#00 プロローグ
1話以降のタイトルは、その話で重要ではないのか? って思う文章をもってきています。
プロローグは別です。
今回、初シリアス的な話に挑戦します。
『的な』と書いているのは、シリアスという意味をあまり理解していないからです…。
そんなこんなで書いていますが、よろしければどうぞ最終話までお付き合いください。
『最後まで書き上げる、そして読者様に楽しんでもらう』というのをモットーにして書いていきたいと思います。
では、『恋愛完全マスター』を堪能してくださいませ〜!
「分かったよ…」
夜、親父の部屋で説教くさい話を聞き終えると、俺は小さい声で返事をした。
俺たち子供は、生まれたときから親という縄に縛られて生きている。もちろん、そうでない子もいるかもしれない。
しかし、いつの時代も結局は経済的に支えてくれる人が居なくては、生きていけない。
だから、親に縛られることが、悪いことではないことは分かっている。
生きていくためには、従わなくてはいけない。
俺も例外ではないのだ。
数秒前、某有名病院で働いている親父に、説教という名の命令を、親父自身の地位を守るため、俺に下した。
「学年末の成績順位を去年より20位あげろ。出来なかったら、アメリカの学校で医師の勉強をしてもらう」
去年の俺の成績は29位だった。つまり、上から数えて9位以内に入れということ。
アメリカの学校なんて行きたくない。やっと、親友と言えるような友達も出来たんだ。
それに、医師にもなりたくない。俺にだってしたいことがある。絶対、親に反対されるだろうから、親友以外には言っていないが。
ちなみに俺が、こういう命令を下されたのは、今回が初めてというわけではない。今の高校に居るのも、中学校のときに親父との賭けに負けたせい。
本当は、もっと普通の学校に行きたかったのに。
一言告げた後、俺は親父の部屋の入り口にある、大きな扉を両手で押し開けた。
30mはあると思われる廊下を一直線に進み、突き当り近くにある階段を上ったあと、右に曲がり、10mほど歩いくとやっと着く、俺の部屋に足を進ませた。
広い家なんてものは、お金がかかるだけで意味がない。
移動が面倒だし、いい事といえば、小さいころ隠れん坊が出来たことぐらいだ。
それも、小学校低学年ほどで飽きたし、高学年からは親に勉強ばかりさせられたからな。
面倒だったけど、あのころの俺は何でも言うことを聞くいい子だった。
…何でも言うことを聞くのは、今も変わらないが。
自分の部屋へと着くと、俺はベッドへと直進して体を預けた。
「明日は始業式か…」
そうつぶやいた後、俺の意識は遠のいていった。
「お…ゃん。お坊ちゃん、起きてください」
ベッドの横で、俺の体を軽くゆすりながら、起こしてくる人物はキヨ爺。小さいときから、俺をずっと見守ってくれている人物であり、俺がこの家で唯一、心を許せる人物でもある。
「お坊ちゃん、起きてくださらないと、キヨ爺は仕事に就けなくて、お父様に怒られてしまいます」
悲しそうな声をあげるキヨ爺のおかげで、俺は朝の誘惑に打ち勝てた。
「ありがとう、キヨ爺」
「はぇ? 何がでしょうか?」
「いや、気にしないでくれ。キヨ爺、おはよう」
「お早うございます」
優しい微笑を俺に向けて、キヨ爺は俺の部屋から出て行った。
俺は再び、朝の誘惑と戦うのを恐れ、速やかにベッドから降り、自分の部屋に設置してある、洗面所へと向かい、冷たい水で顔を洗った。
頭がすっきりしたのか、昨日親に言われたあの言葉を思い出していた。
俺だって、反抗しようと思ったことはある。だけど、そんなことをしては、生きていけない。
結局は、経済的に親を頼らなければならないのだ。
だから俺は、なんとかこの屈強を乗り越え、自分の道を切り開くことを決心した。
つまり、学年末の成績順位を9位以内にするということ。
9位以内なら、頑張ればいける。そう思う人もいるだろうが、俺の通っている学校は、世間にも結構名が通っている有名学校。
つまり、頭がいい奴ばかりなのだ。
その中で、50位以内に入っていることさえ、誇れると思うことなのに、あの親は俺に無理難題を押し付けてくるのだ。
どうしても、医者にしたいらしい。
よし、頑張るぞ!
そう心に誓い、俺は天にこぶしを突き上げ、俺はご飯を食べにリビングへと向かった。
「あ、キヨ爺、学校の用意を準備しておいてくれないか?」
リビングに着いた俺は、いつものように俺がご飯を食べる席の隣で、いつも立っているキヨ爺に声をかけた。
「わかりました」
そういうキヨ爺は、いつもどおり笑顔だった。いつもニコニコしているのに、疲れはしないのだろうか?
そんなことを思いながら、ご飯を食べ終えて、洗面所へと向かう。
歯を洗い終えると、次はヘアーチェック。ワックスをつけ、いまどきのカッコイイと評されている若者の髪型・・・にするわけではない。
俺は、むしろその逆だ。
わざと寝起きのような髪型へと変え、ボサボサにする。
…ボサボサにするところは、今の若者とさほど変わらない気もするが。
とにかく、カッコイイという表現から遠ざける努力をする。
その髪型プラス、どっかのオタクがかけてそうな、度の無い黒縁メガネをかけ、制服も優等生にあわせて、乱れた服装をせずに、きちんと着る。
どうしてこんなことをするかって?
…言いたくは無いが、俺は顔には結構の自信がある。
中学校時代の俺は、街を素の姿で歩いていると、2日に1回は『モデルしない?』と聞かれるほど…。
女共には、無駄にモテた。ファンクラブなんてものも出来ていたらしい。ストーカーされることなんて、日常茶飯事だ。
さすがに、刺してくるとかは無かったが。
とにかく、そんな生活が嫌で、俺はその日常から抜け出し、今の姿となった。
奇遇なことに、今通っている高校には、中学校の知り合いがいない。
今の俺と前の俺を合点させるのは、名前と住所だけ。
去年、1年間学校に居たが、ばれそうになったことは一度も無かった。
高校の奴らで、俺の素の姿を知っている友人といえば、高校で出来た親友ただ一人だけ。
「よし、出来た」
俺は目の前にある、壮大な鏡を見て一言呟いた。
キヨ爺が準備してくれているであろう、学校の準備を取りに今一度リビングへと戻る。
そこには親父と、母親がご飯を食べていた。
親は、俺のこの姿を見ても何も言わない。
俺なんかの事に、関心がないのだろう。
無言で鞄に手をかけて、玄関へと向かった。
「大将」
「何?」
俺は親父に呼ばれて、鞄を片手に振り向いた。
「勉強、頑張れよ」
「うるせぇよ」
そう言いたかったが、口には出せずに俺は無言で玄関のドアを開いた。
…メインヒロインが出てくる気配もないですね。
申し訳ございません。
推敲がもっぱら苦手な盗鬼ですので、もし変な箇所があればドンドンメールでもなんでもしてあげてください。
一応、、、
メールアドレス→net_touki_net@yahoo.co.jp
感想をたくさんいただけると、作者の励みになります。
あと、一話一話のあとがきをここに書くのは好きじゃないので、自分のブログにその話の裏話等書く予定です。
よろしければ、訪問してみてください。
http://plaza.rakuten.co.jp/mlq84s/