TEN GAME
月曜の朝になる。真央は高校に登校しており、明里はやはりサングラスを掛けていた。明里は家でも外でもそれを外さず、理由を尋ねればカッコいいからと話す
「明里、私もパソコンがほしい!」
「よし、帰ったら礼途の家に行くか」
高校二年の教室、今はホームルームだった。明らかに一般人ではない、明らかな筋肉を持つ男教師が話していた
「さてと、ホームルームだ!今日を終えれば、長い正月休みに入るわけだが、しっかり勉強と運動はした方が良い。それと、遅い時間は変なやつが多くなるから、なるべく出歩かないようにな」
明里は小声で話す
「真央の場合、早い時間なのに変なのと遭遇したけどな」
「あいつか……遭遇したけど。てか明里が入れたんでしょ」
「てへ」
明里は笑って誤魔化した。その日の帰り、二人は礼途の家へと立ち寄った。インターホンを鳴らす
「待ってたぞ」
「早!なんで、そんな一瞬に?」
「二階の窓から見てた」
見られてた
「よ、礼途!今日は真央から大切な話があるらしいからな」
真央は礼途と二人、向き合った。真央はやはり図々しいと思ったのか、それを言い出せずにおり、礼途は心臓の鼓動が激しかった
そう、なぜ真央が黙り込むのか
言いにくいことと言えば、告白になる
となると、俺から言い出したほうがいいか?いや、しかしそれは、真央の決意を尊重した行動とは言えない
「真央、お前の思ってることは分かる。別にそんな恥ずかしい話じゃないし、俺はもう了承してるはずだ。それに、それは俺の為でもあるんだ」
結婚するのさ
しかし、真央を手に入れれば最高だ
そう、まず空白の三年が救われる!
願い続けた、あのときの俺が報われる!
「ライファー、ちゃんとやろうかなって」
「え……そうか。ちょっと待て」
そっちの話か
しかし、問題はない
確実に距離は縮まっているはずだ
「運ぶのは手伝う。玲奈は留守というわけで、三人で全て運ぶ。真央は軽いヘッドホンやキーマウ、マイクを運べ」
「おい待て、それはつまり、私に本体を運べって言うのか?それとも、二人で足りるから明里ちゃんは何もしなくていいよって話か?」
「前者だ。ちなみに、お前はモニターな」
「てか、周辺機器まで大丈夫なのか?玲奈の許可なしに」
「大丈夫だ。というか、玲奈もそのつもりで言ったはずだ。どうせ使ってないし、文句は言わないと思うしな」
後のことは私知らね
三人は玲奈の部屋へと到着する。同じ広さでありながら、礼途の部屋とは全く別の綺麗な空間であり、そこにはゲーミングパソコンや周辺機器が置かれていた
「ねえ礼途?やっぱ礼途って、私が好きなの?」
「大好きだ。結婚したいと思ってる。真央に振られたら泣く。他のやつと付き合ったら死ぬ。それくらいには好きだ」
なんかキモい
「そのさ」
礼途は何を言われるのかと少し身構えた
「私の何がいいの?めちゃくちゃ普通だし、別に特別何かできるわけでもないし、顔も可愛くないし……」
真央のやつ、それを訊くか
どうも、このメンツだと私が邪魔になる
しかし邪魔だからと取り除くと困るような潤滑油を担っているのも、この私
「変に気取ってなく、素直で優しい。頭も撫でやすいし、肌の質感がとてもいい。足もなぞりたくなるほどに美しく、それでいてスタイルがいい」
そんなとこ見てるの?
すごく……いや、さすがに気持ち悪い
気持ちは伝わったけど
「他がどうとか分からないけど、スタイルはよくないよ?胸も少し小さいし、その、お尻だって……」
「もう口を開かなくていい。自分の好きなものを悪く落とされるのは好きじゃない。それとも、俺が黙らせてやろうか?子猫ちゃん」
「礼途……ごめん、もう大丈夫」
可能ならこの口で黙らせたかった
しかし、そんな素直さも美しい
礼途のやつ、相当キモいな
真央以外に寄り付く女、いないだろ……と思ったが、私も寄り付いて……いや、私は真央の付き添いだからノーカンか
三人は真央の家へ運んでいた。袋を被せ台車に乗せた本体を礼途が押し、明里も同じくモニターを押す。真央は色々と入った袋を両手に抱えていた
「思ってたけど、こんなに沢山何に使うの?ヘッドホンとKMBだけでいいんじゃないの?」
「それとヘッドホン、マイクでゲームは可能だが、おまけのプリンターとその他コードたちだ。あって損はないから、受け取ってくれ」
「わ、分かった、ありがとう」
自分の好きなものを悪く落とされるのは好きじゃない……けど、胸が小さいのは本当
それも含めて好きってことかな?