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お決まりの「シュテータシュオープン」

「シュテータシュオープン!」

 ダラスお兄ちゃんが日課の居間の掃除をしている時、私に埃が掛からない様にとお兄ちゃんが移動してくれたベビーベッドはダラスお兄ちゃんの部屋に置かれている。

 掃除が終わるのをベビーベッドで待っていた時に試しに言ってみたのだ。

 ほら、前世の記憶があるってことは、もしかしたらそういうスキルも使えるかも?

 そしたら「ブーン」と青みがかった透明な画面が目の前に現れた。


『サルーシャ 孤児 1歳

 育ての親 ダラス

 体力   0

 魔力   10

 器用さ  5

 素早さ  1

 スキル:料理魔法、言語』


 どわぁぁぁぁ。

 魔法?この世界魔法があるの?

 しかも料理魔法?なんじゃそれ。


 しかも育ての親がダラスお兄ちゃんになってるよ。

 マリアおばさんやホーメルおじさんでない事にビックリする様な、変に納得するような複雑な気持ちだ。


 透明な画面を前に考え込んでいたら、いつの間にかダラスお兄ちゃんが居間の掃除を終えて、すぐ後ろに来ていた。

「何だ、それはっ!」とステータスオープンの画面を指さした。


 あっ、これって第三者にも見えるシステムなのね。ふんふん。

 って、お兄ちゃんは自分のステータスを見れないのかな?


「シュテータシュオープンって言うの」

「シュテータシュオープン?」

「ちゃう。シュテータシュオープン!」

「だからシュテータシュオープンだろう?」

「ちゃう!」

 いつもの問答が始まった。

 さしすせそがちゃんと発音できてないのは知っているだろうに、頭は良くても流石に面白味なんてない役所に就職してるお兄ちゃんだけあって融通は利かない。


 私は早々に諦めて「これ、私のシュテータシュ」と画面の説明に集中することにした。


「たいりょく、ジェロ。ジェロは何にもない」と、この前の計算の時にした説明をもう一度する羽目になった。

「ん?お前の体力は無きに等しいって事か?」

「しょう!しょれ」

「そうか・・・・何となくジェロの意味が分かって来たぞ」

「ジェロ、ちゃう。ジェロ!」

「だからジェロだろう?」

 またこの流れかぁ・・・・と溜息をついたら、軽い拳骨が頭に落ちて来た。


「何かその溜息には抗議しておかないとと思わせる何かがあった」と自分の拳骨を正当化するダラスお兄ちゃん。

 グワシッ!シャー!

 私は心の中で蛇女に変化した。


「で、魔力って何?」

「まほう、ちゅかえる」

「え?魔法?お前本当に使えるのかっ!?」

「わかんにゃい。でもシュテータシュ、かいてありゅ」

「むむむ。ということはこの下に書かれてる料理魔法って言うスキルが使えるって事か?」

「たぶん」


 ダラスお兄ちゃんは1分くらい黙って考えていたが、「じゃあ、ちょっと使ってみて」と言い出した。

 私は今まで魔法のまの字も齧った事が無い。

 本当に使えるのかどうかは不明だ。


 それでも魔法が使えるなら使いたいという私の願望もあり、早速使ってみる事にした。

 呼び出したい料理の名前を言えば料理が出てくるのだろうか?

 材料は?

 やっぱここは材料を持って来てもらって魔法が使えるかどうか試してみるとか?


 簡単な料理・・・・。

 日本なら目玉焼きだけど、こっちの世界では卵は高級品だ。

 お店に少し置いてあるかもしれないけど、とても魔法の試技のために使えるモノではない。

 次に簡単な料理・・・・・。


 う~~んと唸っている1歳児。

 1分も唸っているとキラリとアイデアがっ!


 トースト!


「おにいちゃん、パン、もってきて」

「ん?パンか?分かった。ちょっと待ってろ」と居間の横にある小さな台所、その棚の上に置いてあるパンを持って来てくれた。


 ベビーベッドの中に座って居る私の足の上にパンを置いてくれたので、両手で抱え込む様にしてパンに触り、「トーシュト!」と力強く叫んでみた。


 体内の魔力っぽいモノがズンと抜け出して、「ポン」という微かな音がして、トーストされたパンが私の足の上に転がった。

 そして意識を失くした私もベビーベッドの上に転がった・・・・。

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