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お兄ちゃんたち

「お前、僕をビックリさせるなよ・・・・頼むよぉ」

 意識が戻るとダラスお兄ちゃんがアタフタしていた。

 でもその左手にはしっかりトーストされたパンが握られていた。


「ただいまぁ」

 裏口の方でパリスお兄ちゃんの声が聞こえて来た。

 金細工工房から帰って来たのだろう。

 背の高さはダラスお兄ちゃんよりちょっぴり低くて、栗色の髪で、こっちも結構男前だけど、ダラスお兄ちゃん程ではないんだなぁ。

 手先の器用さが自慢で、家の中に転がってる装飾品っぽいのは全部このパリスお兄ちゃんが作って飾ってるらしい。

 でも、不思議な事にお店の方には装飾品は飾ってないんだよね。

 何でも盗られる可能性があるから、最初っから置かないってことらしい。


 ステータスの事についてはまだパリスお兄ちゃんたちには内緒にしておいた方が良いと判断してくれたんだろう、ダラスお兄ちゃんは私のスキルやステータスボードについて誰にも何も言わなかった。


 普段から1歳児がスラスラ会話が出来て、結構複雑な計算まで出来るなんて言っても、私がダンマリを決め込んだら周囲から変な目で見られるのは自分だと言う事をちゃんと経験を元に学習している様だ。

 ケヘへへへ。


 そんな悪い笑みを浮かべている1歳児を見て、パリスお兄ちゃんは「おい、サーシャがまた変な笑顔を浮かべてるぞ。ダラス、お前どんな育て方してるんだ?」とやっぱりダラスお兄ちゃんが責められてる。


 クケケケケ。

 悪いねぇ、ダラス君よぉ。

 君は私と世間の間に立って私という姫を守る防壁なのだよ。

 グへへへへ。


「で、何でお前焼いたパンなんて持ってるんだ?」

 パリスお兄ちゃんはダラスお兄ちゃんの持ってるパンを怪訝そうな顔で見ている。

「ん?これ?・・・・その・・・・ちょっと腹が減ったので焼いてみた・・・・」

 ダラスお兄ちゃんは嘘が下手である。

 この短い付き合いの間にも言い訳をする為につく嘘に、ええええ?何でそんな発想?って思う事や、嘘つくならもっとスラスラ言えよと思う事が良くあった。

 まぁ、その言い訳って殆どが私に関する事なので、彼の頭の中で色々追いつい・・・・処理されていない事態が多いからなのだろう。

 可哀そうな奴!


「食堂の倅なんだから、パンを焼いただけのモノよりも良いモノが調理場には転がってるだろう?何か持って来るんなら俺の夕食も持って来てくれ」

 パリスお兄ちゃんは普段から色々ダラスお兄ちゃんに命令をしている。

 不思議な事に末っ子のローレン君にはあんまり命令をしないのだ。

 普通、真ん中の子って要領が良いのでは???


 まぁ、ローレン君は別の食堂へ働きに行っているので夜遅くでないと帰宅しないし、食事も賄いが出るのであっちの店で食べるしで、あんまり家族と接点が無いのだ。

 ローレン君はダラスお兄ちゃんよりまだまだ背が低くて、同じ髪の色で、やっぱり男前。

 人懐っこい感じの如何にも末っ子。

 ホーメルおじさんも所謂男前ではないし、マリアおばさんも決して美人ではないので、どうして息子3人が美形に生まれたのか不思議なのだぁ。

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