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不思議な部屋  作者: 竜胆
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スープ②

文は病院の食事は欠食して母が作ってくれた料理を食べます。

母を見送ってから気持ちを落ち着けたくて、病院内をゆっくりと歩いた。温室の外から中に声を掛けてみたら、庭園を管理されている初老の男性がおられたので、困っていたサンスベリアの世話の仕方を聞いてみることにした。

「葉を濡れタオルで磨いたんだね。それでいいよ。水分を蓄えているから、冬場は水を与えずに冬越しさせるんだよ」と、丁寧に教えてくださった。

温室内にところ狭しと置かれている、観葉植物や多肉植物、花の苗の詳しい説明を私は質問しながら受けた。

緑には癒されるな、と感じた。「また温室に来てもいいですか」と男性に尋ねたら、「僕がいなくてもいつでも見においで」と優しく言ってくださった。「ありがとうございます」とお礼を言った。

男性と温室でしばらく話してから、私は「歩いて来ますね」と言ってから、院内の通路を早歩きで歩いているうちに無心になれた。


喫煙所に行き煙草を一本吸ってから、病棟の自分の部屋に戻った。帽子を脱いでから、これも母が編んでくれたんだったな、と帽子を撫でた。ジャンパーのポケットから煙草とライターを取り出して机の引き出しにしまった。携帯を見てみたが着信もメール来ていなかった。

洗面所で手を石鹸で洗い、うがい薬でうがいをした。鏡に映る私の顔は酷い顔色だった。母にこんな顔を見せたのかと悔やんだ。心配かけてばかりだな、と思った。迷惑をかけている自分が嫌で仕方がなかったけれど、両親が望むように実家に戻るのは嫌なのだった。


父が買って来てくれたゼリーの中から梨のゼリーを選んで食べた。口をうがい薬でうがいしてから、机の引き出しから日記帳を取り出して母が来てくれたことを書いた。泣いてばかりだった、と書いた。庭園管理の男性からサンスベリアの手入れの方法を教えてもらった事や、温室にいつでも入って良いと言われて嬉しかったと書いた。


看護師詰め所に行き、シャンプー類とドライヤーを出して貰った。

部屋に戻って、引き出しから入浴剤を選んで取り出し、クローゼットを開けてバスタオルとパジャマと下着をだして、浴室に行きシャワーカーテンを引き、髪を洗って流してから、コンディショナーを髪に塗り込み、頭皮マッサージもした。身体をボディソープで洗ってから、コンディショナーがついている頭からシャワーを浴びて、身体の泡も流し落とした。湯舟をシャワーで流してから、お湯をためて入浴剤も入れてから身体を沈めた。明るい時間にお風呂に入るのは贅沢だなぁと気持ちが上昇した。私はぬる目のお風呂が好きで、長時間入るタイプだった。熱いお風呂はのぼせてしまうから、烏の行水になるのだった。


お風呂を上がり、ためたお湯を抜いて髪や身体をバスタオルで拭いた。湯舟を洗いシャワーで流した。抜け毛も拾った。

顔や身体の手入れをしてから、下着やパジャマを身につけて、カーディガンも羽織った。ドライヤーで濡れ髪を乾かした。髪が伸びたな、と思った。


シャンプー類とドライヤーを看護師詰め所に返しに行った。対応してくださったのは、お洒落な看護助手さんだった。「文ちゃん、お母さんが来てくれたんだって?よかったねー。目が赤いけど、泣いたの?」と聞かれて、「シャンプーが目に入りました」と嘘をついたが、彼はきっとお見通しだな、と思い恥ずかしかった。

「文ちゃんのご両親は二人とも優しいのに、文ちゃんは素直になれないんだね」と言われてしまった。私は何も言い返すことが出来なかった。

「今日はもう寝ます。母が作って来てくれた料理がありますから、明日まで欠食にして貰いたいのですが」とお願いをして彼から了解を得て部屋に戻り、母が作ってくれた野菜スープを飲んだ。優しい味だった。母に『もう家に着いた?野菜スープ美味しかったよ。ありがとう。もう寝ます。おやすみなさい』とメールを送った。

夕薬と就眠薬を飲んで、歯を磨きうがい薬でうがいをしてから、日記帳に先ほど言われた事や自分の気持ちをかいた。そしてベッドに入って眠りに就いた。


翌日起きたら七時を過ぎていた。日記帳に睡眠時間、天気、気分を記号で書いた。顔を洗い、歯を磨いてうがい薬でうがいをした。肌のお手入れをして、パジャマを脱いで部屋着に着替えた。洗濯物がたまっていたから、洗濯室に行き空いている洗濯機があるか見に行った。幸い空いていたから、慌てて洗濯カゴに洗剤と柔軟剤も入れて洗濯室に行った。洗濯機に洗剤と柔軟剤を入れて、蓋をしてスウィッチボタンを押した。


部屋に戻ってクローゼットからジャンパーを取り出し、ポケットに煙草と携帯を入れて、エレベーターで一階に降りようとしていたら、朝食の時間の八時を知らせる音楽が流れた。私は煙草を吸ってから母が作って来てくれたスープを飲もうと思い、エレベーターに乗り一階に降りて喫煙所に歩いて行った。

喫煙所は無人だった。ベンチに座ってゆっくりと煙草を吸った。


病棟の自分の部屋に戻り、ジャンパーを脱いでポケットから煙草とライターを取り出し、机の引き出しになおして、携帯は机の上に置いた。

洗面所で手を石鹸で洗い、うがい薬でうがいをした。おしっこをしたら、まだしみて痛みがあった。


冷蔵庫に入れていた、ホタテのスープは豆乳で作ってあり、生理が来なくなった私を案ずる母の思い遣りを感じ取れた。ホタテの出汁が効いていて美味しかった。父が買って来てくれた果物が入ったヨーグルトもスープを飲んだ後に食べた。


歯を磨き、うがい薬でうがいをして、洗濯室に行ったら、洗濯が終わっていたから、洗濯物をカゴに入れて部屋に戻った。そろそろ検診や問診の時間になっていた。


部屋をノックする音がして返事をしたら、副長さんと男性の看護助手さんが部屋に入って来られた。

「洗濯したのね。まだ痛む?」と副長さんはぼかして質問された。私は「はい」と答えた。「明日には大丈夫になると思うわ」と仰られた。私は副長さんの言葉を信じようと思った。

体温、血圧、脈拍測定の後に、問診をされた。私は陰部の痛みについて男性の看護助手さんの手前話せずにいた。副長さんは察してくださり、「先生には話してあるわ。先生が明日までと仰ったの」と言われた。私はホッとした。他には伝えることはなかった。副長さんから、「今日の大浴場入浴は禁止よ。雑菌が多いから」と言われた。「わかりました」と言って、私は頭を下げた。


洗濯物を干しに四階の洗濯物干し場に階段を上って行った。空いたスペースに洗濯物を干して、階段を降りて部屋に戻り下着を干した。外側にハンカチを干して下着が見えないようにしていた。


母に電話をかけた。母はすぐに出てくれた。

「昨日、運転大丈夫だったの?」と私が聞くと、「途中で休んで安全運転で無事に家に着いたわよ。朝ごはんは何を食べたの?」と聞かれ、「ホタテのスープ。美味しかった。ヨーグルトも食べたよ」と言った。「そう、よかったわ。昨日はよく眠れた?」と聞かれ、「うん、十時間以上寝たよ。お母さんはちゃんと寝たの?」と母に聞いた。「私もそれくらい寝たわ。一緒ね」と母は笑っていた。

母に陰部の痛みは明日までだと主治医の先生が仰ったと、副長さんから聞いたと話した。母は安心したようだった。サクラが鳴き声を上げていた。「サクラ、サクラ」と私が呼ぶと甘えた鳴き声を上げていた。しばらくサクラを呼んであげた。


電話を切ってから、午前中の活動のストレッチ体操に出ようかな、午後はアートもあるし、両方に出ようと決めた。妹に姪っ子は今は何色が好きか聞いて、とメールを送った。


四階の絨毯敷きの広間でストレッチ体操の活動は行われていた。閉鎖病棟の二階の方々も参加されていた。

身体が柔らかい私は作業療法士さんや看護師さんからも驚かれていた。バレエを三才から習い始めた姪っ子と会う度に柔軟体操を一緒にしたりもしていた。早く会いたいな、と思った。

まるで瞑想するかのように身を閉じて深呼吸しながらストレッチ体操をした。リラックス出来た。



母は手作りの心がこもった料理やお菓子を作って病院に持って来てくれていました。

当時はその愛情を重たく感じていました。バチ当たりにも。。。


読んでくださり、嬉しく思います。ありがとうございます!

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