転生
ここはどこじゃ。石垣が見えるのう。これはワシが作った江戸城ではないか?じゃがこんな石垣じゃったかのう。もしや、あの幼い竹千代が成長して作り替えたのかのう。にしてもこんなに小さかったかの?もっとこう、ドーンって感じの威厳ある感じじゃったはずじゃ。
あと、地面の踏み心地が硬すぎるわい。これはなんじゃ。ワシの知らんものばかりじゃ。とりあえずこの城でも回ってみるかの。
ワシの作ったはずの城じゃが、こんなに小さくはなかったはずじゃ。周りには天守よりデカい建物ばかりじゃ。ワシの股間の天守は今でも通用するじゃろうか。どれ、75年で培ったナンパ術を見せてやるわい。
「おじいちゃん、迷子?てか写真撮ろ?袴似合ってて草」
キラキラした眩しいくらいの美少女が話しかけてきた。江戸にはこんな奴いたじゃろうか。と言うより、おじいちゃんって呼ばれたが、そんな呼ばれ方したことがない。孫の竹千代ですら祖父上であった。大御所じゃったしな。
「すまんな。何を言っておるか全くわからん。ここはどこじゃ?」とワシが返すと「ここは東京、昔でいう江戸。もしかしてタイムスリップ系ktkr?」とまた美少女はわけのわからんことを言う。
なるほど。江戸ではあるわけか。ただ、いつじゃ?少なくとも数百年経っていそうじゃ。ワシが作り上げた江戸でも数十年掛かったからのう。
「すまんが、今何年じゃ?元和ではなかろうのう」
「今は令和。令和8年。元和が最新ならワンチャン家康様?」と何やら喜んでおる様子の若いキラキラ美少女。そうか令和かぁ。同じ和の字が入るんじゃのう。
「令和かぁ。ワシ何もわからん。終わったと思うて極楽に行く準備をして居ったら、この場所じゃ。皆よくわからん服を着ておるし、よくわからん板に夢中になっておる。ここはワシの知っておるところじゃなさそうじゃ。案内せよ」
「了解。まずは手続きだよね。とりあえず、区役所かな」
そう言ってワシを連れて歩く美少女。ついていくと見上げるような南蛮のガラスがふんだんに使われておる建物じゃった。
「この人、皇居で迷子だったんですけど、時代が違うみたいで。どうしたらいいすか?」
「とりあえず、番号札取ってお待ちください」
そう言って紙を取る美少女。足がチラチラしてエロいのう。四半刻くらい待ったじゃろうか。何やら南蛮の宣教師みたいな恰好をした男が立っておった。
「今、何歳ですか?」
「75じゃ」
「今が何年かわかりますか?令和8年とそこの女に聞いた。ワシが覚えておるのは元和2年じゃな」
「元和ですとーーーーーー。それは丁度400年ほど前ですよ。400年時を超えた後期高齢者。さて、どうする。責任者呼んでまいります」
南蛮宣教師男が飛ぶ鳥のように駆けて行った。もはや早馬じゃのう。さて、また待ち時間のようじゃ。先ほどの女は未だ横におる。謎の板を眺めながら。
「そちは先ほどから何を見ておる。その板はなんじゃ?」
「ああ、これ?スマホ。今小説読んでたの?」
「これで文字が読めるのか?戦国で鍛えられた目と言えど、老眼がきついのう。続け字じゃないみたいじゃ。今の方が形がわかりやすくてよかろうのう」
「そうかも。家康じいちゃんの時だと、文字が続いてるもんね。鉛筆は使ったことあるんだっけ?」
「そうじゃ。きっとワシが初じゃろう。藤次郎も持っておると聞いたのう。ワシに憧れたんじゃろうて」
「藤次郎って伊達の?」
「そうじゃ。仙台に62万石任せたのう。外様ではあるがウチの忠輝と結婚したアイツの娘は器量が良くてのう。藤次郎の兜も洒落ておるわい」
やっと責任者とやらが来たようじゃ。鉛筆で名前を書き、住所がないため悩んだが、女が「とりあえず、ウチに来な?私独り暮らしだし」と女の住所を書いていた。
で、銀行とか色々手続きをした。前例ないじゃろうて。信長のクソアニキが「残念~。浄土だと思った?ねぇ、浄土だと思ったでしょ?ざんね~ん。江戸で~す。穢土だけに。旗印にしてたもんね~」とか煽り散らかしながら神に江戸に飛ばすように頼んだんじゃろう。
あの野郎。次、極楽に行ったら100回殴る。秀吉のクソ禿多指症野郎は1000じゃな。
帰って女が振舞ってくれたのはハマチの刺身じゃった。うまかった。
オンリー飯ライク浄土なのじゃ。




