夏は素麺!天ぷら乗せ~♪
最近のウチの店のヒット商品は素麺!
それも上に天ぷらを載せた素麺!
いやぁ、今年の夏は暑いのなんの。
スキルで氷をバンバン呼び出してます。
その氷を使って素麺を冷やす。
出汁や料理酒、みりんとか醤油でつけ汁を作る。
薬味は裏庭で育ててる生姜とか浅葱、そしてダイレクトにスキルで呼び出しているわざび君!
最初はツーンとくると言って王都のお客さんには不人気だったわさび君。
これだけ暑い夏だと食欲が落ちるって言って、徐々にこのツーンが受けて来た。
すっきりさっぱり食べれる。
しかも栄養は色んな具材の天ぷら君が提供してくれているので食べやすいのに栄養たっぷり。
素麺と一緒につけ汁につけちゃうと、油が浮いて何となく甘味を感じる。
コクも出てる気がするってんで、大人気。
夏の間はお弁当は腐りやすいので売ってないんだけど、素麺ならお店の中で食べてもらうにしても回転率がとぉ~っても良い。
なので、昼間は素麺一択のランチ。
毎日素麺ランチ。
日替わりなんてありましぇん!
それでもツルツルと良い喉越しってんで、色んな人が食べに来る。
中には日参してくる強者も何人か・・・・。
私の拘りなんだけど、素麺にはピンクと緑色の麺がチラホラ入っている。
味に違いは無いんだけど、あの色ってちょっと可愛いじゃん。
食紅は使わずに天然の食材で色を付けてるから安心だしね。
でも、素麺そのものは私のスキルで呼び出しているのじゃよ。
だから、この夏だけで私の魔力は増えまくった。
だって、毎日魔法の訓練をしている様なものだからね。
食べる方は冷やした素麺だし、店の中も涼しく感じてもらえる様、あっちこっちに氷を置いているから、涼しいんだよね。
でも厨房は地獄なんだよ。
後から後から天ぷらを揚げないといけないホーメルおじさんは、水をごくごく飲みながらデニー君のお父さんに特注して作ってもらった天ぷら鍋2つの前に仁王立ちだよ。
おじさんがフラフラになってきたら、今度はリーブン君が代わりに天ぷら係になる。
これを毎日何回か繰り返しつつ、煉獄地獄を乗り切っているのだ。
炎の呼吸を取得しないとだねw
ちゅるちゅるるん。
いやぁ~やっぱり素麺は美味しいよね。
私も毎日お昼は素麺食べさしてもらってまーす。
あ~、ウマウマ。
そんな真夏のある日、ダラスお兄ちゃんが暗い顔をして帰宅して来た。
みんな自分たちの体力の方が大変で、誰もお兄ちゃんの暗い顔には気付かなかった。
でも、私は気づいたよ。
だって、真夏の暑い調理場に夜中まで居座るのは無理!
幼児は倒れちゃうよ。
だから、調理場が煉獄地獄になってからは、夜はちゃんと居間や私の部屋に戻ってる。
ダラスお兄ちゃんともう普通に会話できる様になってきたしね。
お兄ちゃんが居てもとっとと自分の部屋に入っちゃうしね。
でも、やっぱり居住区の方へ戻れば嫌でも顔を合わすので、その日お兄ちゃんが真っ青な顔で帰宅したのは見た。
体調でも悪いのかなと思って「だいじょぶ?」と聞いたけど、「大丈夫」とだけ言って、居間の長椅子に座ってビクとも動かないので、私は早々に自分の部屋へ逃げ込んだ。
恐らく、ファティマさんと喧嘩でもしたのかもしれない。
マリッジブルーなのかもね。
大体後、2ヶ月くらいで結婚式だものね。
って、こっちは結婚式って言うのは無いのだ。
男女2人が明日から一緒に暮らしましょうと決めたら、それが結婚。
王侯貴族ならいざ知らず、庶民は宗教的な結婚式は挙げない。
何故なら!
離婚にお金が掛かる事になるから。
この世界の宗教は結婚は認めても離婚は認めない。
教義に反するんだと。
それでもどうしても離婚したい場合には、目の玉が飛び出る様なお金を払って漸く離婚できる。
あ、このお金は配偶者への慰謝料ではなく、宗教団体に離婚をお目こぼし下さいという袖の下の様なモノだ。
庶民の唯一結婚式らしい行事って、新婚夫婦がお世話になった人やこれからお世話になる人を招待するお食事会くらいのモノだ。
ウチの店は、私のスキルで呼び出した調味料を使い始めて、結構な頻度でこのお食事会の予約を貰っている。
これがまた結構なお金になるのだ。
ケヘへへへ。
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