魔法が使えるよ!
その日はダラスお兄ちゃんもステータスオープンや料理魔法について話す事は無かった。
もう家にはパリスお兄ちゃんが帰宅していたし、もう少ししたらホーメルおじさんたちも店を閉めて居間に戻って来るものね。
そして私は赤ちゃんなので絶賛お眠中なのだ。
でも翌日はダラスお兄ちゃんの追跡の手を逃れることはできなかった。
「昨夜はお前が気を失った事に動転してたから有耶無耶になったけど、今日はしっかり昨日のシュテータシュオープンとかについて説明してもらうぞ」
日課の居間の掃除も放り出し、ダラスお兄ちゃんの部屋に連れていかれ、尋問を受けている。←今ここ。
しょうがないので私はお兄ちゃんの胸に手を当て「シュテータシュオープン!」と声に出して言ってみた。
すると私の時と同じく薄っすら青い画面が浮き上がった。
『ダラス ホーメルとマリアの次男 16歳
体力 10
魔力 6
器用さ 1
素早さ 2
スキル:風魔法』
「じぶんだって、まほう、ちゅかえるじょ」とダラスお兄ちゃんを指さした。
「え?」
「かじぇまほう!」
「およっ!」
「かじぇまほう」
「だって、魔法って御伽噺の中だけの事だと・・・・」
どうやらこの世界は魔法が無いと思われていたみたい。
で、魔法は魔女が管轄する分野の事なので、魔法が出てくる事の多い御伽噺も魔女の領分になっていた様だ。
もしかしたら昔はちゃんと魔女がいて、そして魔法が使えていたのかも?
「僕も魔法が使える?」
「ちゅかってみたら、できる、できない、わかりゅ」
「それもそうだな」
ダラスお兄ちゃんも私の時の様にしばらく「うんうん」唸っていたけど、暖かい風がふわっと私の少な・・・・ケホケホ・・・・柔らかな髪を擽った。
「できたぁ」
「はぁ・・・・出来たな」
ダラスお兄ちゃんは茫然自失の態で、しばらく固まっていた。
「このしぇかい、まほう、ある!」
私がそろそろ会話しましょうと話し掛けてみた。
「うん。魔法使えたな。これってこの青い板が見れたら、どんな魔法が使えるか分かるってことか?」
「しょうみたい」
「シュテータシュオープン!」
ダラスお兄ちゃんは自分の体に触りながら、何故か赤ちゃん言葉でステータスオープンと言ってみたが、何も起こらなかった。
「シュテータシュじゃにゃい!シュテータシュ!」
いつもの堂々巡りが始まる。
でも、このステータスオープンは家族に話して、みんなで試してもらった方が良いと思う。
みんなが魔法を使えるのなら、自分たちも遠慮なく使えるのだから。
ということで、今夜もパリスお兄ちゃんの帰宅を待つ青年とちみっこ一人、居間に居座りジーっとパリスお兄ちゃんの帰りを待つ。
「ただいまぁ」
「帰って来た。兄さん、ちょっとここに座って!」
「なんだよ、ダラス。俺は腹が減ってるんだよ」
「いいからいいから」
ダラスお兄ちゃんはパリスお兄ちゃんの腕をグイグイひっぱって居間の長椅子に座らせた。
そしてポイと私を軽く投げる様に、パリスお兄ちゃんの膝の上に乗せた。
おいおい、私は小包じゃないんだぜ!と睨んだけど、ダラスお兄ちゃんは早くステータスオープンが見たくて仕方ないみたいで、さっさとやれ!と私に目線で命令してくる。
しょうがないなぁ、もう~。
「シュテータシュオープン!」
パリスお兄ちゃんの胸に触りながら唱えると、例の薄青い画面がパリスお兄ちゃんの前に浮かんだ。