出合い 103
燐は学院で授業を受けていた。
試験一週間前で実践形式の試験もある。そのため、試験前は各自で調整ができるようにと学院では試験一週間前は授業は開催されない。
そしてこの授業が試験前最後の授業ということになる。
大講堂では100人近くの生徒の前で教授が1人、授業を行っている。
「今月は2年生の皆さんにとって初めての昇級試験試験があります。ですから少し基礎知識をおさらいしましょう。まず魔術師について。魔術師とは魔術を使って生活をするものを言います。もともと魔術師は遥か昔から存在していましたが、彼らは少数民族で繁栄することはありませんでした。それどころか様々な国に奴隷として扱われる生活を送る時代もありました。そんな彼らに転機が訪れた事件がありました。それが500年前のブリテンの悪夢です。ロンドン郊外で正体不明の生物が現れ、現実離れした力をもって街を破壊していきました。人々はこの魔物に様々な武器兵器で戦いましたが、歯が立ちませんでした。そのなかで事態を解決したのが偶然居合わせた一人の魔術師です。魔術師の使う魔術のみが魔物を倒す唯一の方法でした。それ以来世界の様々なところで様々な生き物の形をした魔物が現れるようになりましたが、その度に魔術師が事件を解決しました。魔物は魔術でしか倒すことができないという事実が世界中に知られた頃、多くのものが魔術を習得しようと魔術師に教えを乞いました。そして魔術は世界に広まったのです。しかし、誰でも魔術が使えるわけではなく、個人の素質と魔術師として代を重ねることでしかより大きな力を得ることが出来ないことも同時に分かりました。各地で魔物と戦う魔術師が増えてきましたが、彼らは大規模な魔術を使うことが出来ません。代をを重ねていない彼らが戦うには一人では分が悪かったのです。そこで現れたのが戦士と呼ばれるものたちです。武術、剣術等を極めたものたちが魔術師に協力して魔術師が魔物を倒せる魔術を発動させるまでの時間を稼いだのです。それからというもの、魔術師と戦士はそれぞれ協力しあって魔物と戦うようになり、それが今の常識となりました。そのような中で立ち上げられたのがこの学院です。魔術師と戦士の育成をする事と互いに協力しあって戦うパートナーを効率的に見つけることが出来るように両者を同じ学院に招き入れ教育するようにしました。尚、この学院を卒業すると、魔物討伐の軍に入隊することができます。そしてその訓練として二年生からは昇級試験という実技試験が行われます。これは魔術師と戦士のバディでしか参加することが出来ない事になっています。卒業まで計8回ありますので、自分のよきパートナーを見つけられるようにしましょう。それではこれで授業を終わります。皆さん頑張ってくださいね。」
そうして最後の授業は終了した。
これから1週間の自由時間に心躍らせている者もいれば、自分の成績を心配して暗い顔している者もいる。そんな中でも燐のすることは決まっている。強くなるために鍛練するのみ。
燐はまっすぐ演習場へ向かった。