日常からの新しい扉
ある、落ち葉の季節の頃、私は食べては寝ての繰り返し。いつになく寒い場所で過ごす私は
『早く痩せたーい』
こう言いながらじゃがりこを食べる。私の相棒のスマホが鳴いている。ブログのお知らせだ。即座に食べる手を止め、反対側の手でタップする。いつも通り共感できるタイトルを書く推しはすごいと思いながら、顔をしかめて向こうを見る。
『ちょっとあんた!勉強はしたの?』
よく聞くセリフを言う母を見て私はこう言った。
『推しが私を引き留めてるの』
母は呆れた顔で頷いた。まぁ母がそういうのも私が受験生だからおかしいことではないだろう。そんな私は仕方なく机に向かい、仕方なく『推しのため……』と呟きながら勉強をする。
日が暮れて月が昇り、食卓が賑わいはじめた頃。私は1階へと向かった。
『あれ、もうこんな時間だ。』
時計の長針は北を指し、短針は8を示している。
『うわ!今日MUSIC SHOWに出るんだよ!』
1人で呟いてリモコンを手に取る。ギリギリセーフ。私はほっとしてため息をついた。推しが出てきた。ほんとかっこいい。私の推しは世界1だ。そう思わせるパフォーマンスと喋る時のギャップに心を打たれる。
アイドルになれるものならなってみたい。何度も思い続けてきた。かっこいいステージでキラキラした顔で踊る推しを見て、誰もが1度は思うのではないだろうか。でも私は姿見を見て現実に跳ね返される。
なぜ輝ける?私はそう思った。私はキラキラなんてしていない。部活の後輩に愛される程度の私は多分1ミリも輝きの要素はない。キラキラさせるにはどうすればいいのか。あらゆる方法を試してみた。
まず儚い雰囲気で家を歩いてみた。なんか違う。手を振りながら歩いてみた。ベテランの選挙のようになった。なぜ?やっぱりアイドルはすごい。私がアイドルになれば後輩の時とは違って死者が出た時のような悲鳴しか上がらないだろう。照明のせい?そう思った私は小学生の時に使ったLEDライトをあちらこちらに貼り付けて見た。クラブにいるようだった。
輝くためにはどうすればいいのか。ネットで調べてみよう!そう思った。