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不思議な部屋  作者: 竜胆
23/40

親友

親友が面会しに来てくれます。

ぐっすりと完全熟睡して、朝五時過ぎに目が覚めた。中途覚醒もしなかった。

ベッドの上でゆっくりと息をしながら、ストレッチを念入りにした。目が覚めたし、身体も目覚めたような感じがした。

顔を洗い、化粧水をつけて、朝用乳液を塗り、お粉をはたいて、リップクリームを塗った。


カーテンを開けたら、今日は晴れるようだった。机の引き出しから日記帳を出して、睡眠時間、天気、気分を記号で書いた。睡眠時間は約十時間で完全熟睡と書いた。

日記には、昨日の父とのやり取りや、お土産を貰ったこと、心配をかけているんだな、など書いた。私もどうしていいか分からず、お風呂に入らずに早寝したと書いた。

今日の日付の日記には、友達が来るから楽しみと書いた。


クローゼットの中を調べて、親友と会うときの格好をどれにしようかと悩んだ。喫茶店には、部屋着で行きたくなかった。親友は大らかな性格の子で、きっと気にしないと分かっていたが、私が少しでもマシな格好をしたかったのだった。上下の組み合わせを決めて、ベッドの上に置いた。


もうすぐ七時になる時間になったから、ジャンパーを羽織り、ポケットに煙草とライター、携帯を入れて、ニット帽を被った。首には昨日買ったマフラーでは無く、タオルを巻いた。マフラーは外出用にしようと考えていた。


部屋を出てエレベーターの前に出来ている列に並んだ。二人組もすでに並んでおられた。「おはようございます」と声を掛けると、「文ちゃん、おはよ〜」とほっそりとした女性は、今日もお洒落な出で立ちだった。闊達な女性は上の空のような雰囲気をなさっておられた。


喫煙所で闊達な女性の横に立ち、「何かあったのですか」と、声をひそめて聞いた。「今日、身元引受人の舅が面会しに来るんだってさ。主治医の先生も交えての話し合いがあるんだ。もし入院が伸びたらどうしよう。早く子どもたちの元に戻りたい」と顔を歪められたのだった。。。私は何も言えず、ただ顔を見つめていたら、「文ちゃんが泣きそうな顔になってるよ」と、笑いながら肩を叩かれた。「あいつなんか、心配もしなかったんだよ。薄情なやつだよ」と、ほっそりとした女性の文句を冗談めかして言われた。

「退院後は、お舅さんも一緒に生活しなければならないのですか」と聞くと、「分からない。今日の話し合いで決まるんじゃないかな」と言われた。

「文ちゃんは?」と聞かれて、「私は一人暮らしをしたいです。でも、無職になりますから、不安だらけです。両親とは十年以上一緒にいませんでしたから、実家は息が詰まります。お互いに気を遣うのです」と素直な気持ちを話した。「お互いに不安で一杯だね。難しいね」て言われるので、私は頷いた。

二本目の煙草に火を付けていたら、「似合わねー」と笑われてしまった。


病院の敷地内を一周してから、病棟に戻った。ジャンパーのポケットから煙草とライター、携帯を取り出して机の上に置いて、煙草とライターは引き出しにしまった。ニット帽も脱いでから、洗面所に行き、手を洗いうがいをして歯も磨いた。


机の引き出しから日記帳を出して、先ほどの闊達な女性と話した内容を書いた。


八時になり、朝食を摂りに食堂に向かった。闊達な女性は、ほっそりとした女性と何やら楽しそうに会話をされておられるのが入り口から見えた。

朝食は生卵が付いていて、私は卵かけご飯が苦手というか、食べるとお腹を壊してしまうので、闊達な女性に「もし、よかったら」と言って渡したら、喜んでくださった。

二人に「お昼ご飯は、友達と病院の喫茶店で食べます」と伝えた。「いーなー」と二人から言われた。なんとか頑張って食べたが、ご飯を半分残してしまった。


部屋に戻り、朝薬を飲んだ。以前、副長さんに「お薬は水とお茶のどちらで飲んだらいいですか。変わらないですか」とお尋ねしたら、「水よ。お薬によってはお茶で飲むと効果が無くなる薬もあるからね」と教えられていたので、水もしくはぬるま湯でお薬を飲むことにしていた。それから歯を磨いた。


決めていた服が気に入らなくなってしまい、またクローゼットを開けて、何を着るか悩んでいたら、部屋をノックする音がして、返事をしたら日勤の看護師さんと看護助手さんが朝の検診や問診に来られたのだった。相変わらず血圧は低いままだった。体温も私はかなり低かった。問診では、「変わりは無いですか。困っていることは無いですか」と看護師さんから尋ねられたが、「何も無いです」と答えた。


新たに服を考えるのは諦めて、シャワーを浴びようと看護師詰め所に行って、シャンプー類が入ったカゴと、ドライヤーを出して貰った。

部屋に戻り鍵を掛けた。シャンプー類を持って、ユニットバスに入った。シャワーカーテンを引き浴槽に立ってシャワーを頭から浴びてから、シャンプーで髪を洗い、コンディショナーを髪につけて、頭皮マッサージをしてから、ボディソープで全身を洗って、また頭からシャワーを浴びて、髪のコンディショナーをよく洗い流して、ボディソープの泡はその間に流せていた。

浴槽をシャワーで流して、排水口に残った髪の毛を取った。

事前にユニットバスの外にタオルを敷いてバスタオルをその上に置いていた。バスタオルを取って髪の水分を拭き取り身体も拭いた。

どうしてもシャワーを浴びると、トイレや床が濡れてしまうので、使い終わったバスタオルで拭いて水気を取っていた。


肌のお手入れをしてから、結局朝に決めた服を着た。昨日買ったマフラーを巻いてみたら、服装が粋に見えたのでテンションが上がった。このマフラーを選んで正解だったな、と一人ニヤついたのだった。

マフラーを外して、髪を乾かした。


シャンプー類とドライヤーを返しに看護師詰め所に行って、今度は、コンタクトレンズと液、それとメイク用品を入れたポーチを出して貰った。


部屋に帰って、なるべく薄化粧に、と思いながらメイクをした。洗面所で石鹸で手をよく洗った後に、洗面所の鏡を見ながらコンタクトレンズを装着した。視界がクリアになってよく見えるようになった私の顔は、眉を左右アンバランスに描いていた。

洗面所を出て、ペンシルで眉を書き直した。もともと眉が薄くて細かった。幸薄い顔だな、と自分で思っていた。


看護師詰め所にコンタクトレンズの容器と液、メイク用品が入ったポーチを返しに行くと、対応してくださった看護師さんから、「文さん、美人!」と言われたが、そのアンコール依存症の患者さんを担当されている看護師のうちの一人である方は、美容部員さんも驚く完璧なメイクをいつもなさっておられる、非常に美しく明るく、また頼り甲斐のある看護師さんなのだった。「友達と病院の喫茶店に行くので、たまには化粧してみました」と私が言うと、「しっかり食べて来てね!ゆっくりでいいから」と仰られた。ありがたかった。


部屋に帰り、ジャンパーの臭いを嗅いだら、煙草の臭いがしたから、消臭スプレーをかけて、早く乾くように、いつも下着を乾かしているフックを外して、そこにジャンパーを掛けた。今度、洗わないといけないな、上着をこのジャンパーしか持って来ていなかった事を悔やんだ。仕方がない、入院の荷物は少なくと決めていた。


本を読んでいたら、ノックの音が聞こえて来て、返事をしたら「ご面会の方が来られて来ますが、会われますか」と、看護助手さんに聞かれ、「はい、友達なんです」と言うと、看護助手さんは親友を部屋に案内してくださった。


「早かったね」と私が言うと、「なんかいい匂いがする。文、お風呂に入ったの?」と聞かれて、「うん、シャワーを浴びたの。昨日お風呂に入らず寝てしまったのよ。十時間以上寝ちゃった」と私が言うと、「爆睡?」「うん。一度も目覚めず寝てた」と言うと笑ってくれた。

「薔薇、可愛いね」と言うから、「匂いもいいのよ。昨日、買って来たの。持って帰る?」と私が言うと、「家に薔薇は似合わない〜」と笑っていた。

「珈琲飲む?」と聞くと、「あ、文が言ってた紅茶買って来たよ」と袋を渡してくれた。中には、柑橘類のドライフルーツも数種類入っていた。「ありがとう!紅茶とこのドライフルーツを食べない?きっと合うよ!」と私はドライフルーツの袋の裏面を見たら、有機栽培で農家さんが手作りしたドライフルーツなのだと言うことが分かった。「すごいね、無農薬だって」と私が言うと「家族で海の方にドライブしに行った時に、道の駅で試食して美味しかったから買ったの」と言うと、「あぁ、おじいちゃん、おばあちゃん家があったね。お元気?しばらくお会いしてない」と懐かしくなった。「うん、二人とも元気だった」と彼女はお二人の様子を教えてくれた。高校生の頃から、彼女の祖父母のお宅によく彼女と一緒に遊びに行っていたのだ。


私は中学受験をして、私立の中高一貫校に行っていた。中学は寮に入り、高校になってからはアパートを親に借りて貰い、一人暮らししていた。

親友は高校受験して私は彼女と同じクラスになり、私は彼女に一目惚れしたかのようにすぐに、『この子と友達になりたい』と決めて、押しまくって仲良くなったのだった。

晩ご飯は図々しくも毎日のように彼女のお宅で食べさせて貰っていた。テスト勉強の時には泊まっていた。私は彼女にとにかくくっいていた。

他にも中学からの友達や、高校から来て友達になった子もいたが、彼女は別格だった。


マグカップにお湯を入れて温めている間に、彼女が持って来てくれた紅茶を見たら、色んな種類の紅茶が入っているものだった。「何にするー?私は無難にダージリン」と言うと、「私はアッサムにする」と彼女は言った。洗面所にマグカップのお湯を流して、「マグカップ、どっちにするー」と聞いたら、「右手に持っている方」と彼女が言うので、そっちにアッサムティーのティーバックを入れてお湯を注いだ。私の分のダージリンティーのティーバックも入れてお湯を注いだ。


紅茶を待つ間に、改めてドライフルーツの袋を眺めていた。食べるのが勿体無くなってしまった。母がドライフルーツを好きだった。今度の試験外泊の時に持って帰り、渡したくなった。親友にその気持ちを言うと、「お母さん、きっと喜ばれるよ。私は食べたから、文、お母さんに食べさせてあげて」と言ってくれた。やっぱり彼女は優しいな、と思ったのだった。


「昨日、父が出張のお土産をくれたの。それ食べようよ」と私は彼女に言って箱を見せながら、「父が昨日二個食べたのよ」と言うと、彼女は笑っていた。

高校時代は無口で、滅多に喋ってくれず、笑うことも少ない彼女だったが、大学、そして就職し結婚・出産をしてから、よく喋るようになり、笑うようになっていた。優しいのは昔から変わらなかった。大好きな大切な掛け替えのない親友なのだった。

高校の時に出会った、親友は心の支えになっています。

お読みくださりありがとうございますm(_ _)m

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