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不思議な部屋  作者: 竜胆
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夢から覚めて

精神科病院での日々を思い出しながら書いています。

私という存在が異物として周りの方々からも感じ取られているのか、私は遠巻きに見られていたようだった。

初めて私に声を掛けてくれたのは、まだ十代の若い女の子であった。


彼女がこっそりと教えてくれたのだが、意識混濁中の私の暴れっぷりに、入院患者の皆さんが恐れているとのことだった。


彼女といつも二人で食事は食堂では無く、ラウンジでソファーに座って、ゆったりとお喋りしながら摂っていた。


彼女も個室に入院していて、テレビも借りていた。


彼女はとてもしっかりとしていて、私が入院することになった、病棟のシステムや決まりごと等、お姉さんのように教えてくれた。


女性の臨床心理士との面談が、入院して二週間ほど経った時にあった。二種類の筆記テストを受けた。

私は生活する意欲が全く無い状態に陥っているとの結果が出た。

この先生に、私は第一印象からとても惹かれていた。ふんわりと柔らかい雰囲気の女性だった。先生にお願いをして、週に一度のカウセリングをしてもらう約束を取り付けた。


私の部屋に爽やかな印象の女性のスタッフさんが訪ねて来られた。「作業療法士をしています」と、自己紹介なされた。

持参されたプリントには、午前と午後に行われている様々な作業療法が書いてあった。

「文さんに作業療法に参加するように主治医の先生から指示が出されています。文さんのご趣味は何ですか?運動は好きでしたか?参加するペースはどの位にします?」と立て続けに質問をされた。

私はプログラムを見て、その中から興味を覚えたものを三、四個選んだ。

作業療法が持つ精神面に与える効果や、役割について何も分かっていなかった。


若い彼女に引っ張られるようにして、午前と午後に行われている、「活動」と呼ばれている作業療法に参加した。


私が嵌ったのは陶芸だった。

土を捏ねたり、成形したり、釉薬の色を決めたりする作業がとても楽しくて、毎週の陶芸の時間は集中して取り組んでいた。


私の担当の男性の看護師さんは、仕事が出来るとても優しい方であったが、私の事をよく観察なされていて、私が訊ねると冷静な意見を忌憚なく仰ってくださっていた。

消灯時間の頃に、勤務交代をなさるときには、特別にお茶を振舞って下さっていた。


主治医の先生には私はまだ慣れなくて、緊張してどうしようも無い状態になってしまっていたのだけれど、先生は私の部屋に入られた時に、私が並べていたCDをご覧になって、互いの音楽の趣味が似ている事や、映画観賞や本を読むのが好きな私に、共通の話題を振りながら、なんとか私の心を開こうとなされていた。


病院には、様々な精神疾患の患者さんが入院なされていて、変わった人間関係が作られていた。

今までの人生で培って来た価値観が通らなかった。


くるくると変わる精神状態を抱えた方ばかりだったから、それらの感情に流されないようにするのは難しく、私は振り回されていた。私も周りを振り回していたのだろうが。。。


「隔離室」に入っていた時に、大変お世話になった看護師さんは、よく私に声を掛けて気遣って下さっていた。病棟の副長をなされておられた。


病院の敷地内には、季節の花々が見事に整備されていた。特に薔薇園に力を入れておられるようだった。


敷地内には、病院の裏にある御宅の猫が遊びに来ていて、入院患者さん達は交代で餌やりをしていた。人懐っこい猫で、病院の人気者だった。


入院生活も落ち着いた頃に、私の足はパンパンに浮腫むようになってしまった。主治医の先生が夜遅くにも関わらず、お知り合いの専門医の先生に連絡を取ってくださって、私は母に病院に連れて行って欲しいの、と頼み込んだ。

入院して以来初めて病院の外に出た。

診断の結果は、私の今までの不規則な生活のツケが回ってから起きた症状という事で、あっさりと診察は終わった。


私の主治医の先生は受け持ちしている患者さんが、その病院で一番多いらしくて、私とお話をする機会を作るのは難しい状態だったようだ。

それでも、たまにお話をする時には、丁寧に優しく対応をして下さり、私の先生に対する尊敬の気持ちが芽生えるようになった。

ようやく先生に私の気持ちを話せるようになった。




特定の名前を書かず、

読みづらかったらすいません。

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