雑念
チャイムが鳴り響く放課後…
『授業お疲れー、じゃあ行こっか?』
千尋と私は隣町の西校へと向かう。
『どんな人か知ってるの?』
私が聞くと千尋は
『友達が彼と仲が良くて、実は結構イケメンらしい。』
私はつまんなそうに頷いた。
『会ってみたら意外と気が合うかもよ?美優ちゃんとかなり性格が似てるの』
詳しそうに話す千尋はまるで初対面ではないのでは…?と少しざわつく心があったが気にせず、坂道をのぼる。
『明西高等学校…略して西校ね…』
西校は偏差値60となかなか頭のいい学校であった。
『あ!千尋さん??でしたっけ?』
1人の男が話しかけてきた。
『ちーちゃん?知り合い?』
もしかして、これがアイドル好き…?疑いが止まらない…。珍しく脳がうまく働かない私を見た千尋は
『美優!この人がアイドル好きの寺田雫君!』
動揺しながらも私は挨拶をした。
『…初めまして、高野美優です。』
初めてこの瞬間、私は人見知りだと感じた。私達は近くの喫茶店でゆっくり話を始めた。
アイドルのことなら遠慮せず聞けてしまうので、早速彼の経歴を知りたい私は
『アイドル推してるんだよね??何系好きなの?』
そう聞くと彼は
『えーっと…結構幅広くて、割と最近は坂道系を…』
私は食いついた。
『坂道…って言ったよね!今!』
私のひきつっていた顔がようやくほどけて、彼は安心したのか、いつのまにか盛り上がっていた。
『今日はありがとね!またお話ししたいんだけど…連絡先とかってどう?』
彼が私たちに聞いてきた。
正直、まだ早いと私は思っていた。千尋は嬉しそうに返事をしていたが、私はお断りをした。
『美優ちゃん、今日楽しかった?』
もちろん、とニコニコで頷く。私はずっと聞きたかったことを千尋に聞いた。