021.魔王に愛の告白を遮られた男
「これで脅威は魔王が居城するガーゴリン魔王国のみとなった」
ガーゴリン魔王国とサンダル王国の国境に位置する「憂いの渓谷」で、和也は五十万の連合国軍兵士たちに向けて叫ぶ。
「魔王国軍との戦いには男の兵士。魔王城から先は女兵士と俺のみで進撃する。理由は分かるな?」
男たちが頷く。彼らには魔王の色香がどれほど脅威なのか繰り返し説明しているからだ。
「火竜フパイラーンおよび、ドラゴン兵士たちは空から援護を、ネルネの鎧を纏った兵士は臆することなく前へ、前へ進め!先鋒はナターシャとアデルが引き受ける」
五十万の兵士が雄叫びをあげた。
そこには三分の一ほど女兵士の嬌声も混じっていた。和也があらゆる場所でナンパした女子たちである。
「ここには国も人種も、性別も生物学的分類もない!俺たちは一つのうねりとなるんだ!」
和也の言葉に熱狂した連合国軍兵士は意気揚々と渓谷を出発し、ガーゴリン魔王国へ進軍していった。
◆
「血の香りがする。人間どもは魔王国軍を圧倒しておるのか」
魔王の問いに、ドクロマスク将軍が平伏した。
「圧倒的数に加え、攻撃、防御の連携がされており、打つ手がありませぬ」
ドクロマスク将軍はそのマスクを脱いで、魔王の目を見つめた。
「やめい」
心の底を見透かされたドクロマスク将軍は動揺を隠せずにいた。
「そなたのような負け犬の愛の告白は聞きとうない。妾の前から消えよ」
魔王の言葉を噛みしめるように聞き入れたあと、ドクロマスク将軍は魔都を守備し命を散らそうと決意した。
「魔王様にお仕えできて、嬉しく思いました」
「せめて派手に散るがよい」
魔王は欠伸をした。
「髑髏兵士、一万をかき集めよ。連合国軍の数を少しでも減らすのだ」
ドクロマスク将軍は外套を翻し、後ろ髪を引かれる思いで魔王の玉座を後にした。




