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森
大人たちは
決して森へ行ってはいけないと言う。
森へ行ったら二度と戻れなくなるよと
繰り返し、繰り返し
ぼくは森が怖い
森へ行って、戻らなかった友人がいる。
いつも教室の窓から
外をながめていた彼は
ある日ふいと姿を消した
誰にも何も言わずに。
彼は森へ行ってしまったのだ
駄目だと言われていたのに行ってしまった。
ぼくは森が怖い
森にはいったい何があるんだろう。
ぼくらは、結局
何も知らないのだ
誰ひとり戻らず、
何も語られることはないのだから。
分かっているのは
そこへ行った人は誰も戻らないということだけ
ぼくには
家族も仲間もいるし
学校の勉強もあるから
森のことはあまり考えないようにしている。
でも、時々
いなくなった友人のことを思い出してしまうのだ。
窓から外を眺める彼の横顔を。
そのまなざしは
いつも森に向けられていた。
ぼくは森が怖い




