君の亡骸は俺のもの
【作者より】
※ 拙作はしいな ここみさま主催の「冬のホラー企画4」に参加させていただいた作品です。
キーワードは「体温」と「ぬいぐるみ」を使用させていただきました。
※ 人を殺める場面や死描写、グロ描写(?)といった残酷描写が含まれます。
苦手な方はご注意ください!
※ 途中から登場人物の一人称や口調が変わる場面がございますが、誤字ではありませんので、あらかじめご了承ください。
僕には大切な人がいた。
家族? 友達? 幼馴染み?
残念ながらまったく違うよ。
僕には彼女がいた。本当だよ?
彼女は僕より三つくらい年下でとても可愛くて性格もよくていい子。
僕は君のことを今まで付き合ってきた恋人以上に可愛がってきた。
それくらい僕は彼女のことを束縛したくなるくらい愛してきた。
雪が舞うロマンチックな雰囲気のクリスマスに彼女から「もう二度と私に近づかないで!」といきなり言われた。
そ、そんなこと言わないでくれよ!
僕は君の喜ぶ顔が好きだし、照れている顔、怒っている顔、あざとい表情もぜーんぶ好きだ!
それなのに……それなのに……!
もしかして、僕のことを嫌いになった?
他に好きな男がいる?
そんなこと、絶対にないよね? そうだよね?
そんなことしたら君には罰としてお仕置きを受けてもらうよ? いい?
これから僕と愉しいことをしよう?
大丈夫。怖いことは絶対にしないから――
というのは嘘だよ?
君、勘違いしてないか?
あっさり騙されるなんて馬鹿じゃないのか?
これには笑ってしまう。
俺は彼女を無理やり車に乗せ、彼女の家に置いてある俺との思い出の品を持ってくるよう指示した。
彼女は黙って大きな袋にまとめて持ってきてくれた。
嬉しいねぇ……こんなにいっぱい思い出の品があるなんて――
荷物と彼女を乗せ、車は俺の家に向けて走らせた。
俺の家に着き、彼女にアイマスクをつけてもらう。
彼女は「一体なんのため?」と問われたが、わざと答えなかった。
この女、笑えるくらい素直な奴だ。
手引きで部屋に入り、椅子に座ってもらい、服の上から縄で動かないよう両手と身体を縛りつけ、アイマスクを外す。
これでお仕置きの準備は完了だ。
彼女は今の自分を見て絶望している。
ははっ、その顔! 凄く嬉しいなぁ!
どうだ? 俺に絶望しただろう?
その顔も写真におさめて額縁に入れて保管したくなるくらいすごく素敵だ!
彼女は「嫌だ、やめて! 離して!」とジタバタしている。
ったく、グチグチうるせぇな!
少しは黙れ!
ちなみに「嫌だ」とか「やめて!」という単語は俺の頭の中の辞書には載っていない!
俺は事前に冷蔵庫に入れておいた睡眠導入剤入りの注射器を手に取った。
そして、あの子の首筋に注射を二本打つ。
意識が遠退いた時点でバスタオルで思いっきり首を絞めた。
みるみる青ざめていく彼女の顔はとても美しい――
だんだん体温を感じられなくなり、心臓の鼓動も呼吸もなくなっていき……
あの女の命は俺によって強制的に終えたのだ。
彼女が大切にしていた俺との思い出の品が入れられた大きな袋には茶色と白と黒のクマのぬいぐるみが入っていた。
それらは俺が各数千円ずつかけてクレーンゲームで取ったものだった。
そのぬいぐるみの隣に君の体温すら感じなくなった亡骸も一緒にソファーに飾るとしよう!
あはははっ……!
美しい! 実に美しい!
なんていい眺めなんだ!
彼女の亡骸は誰にも渡さない!
君の亡骸は俺のものだから!
最後までご覧いただきありがとうございました。
2026/01/07 本投稿




