プロローグ
儚げな雰囲気を纏った青年と、小さな精霊が静かな丘で、澄み切った美しい星空を眺めている。
青年はただじっと星を眺めているが、精霊は、いささか詰まらなそうだ。
「シロは、いつまで旅を続けるつもりなのですか?」
我慢できないといった感じに、精霊が口を開いた。
「世界を知るまで、だよ。それが僕の義務だしね」
青年が静かに答えると、精霊は目を見開いた。
「えっ……」
「ん、どうしたんだい?」
「監視されているわけでもないのに、続けるの?」
精霊は、これ以上ないくらいに目を見開いて言った。
「だって、気になるじゃないか。世界を知るということが、どんなことか」
無邪気な子供のような顔をしたシロの目は星空のように輝いていた。
「なるほど、やっぱりシロは変ですね」
くすりと、済ましたように精霊は笑った。
その様子にシロは少しムッとした。
「じゃあ、そんな僕に付き合う君だってよっぽど変……」
「あっ!もう寝る時間ですので、おやすみなさい」
シロの言葉を遮り、消えてしまった。
「あっ、ちょっとモネ……全く、都合が悪いと逃げるんだから」
はぁ、とため息をついた後、少し寂しそうな顔をして、シロはまた美しい星空を眺めはじめた。