ELEVEN GAME
三人は真央の部屋まで運んだ。真央の部屋は普通の部屋であり、ベッド、勉強机、本棚など。礼途は本棚で、それを見つけた
「真央、勝手に卒アル見ていいか?」
「勝手に見ないで!!」
「なら隠れて見ればいいか?」
「ダメだから!見たら怒るから!」
明里は真央の背中をさすった
「安心しろ、礼途。後で私のを見せてやる」
「明里、礼途には見せないで!ほんとに恥ずかしい写真とかあるから!」
「猫耳のやつか?」
「言うなアホ!」
「猫耳?ものすごく見たいな」
明里は言う
「ま、この話は終わりでいいだろ。陰キャ礼途くんの卒アルを代わりに見せてくれるってなら、考えるが」
「卒アルは持ってない」
「は?」「え?」
礼途は目線を少し反らした
「中学はまず行ってないからな」
「なんか、陰キャとか言って悪かったな、えっと、とりあえず、私は席を外すから」
「いや、外す必要はない。真央と居る以上、互いに会う腐れ縁だ。少し話しておく」
礼途は真央の部屋の勉強椅子へと座った。2024年のその日、礼途は明かした
「少しした心の病気でな、中学は初日だけ行って降りた。それまでは、どちらかというとクラスの中心寄りな明るい人間だった」
礼途、なんか辛そう
「俺は病気を理由に全てから逃げた。その三年間は、ゲームをし、他にすることといえば、色々なことについて考え込む。正直、いつ病気が襲ってくるかと、いつ体調を壊すかと考えると、怖くて外も出られなかった!これは事実だ!逃げたわけじゃない!」
礼途は溜息を吐いた。真央は眉を顰め悲しそうな顔をしながら、その礼途の話を聞いていた
「何度もチャンスはあった。しかし、差し伸べられた手を全て払ってきた。病気を言い訳に、逃げたかったんだろうな、リアルから。三年も人と関わらないと、嘗ていた「友達」が恋しくなってくる。孤独をゲームで誤魔化したが、それにも限界があった。そんな日々に思い出してたのが、お前ら二人の顔だった。当時、俺は真央が好きだった。しかし、中学に上がるといなくなった。それと入れ替わるように、病気は訪れた。二人が消え何か欠けたのか、それとも単に中学への緊張だったのか、何も分からない」
「ごめん、急にいなくなって……。でも、悪気とかはなくて、中学に上がって時間がなくなったからで、その……公園には行けなかったけど」
「いや、中学に上がって部活もせず公園で遊んでるほうがおかしい。真央は何も悪くない。俺はその大きな選択で逃げた。病気と闘いながら行く選択を選んでいれば、今頃は友達や彼女もいて、勉強も人並みにはできて、高校もどっか入れたのにな、なんてな。プロゲーマーになったという結果があるから、正直、高校は行かない道を選ぶが、あの選択さえ間違ってなければ……青春ってのは、ゲームが上手くても、何億円持ってても、買えないような儚く美しいものだ……」
礼途、そんな辛い思いをしてたの?
なんか、すごく話しにくい
「つまり、逃げた弱虫だろ」
「ちょ、明里、なんでそんな言い方」
「しかし、一人で考えて、勇気を持ってあの日、私の家にきた。すっごくやり方は下手だがな」
「いつの日か、思いついた。町内マップを見れば、あの二人の家が分かるんじゃないかと」
こいつも同じ手で
「見つかった。それから、行くまでの決断に一年は必要だった。もうあの日、俺は人生を捨てて真央の胸を触った」
「え、そこまでするの?」
「正直、明里に追い返されたあの後、俺は死ぬ予定だった。未練を果たしたからな」
未練キモ、そんな価値ある?この胸
って、自分を落とす発言は……ダメだよね
「しかし、真央は俺の家で待っていた。俺は、つまりは死んだ方がマシなクズだ。未練を一方的に果たして死のうとした挙げ句、お前の優しさに助けられ、結婚までもを視野に入れ直した。そんな図々しい人間だ」
「いいじゃん、図々しくても。おかしいよ、礼途、ほんとはいい人なのに、そんなに追い詰められるなんてさ」
真央の優しさが礼途を救った
私はあの日、礼途を更に追い詰めただけか
別に後悔はしてないが、真央はやはり人を動かすだけの人格がある
「真央は優しいからな。お前が許しても、俺が俺を許せない!真央には無理だ。明里、俺を思い切り殴ってくれないか?落とし前だ」
「キャラでもない。なら、その面を一度殴る」
「ダメだよ明里!殴るなんて!」
「ならどうする?礼途の気が済まないって話だ。真央、お前の気持ちは関係ないぞ?」
少し間が空いた
「なら、私を最高のゲーマーにして!それでチャラだから、胸の件」
「悪いな」
すべて明かしたが、少し真央と話しにくくなった
アホしたか?
いや、これでいい
明里は二人が沈黙する隙をついた
「よーし!パソコン設置しよう!」