第4話 魔王様のお部屋
さて、魔王のお部屋まで中身が変わってることがばれないよう慎重に行動しなければ!
と、思っていたんだけど・・・
幸いなことに、不審な目で見られることが稀にあるが、直接それを確かめようとする者はいないようだ。
というか、といつもこいつもすれ違いざまに会釈や挨拶、敬礼をしてくるが、表情には畏怖の様なものを感じる。
この体の本来の持ち主は厳格なのかかなり怖い人物だったのだろうか?
まぁ、なんといっても魔族の中で一番身分が高いであろう魔王なんだから、そんな人物に直接問いただすような礼儀知らずはいるわけないか。
大魔王がいなければだけど。
とりあえず、目立つことをしなければ安心しても良いだろう。
それにしても、長い、とにかく広い。
かなりの距離を歩いたと思うが目的の部屋に未だに辿り着けないでいる。
だが、息は上がらない。
元の体なら余裕で息が上がっているだろうが、この体はかなり体力があるようだ。
暇なので周囲を見回しながら進んでいるわけだが、魔王の住む城ということで、おどろおどろしい雰囲気のものを想像していたのだが、洋風のお城に普通の調度品が飾られた、まさに普通のお城といった感じだ。
すれ違う人?もグロテスクでSAN値をがりがり削るような物体は目に入らなかった。
モフモフの獅子の獣人やら、犬顔の小柄な獣人(おそらくゲームで言うところのコボルトかな?)やら豚顔の獣人(オークだな)とか、蝙蝠の羽をはやしたエロイねーちゃん(サキュバスだよ!サキュバス!!)とか鎧着た奴とかまともな奴ばかりで、エイリアンとかプレデターとか見るだけで精神ダメージを受ける奴がいない。
俺はグロ耐性があまり高くないので安堵した。
というか、蝙蝠の羽をはやしたエロイねーちゃんをガン見したい!
可愛いし、スタイル抜群だし、抱き着きたい!
けど、我慢しないといけない。
何より、ルシアたんという正妻がいる。
蝙蝠の羽をはやしたエロイねーちゃんに抱き着く行為は浮気である。
あぁ、ねーちゃんがセクシーに手を振ってくれたよ!!
いかんいかん、軽率な行動をとって中身が違うことがばれたら事だ。
我慢、我慢なのだよ!!
「ここですじゃ」
エロイねーちゃんへの欲望と葛藤していたらいつの間にか着いたようだ。
なかなか豪華な扉だ。
ドアを開いて中に入ってみたが、非常に広く、高そうな調度品がいろいろ飾られており、豪華なんだろうなぁとは思うのだが・・・
なんといえば良いのだろう・・・
王様の部屋というよりも、ハロウィンパーティーの会場を思い浮かべてもらえたらわかりやすいかもしれない。
なんか髑髏の上に蝋燭が立ててあるし。
「・・・この蝋燭が光源なのかな?」
「何を言っとるのですか?それは魔人の髑髏を魔道具に加工したものですじゃ。この魔道具の効果は敵意を持った存在の接近を持ち主に知らせ、さらにその敵意を持った存在に呪いをかけるものですじゃ。光源は天井に取り付けられているシャンデリアですじゃ」
天井の方へ眼を向けるとキラキラと輝くシャンデリアが目に入った。
あー・・・
天井がかなり高いから気づかなかった。
ていうか、天井高すぎだろ、3メートル以上ありそうだな・・・
さて、今は明かりがついてるから問題ないけど、消し方がわからない。
寝るときに暗くして寝る派なので明かりを消す方法を知りたい。
「エルロンド」
「なんですじゃ?」
「どうやって点けたり消したりするんだ?」
「はっ!?」
エルロンドはあんぐりと口を開いてポカーンとしていた。
あ、やばい。
さすがにこの質問はまずかったか・・・
急いでごまかさなければ!
しかし、どうごまかせば・・・
うーん、うぅ~ん・・・
あっ!!
そういえば、俺、腹に剣ぶっ刺されてたよな、その影響にできないだろうか?
「エルロンド、実はだな、剣を腹に刺されてからどうも記憶が曖昧なんだよ」
「なんですと!!?」
おっと、エルロンドが凄くびっくりして、みるみる青くなっているぞ?
「ふむ・・・」
うおぉぉぉぉ・・・
なんかすごく考え込んでるぞ・・・
やはり、ちょっと苦しい言い訳だったかな・・・?
「ひょっとすると聖剣の効果によるものかもしれませんな」
お、ルシアたんの持ってた剣って聖剣なのか。
魔王に聖剣ってマジでファンタジーだな。
って、聖剣で刺されると記憶が曖昧になるかもしれないとか物騒じゃないか。
それほど危険な物なら聖剣についてちょっと説明を受けた方が良いかもしれないな。