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015.オウゾ王国までやってきました

 その日の夜。


 火竜フパイラーンの背には、和也、ナターシャ、アデル、ネルネ、そして、バズ・ビザールがしがみついていた。


 バズは旅立つ前に、国家元首の座を息子のロブ・ビザールに譲る提案を国民に呼びかけ、信任投票でも満場一致となり可決された。


「あたしはとっくに退くべきだったんだ。三百歳過ぎたババァがトップに立てば、その国は廃れちまう。新しいやつらがこれからあの国を盛り上げるだろうさ」


 ファジー共和国上空を飛翔しながら、バズは少し寂しそうな声で言う。


 雲は月を覆い隠し、夜の闇は和也たちの姿を霞の彼方へと隠す。


「今日からあたしはファジー共和国の外交官として働くよ。あいつらについてきてもらったのもそのためさ」


 火竜フパイラーンの尾を追いかけるようにして、軍用ドラゴンが十二体、ファジー共和国の兵士を乗せて飛翔している。


「オウゾ王国が彼らを見てどう反応するか」


 和也は意地の悪い質問をバズに投げかける。


「たった十二体のドラゴンで侵略戦争を仕掛けにきたなんて早とちりはしないだろうさ。そもそも国境や海岸には、防壁魔法がかかってる。磨り硝子を隔てて説明でもすればあっちも納得するだろう」


「それにしても国家宣言と、同盟交渉、自国の軍用ドラゴンの売り込みを一度にこなすなんて、あなたくらいしか考えつきませんよ」


 和也は言った。お世辞のつもりは毛ほどもなく、素直に感心しているのだ。


「やりたいことが一気に重なっただけさ。昔バンドをやっていた頃なんて作詞作曲、演奏に録音、レコード制作に、デモテープの売り込み、なんでも一人でやったよ」


 バズはスリーピースのガールズバンド「スーサイドエンジェルズ」のヴォーカル兼フロントマンだった。


「海千山千ですな。できれば俺たちが魔王城にたどり着くまでの支援、アドバイスなんかもしていただけるとありがたいです」


 希代の女傑バズ・ビザールは青い目を輝かせて笑った。


「さぁオウゾ王国の国境が見えてきたわ。吉とでるか凶とでるか」


 火竜フパイラーンが愉しそうに言いながら急降下をはじめた。


 そして風の煽りを食らいながらも草原ぎりぎりの空中で止まると、オウゾ王国の領土である、岸壁の一カ所を鼻先でチョンとつついた。


「お客さんがきましたよ~」


 アデルがふざけた声を出し、ネルネが爆笑する。ナターシャも控えめに笑いフパイラーンも吹き出した。


 いつの間に親しくなったのだと和也は苦笑いしたが、誰もが緊張しているのだと理解した。


 数秒のちに王国中に張り巡らされた防壁魔法が反応し、シャボンのような膜が地面から上空までヌボッと現れた。


『何者だ』


 オウゾ王国の国境を守護する兵士の声が聞こえてきた。


「我らはメクソリンダス王国よりやってきた使者である。国王からの親書を届けに参った。ほかに先日独立宣言をしたファジー共和国より、外交官であるバズ・ビザール女史も同行している。防壁魔法を開けられよ」


 和也は、こういった場面に慣れておらず、やや時代がかった文言を繰り広げた。


『メクソリンダス王国とは三百年前の対戦以降、相互不干渉条約を結び国交を断絶しているため、防壁魔法解除容認まで多少時間がかかる。またファジー共和国など聞いたこともない。しかしバズ・ビザールの名は見知っている。かつて我が国の兵士を苦しめた不老不死の女勇者だな』


「さっさと開けな!下っ端兵士め!」


 バズがファックユーポーズのままヒールで蹴りを食らわし、すべてはおじゃんになった。

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