいるようだが、まあ、いいかな。
「おお、このキャラか。僕はどちらかというと新撰組のほうが好きなんだけど、まあいいや。台詞もある程度わかるから」
「俺このキャラよくわからないんだけど……」
「とりあえず、『ワシは剣の天才じゃー』っていってればいいわ」
「なんだ、そのかませ犬っぽい台詞……」
そうして俺達は次の休みに恵理子の手伝いをしに行く事になったのだった。まさかあんなことになるとはこのときの俺は思わなかったのである。
爆死した!! まあ、それはさておきなんですが最近ブクマが減ったりで悲しいので頑張ります。書いてて楽しいし、読んでくださる方や感想くださる方もいらっしゃるの嬉しいので、更新速度は変わらないのでご安心ください。
面白いなって思ったらブクマや評価で応援くださると嬉しいです。
あと新しい短編を投稿してみました。こちらも読んでくださると嬉しいです。ヤンデレっぽいヒロインを書こうと思ったら結局ツンデレになってしまいました。安心院君の話です。なんかこっちに書くのもなんだかなぁって感じだったので短編で投稿してみました。
「イベントで推しキャラの可愛いコスプレイヤーがいたから声をかけたら隣の席の口うるさいけど美人なクラスメイトだった件について」
https://ncode.syosetu.com/n5047fv/