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【20】そこに光がある限り

少し日にちがあいてしまいましたが、最近小型のノートパソコンを買って遊んでました。

ノートパソコンってなかなか便利なんですね。


◇前回までのおはなし◇

ボクはココロの記憶を取り戻そうと、博士の記憶の接触を提案をした。

その実験中、崩れ落ちるココロ。

ボクの提案は間違っていたのだろうか。


今回はココロの視点になってます。

何も見えない


何も見ることが出来ない世界に今わたしは一人でいる


暗い海の底へと沈む様に、どんどん深い底へに落ちて行く感覚がする


遠くに声が聞こえる


わたしは耳を澄まして声を聞いた

その声は徐々に遠のき、そして聞こえなくなっていった


ただ沈んでいく感覚だけになり、わたしの周りは他に何もない世界になった



暫くして、足の裏に感覚を感じた


海の底にたどり着いたのかな

足が地面についている様な感じがする



さっと風が吹き抜けて、懐かしい匂いがした

ゆっくりと目をあけるとそこに一面の緑が広がっていた


ここはどこだろう?


見渡す限りの草原、青い空に眩しい太陽と所々に浮かぶ雲、どこからか小鳥の囀る声も聞こえる


草の匂いの風が吹いて気持ちがいいな


あ‥


どこからか音楽が聞こえて来る

このメロディー‥聞いた事ある様な気がする


わたしは音のする方向に耳を傾けていた

するとその音は、わたしのすぐ後ろまでやってきた


透き通る様な六弦の音、美しい音色だな


そうだ、このメロディーは知っている

わたしはよくこのメロディーで歌ってたんだ

1つ1つ泡がはじける様に思い出していく


わたしは歌いたいと思った


そう思った時、わたしの名前が呼ばれてやっと振り返る事が出来た

そこには、わたしのよく知っている顔が笑っていた


その顔にわたしも笑顔で微笑む


そうだ、ここはよく来たことがあるあの場所なんだ


知ってる顔はわたしに歌おうと言っている


わたしは歌った


楽しいこの時を、もう忘れたくないと思いながら

でも、その笑顔にはもう二度と逢える事はない様に想えた


 こんなに笑っているのに


 こんなに歌っているのに


 そしてこんなに‥



 愛していたのに



気がつくと、空の色は色を失って灰色に変わっていた

辺りも色を失い薄暗い陰を落とし始めている


乾いた風が吹き、それは草を枯らして行った


見えている景色がちぎり取られていく様に消えてゆく


それと同時にわたしの記憶もちぎりとられていく


お願いもう消さないで


あぁ‥あの人の顔もちぎりとられて消えてゆく


ちぎりとられた部分は見る事さえ出来なくなり

そうなる前の記憶も思い出せない


そっか、わたしはまた一人きりになっていくんだな


その前もずっとずっと一人きりだった気がする

だからこれからもずっと‥やだな‥


違う、元から一人きりだったんだから悲しむ事なんてないんだ

それに一人でいれば二度と悲しむ事もないんだよ



わたしは、何も見ることが出来なくなった地の底で丸くなった


そうしないと不安で仕方がなかった


さっき何か大切なものを失った気がする、でも何も思い出せなかった



どれだけ時間が経ったかもわからなくなっていた時


「‥コ‥ロ‥」


どこかで声がした


それは聞いたことがある声だった


でも、この声もいつかは消えて行ってしまうのだろう


どうせ最後は一人になるのなら、最初から‥うん、逢わなければいいんだよ

だから、このままここにいればいいんだ


「‥コ‥」


でも、どうしてこんなに切ないんだろう

この声を聞いてると、なぜかあふれ出る感情を抑える事が出来なくなる

どんどん心に優しさと、あたたかさがあふれてくる



声がする方にぼんやりと光が見えた

この場所にいて、唯一見ることが出来るその光はとても優しく光っていた


わたしは気がついた


そうか…


きっと無駄な事じゃないんだ


もし忘れてしまったとしても


思い出せなくなってしまったとしても


だから、止まらずに光に向かって歩いて行こう


そこに光がある限り‥!



「ココロ!!」


目を開けると、たくさんの顔が心配そうな顔をしてこっちを見ていた


目の前の顔は凄く泣いている


 この顔‥見たことある顔だ


 そうこの人は


 わたしを愛してくれる人


 わたしが大好きな人


 わたしの光


その光はわたしをあたたかくつつみ込んだ

白い夢と違う別のビジョンで書いてみました。


本筋から外れすぎないように気を付けつつ、まだまだ続きますのでぜひ次回もご覧下さい。


 えりまき ねぅ

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