【9】想いの真偽
えりまき ねぅです。
ごらん下さりありがとうございます。
◇前回までのおはなし◇
宇宙ネコと私は汽車に乗って歯車市の大学にいる天才アサン・ナファイル博士に会った。
10年前に確認された重なっていたもう1つの星に、何故ココロはいたのだろうか。
博士の説明は予備知識のない私にもココロにも理解出来た
この博士の講義を1度受けてみたいもんだ。
「博士は10年前にこの写真で別の星の存在に気が付いて
それでココロの存在に気が付いたんですよね?
一体どうやってココロに気が付いて、
なぜココロだけがこっちに来れたんですか?」
「なんでかな〜?なんでかな〜?
なんでなんだろねぇ〜?
君はこの子の事多少は調べてるんでしょう?
宇宙ネコとはって奴」
「えぇ、依頼を受けたからには調べられる事なら」
博士はココロに分からないようにうまく誘導してくれた
「だよね〜
それね、わしが資料にしたんだよ」
この博士恐るべし・・いろんな所に現れるなと私は思った
「ココロの記憶が何故ないのかは、
今までのわしの話をよ〜く復習してみるとわかるよ?
うん」
本当にその通りだ、私は大体はもうわかっていたが
ココロもわかったのだろうか、さっきからずっと黙ったままだ。
「まだ少し聞きたい事があるんですが・・いいですか?」
「まぁいいよ、
全ては答えられない事もある予感はしてるけど」
「1つ目は、
ココロとあの工場の近くで接触した者は皆不思議な影響を受けていたこと
2つ目は、
光る石とは何か
3つ目は、
何故ココロはあの場所に居なければいけなかったのかと言う事」
「ふむぅ
質問はそれで全部なのかね?
1つ目のおかしな影響はココロの能力だけではなくてだね、
残された残留思念と思われるエネルギーと反応したんだな。
残留思念もエネルギーの1つでね、
そのエネルギーの産物が2番目の光る石な訳。
残留思念はエネルギーが強いから、
ココロの能力と反応して人に入ってっちゃったんだろうね。」
「あれ?
おかしくないですか?
あの星の存在は消えてしまうんじゃ?
なぜその存在が消えてしまったのにまだ残ってるんでしょう?」
「君はなかなか頭がいいな〜
そうだ蒸気機関などの熱交換に例えようかな
あ、因みに蒸気機関はわしの作品なんだけどね
わしが10歳位の時に火に鍋をかけてたらあふれてね
それをそのままを再現してみたの
第1号は鍋とヤカンで作ったなんてイカしてると思わない?」
私はこの博士の口調がたまにココロに似てるのが嫌だなと思った
「で、なぜ消えなかったかって話に戻るね
元は火だったエネルギーは水を暖めて沸騰させるでしょ?
つまり火から水にエネルギーがうつっちゃったって事だよね〜
別の物質がこの星の物質だった場合
こっちの物質にエネルギーが移ってしまった場合では消えないらしいんだよ
これは結果論なんだけどね
わしもあの星が消えたと分かった時はちょっとあせっちゃった〜」
「なるほど〜
ところで光る石は何に使ってるんですか?」
「光る石はね、
そうだ、キミは駅の地図を見たかい?」
「えぇ、見ました
丸い玉が光る奴ですね?」
「うん、身近なとこではそういうのに使ってるんだな
光る石はとてもエネルギーが強い上に
そのエネルギーはなくならずにずっと使えるんだ
すごいと思わないかね?」
「それが人の残留思念なんて」
「だろう?
わしも驚いたよ、
この残留思念はこの星ではまだ採る事が出来ないんだ
理由はエネルギーが別のものと固く結合した状態でね
あの星の物質は非常に不安定になってたから結合が離れてたんだな〜
でねぇ、
あの工場の場所は偶然にも別の星とのつながりを持っていたんだよ」
「あの工場がつながっていた?」
「うん、あの星は不安定な状態でね
全ての位置があやふやになっていたんだよ
おかげであの接点から色々な場所へ繋がる事ができたんだが・・
残念ながらその論理はわからんのだ
人間に理解出来るまでにどれだけの時間が必要なのやら」
「あ、ココロと3番の」
「そうそう、それでだね
なぜココロを発見出来たのかだよね
それは簡単なんだ
あの星にはココロしか居なかったんだよ」
「まさか・・
ココロはずっと一人で?
・・あの、これはおそらくなのですが・・」
私はココロの見た白い夢の事を話した
「白い夢か、なるほどな〜
それがもしあの星での事なら
存在があやふやになってしまった人々を
あの時点ではもぅ見ることが出来なかったんだろうな」
「結合が外れた事に関係あるんでしょうか」
「そうかもしれんな、
実際は他にも人がいたのかもしれんが・・
で、ココロがなぜそこに居ないといけなかったかって事だけどね
それはこっちに来る前のココロの意思だったんだよ
結果的には同時に別の使い方にもなってしまったがね
わしは副作用を従業員に使うべきではないと言ったのだが
スポンサーの方針にわしがどうこうは出来んしどうしようもなかった
ココロには少しながら街の人間に頼んで仕送りを渡してもらっていたが
それは届いておったのかな?」
ココロが少ないながらお金を持っていたのは、この博士からの仕送りだったのか
工場も光る石も何かはわかったけど、
あの星の存在や、ココロがどこから来かはまだわかっていない
この先を調べられるのか私は少し心配になってきていた
博士はまだ歯車市にしばらくいるのなら、
見せたいものがあるから二人でまた明日にでもおいでと言った。
私達は博士にお礼を言って大学の門を出た。
帰りのバスの車内、ココロは長話に疲れた様で寝てしまっている。
話の途中からココロはずっと黙って何を思っていたのだろうか。
私は帰り際にココロに先に外に出てもらいもう1つだけ聞いていた。
それは私の魅了の事。
博士の話によると、
あの工場付近にまだ残留思念のエネルギーが残っていてその影響を受けたのではないかと言っていたが。
知りたいのは、私のこのココロへの想いは本物なのか、
それともただ影響を受けただけのかだった。
もし、影響を受けたのなら一体誰の想いだったのだろう・・。
もしこの影響が消えた時、私はココロの事を今までの様な想いのままで見れるのだろうか。
ココロの寝顔を見ながら私は考えていた。
想いの真偽、いかがでしたか?
想いの真偽に悩みつつ、今後一つ一つの真実が見えていきます。
ぜひ次回もお付き合い下さい。
えりまき ねぅ