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バッドエンドと道標と
「何も、わからなかった。」
少女はぼんやりと夜空を見上げる。
「何も、できなかった。」
彼女の視線の先には、黒い雲が月を隠してぼんやりと光っている。
「明日は何が起きるの?」
けれども彼女の目にはそんなものは映っていない。
「明日は何を失うの?」
彼女の目に映っているもの、それは絶望。
「明日が、怖い。」
彼女の頭をそっと撫でる。シャンプーの匂いなのか、ほのかに甘い香りがする。
「未来が、怖い。」
恐らく、頭を撫でたことに、彼女は気づいてはいない。
「誰か教えて。」
何かにすがるように、呟く。
「明日は私に何をするの?」
今にも泣き出しそうなその横顔を、僕はただ見つめることしかできなかった。
じゃあ、僕は帰るね。
きっとこの声も届いていないのだろう。彼女はなんの反応も示さない。僕は座っていたベッドから立ち上がった。部屋を出る際、もう一度彼女を振り返る。
窓の外を見つめる、少女をいとおしいと思うとともに、
ーーー行き場のない怒りが心を満たした