【3】ココロ -心-
えりまき ねぅです。
工場裏の宇宙ネコをごらん下さりありがとうございます。
このストーリーのイメージソングに、
福間未紗さんの歌う
「おいしい水」(CE N'EST QUE DE L'EAU)
を勝手ながら作者えりまき ねぅは脳内設定をしてます。
もし機会がありましたらぜひ聴いてみて下さい。
◇登場人物◇
【宇宙ネコ】
過去の記憶がない青く美しいネコ、耳が長い。
自分の過去を知りたがっている。
妖魔(猫又とは違う)と言われているが。
【私・ボク】
読者的な視点。
宇宙ネコの過去を調べる事を引き受け、調査をしてるうちに宇宙ネコに魅了されていく事になる。
◇前回までのおはなし◇
宇宙ネコの過去を調べる依頼を受けた後に、
調査をしているうちに工場の秘密が少しわかってきた。
どうやら宇宙ネコは利用されていたようだ。
多分、まだ少しなんだろうけど、だんだんと事実がわかって来た。
私は人に利用されて、
5年以上も工場裏に居させられた宇宙ネコがかわいそうでならなかった。
青く美しく耳の長い、宇宙ネコの顔や仕草が浮かぶ。
私は色々と考えつつ、宇宙ネコの待つ事務所兼自宅に戻った。
「ただいま」
『おかえり・・』
「あれ、、
どうかしたの?」
見ると宇宙ネコは泣いていた
「えぇっ!?
なんで泣いてるんだい?」
『悲しいの
宇宙ネコはとっても悲しいの』
そう言って宇宙ネコはしくしく泣いた。
一体どうしたというんだろう?
「嫌な事でもあったの?」
宇宙ネコは首を振った
「どっか痛いの?」
また、宇宙ネコは首を振った
「あ、もしかして・・
お家に帰りたくなったのかい?」
宇宙ネコはブンブンと首を振った
困ったな・・
私は宇宙ネコの頭をなでた
「……!」
私はハッとしてある事に気が付いた。
すると宇宙ネコは頷いて、顔を上げて言った
『宇宙ネコは
あなたの心に泣いていたの』
私は、宇宙ネコは《人の心をよく媒介する》と言う言葉を思い出していた。
「そうか…
原因は私だったのか
すまなかったね
もうボクは大丈夫だよ」
私は宇宙ネコに笑顔で微笑んだ
『いいこいいこ
もう大丈夫だからね』
宇宙ネコは私の頭をなでてくれた、結局慰められたのは私だったのだ。
「あ…」
今私は自分の事をボクと言った…?
宇宙ネコは落ち着いたらしく、またビー玉をコロコロしている。
「あのさ、宇宙ネコさん?」
『あぃ?』
おかしな返事をして宇宙ネコは振り向いた
「キミの名前ってさ
その、何て言うんだい?」
『名前?
わからないの
宇宙ネコはわからない事だらけなの』
「そうか
うーん・・
名前あった方が呼びやすいんだけどな」
『そうなの?
こまったの
宇宙ネコはこまってしまったの〜』
両手を頭の上に乗せて、
縮こまった様子は余り本気で困ってる様には見えなかったが
『そうなの!
コレ!
コロコロがいいの!』
宇宙ネコは私が空き缶で作った、
迷路のコロコロを手に持ってそう言った。
「えー・・それは名前として成立するのかどうか・・
あ、そうだ!
ロを1つ抜いて<ココロ>で、どうかな?」
『ココロ!
宇宙ネコはココロなの!』
宇宙ネコはとても嬉しいらしく、
両手を上に上げ大きな声でそう言うと、いつもの様に耳をくりんと回した。
偶然にしてはいい名前だった思う、
だって宇宙ネコは人の《心》の痛みがわかるんだから。
「じゃぁ改めましてココロ?
ココロに
もう1つ聞いていいかな?」
『なぁに?』
宇宙ネコは首をかしげた。
「どうしてここに来てくれたんだい?
町の人が町に来ないかって誘っても、
あの約束を守って行かなかったのに」
『それは』
「それは?」
『あなたがわたしの事を好きで
わたしもあなたの事がすきだったからなの』
「………ッ!」
(なぜそれを!
それどころか、
もう1つ衝撃的な言葉が聞こえた気が・・)
はたして私の心の叫びは届いたのだろうか。
私はしばし呆然とした。
暫くしてと我にかえると、
宇宙ネコは私の目の前で、満面の微笑みを浮かべていた。
『あなたの事
宇宙ネコは大好きだよ』
「ボ・・ボクも・・
ココロが大好きさ」
あたふたしながら私は答えた。
何かがおかしい、
いや、おかしくないんだけど。
宇宙ネコは《人の心をよく媒介する》
そうか、宇宙ネコにとってはわかる事がごく当たり前の事なんだ。
ご覧いただきありがとうございます。
更新は不定期ですが、今後ともよろしくおねがいします
えりまき ねぅ