おまけ
急遽、おまけを。
理由は後書きに・・・・。
もう1話だけ、ご一緒下さい。
家は父さんの代から食堂をしている。
上の兄貴は立ちっぱなしの仕事は嫌だと、手先の器用さを活かして座って作業できる金細工師を目指し、工房で修行している。
下の弟は最初父さんの知り合いの食堂で修行を始めた後、すぐに父さんの店を継いだ。
そして僕は楽で時間にゆとりのある仕事ということで役場で働く事にした。
幸いにして頭だけは良かったからすんなり役人になれた。
そんなモノトーンで型に嵌った自分の世界に、ある日隣の家の遺児が入り込んで来た。
こまっしゃくれた子で、1歳児なのに言葉を理解し、喋る事ができるヘンテコな子だった。
しかもそれを父さんたちに訴えた時は、普通の1歳児を演じる強かさを持っていた。
最初、奇妙で薄気味悪くて嫌だなぁと思ったけど、この家を追い出されると孤児院へ入れられるだろうし、あまりに幼いからもしかしたら孤児院では生き残れないかもしれないと思ったら、いつの間にかこの子を周りから守らないとって言う気持ちが湧いて来た。
一生の不覚だった・・・・。
こいつは普通では考え付かない事を色々やらかす奴で、ある日魔法スキルが存在する事、そして世間の人たちがどんなスキルを持っているか知る手段を教えてくれた。
アイツを世間の矢面に立たせるわけにはいかないので、いつも貧乏くじを引いてしまう僕が身代わりになって世紀の大発見なるものをした事になった。
色々あってモテ期が来たり、本気で付き合った彼女が出来たり僕の人生にも様々な出来事があったんだけど、結婚を前にアイツの方が親離れを決行した。
縋りつかれると離れたくなるものだが、それまでべったりだったのにアイツから切られた感じになると気になってしょうがなかった。
あんなヘンテコな娘、僕がついていないと何が起こるか分からない。
結局しばらくウダウダやってたけど、新婚の生活にアイツを連れて行けないか当時の彼女に相談したら、アッと言う間に破談になった・・・・。
結局、僕が子離れできなかったって事だな。
アイツが大きくなって誰かの所へ嫁に行くまで僕自身の結婚は無いものと半分諦めていたんだけど、アイツは鋼鉄の手であれからも僕の周りに表れた年頃の女の子全員を払い除け、気が付いたら僕の首にはアイツが握りしめていたロープがしっかり掛かっていた。
もちろん比喩的な表現だけど・・・・ね。
普通では考えられない様々な調味料を魔法スキルで生み出し、毎日美味しい料理を食べさせてくれる。
所謂、胃袋を掴まれたと言う状態だったんだ。
男って単純だから、毎日美味しいものを作ってくれるだけで相手の株は鰻登りになる。
まぁ、結婚して良かったと思ってる。
僕の隣の家の可愛い赤ちゃんが、気付いたら僕のちょっと怖い、でも可愛い奥さんになっていて、そしていつの間にか僕の可愛い子供たちのお母さんにもなってくれていた。
大事にしないとな。
でも、最近、とんでも無い事を言い出した。
自分より先に死ぬなとか言い出したんだ。
16歳も年上の僕の方が先に逝くって言っているのに、先に死んだら地獄まで追いかけて殺すって脅して来る。
ちょっと待て!天国じゃなくて地獄行きが決定なのか?
何故に?
Why?
こんな風に、アイツが僕の人生に現れてから理不尽の嵐だけれど、心はいつもほんわか温かだ。
しょうがないなぁ、1分だけだったとしてもお前より長生きしてやるよ。
それでお前が安心してくれるなら、努力はしないとな。
でも、お前も長生きしてくれよ、僕の奥さん。
ここまでお付き合い頂いて、ありがとうございます。
もしやと思い確認したら20話で完結になっていませんでした。
予約掲載で『完結』を選択していたはずなんだけど・・・・。
『☠俺たちを使い捨て勇者にはさせないっ!!』でも同じ現象がっ!
もしかして予約掲載だと完結を選んでても反映されないとか?むむむ。
と言う事で、あれでもと用意していたおまけをつけてみました。
今度は予約掲載ではないので、ちゃんと『完結』になるはず!!
拙作をお読み頂いてありがとうございました。
ご祝儀に『いいね』して頂けたら慶賀に存じます。m(_ _)m えへへへ。
著者の他の作品もどうぞよろしくお願い致します。




