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反抗期幼女

 最近、この家の幼女は反抗期である!

 ダラスお兄ちゃんが仕事から帰って来ても、食堂の調理場から居住空間の居間へは戻ろうとしない。

 では、そんな時間まで調理場で働いているのかというとそうでも無い。

 ただ愚図愚図と、調理場で屯っているだけだ。


 自分を置いて家を出る予定のダラスお兄ちゃんに反抗しているのだ。


 中身は大人なんだから、家を出るまでは出来るだけ一緒に居れば良いものを、今奴の顔を見ると悲しさと怒りがこみ上げるので、大人しく調理場に屯っているのだ。

 どこかのお笑いタレントがやっていた様に、大人だろうぉ?と力瘤の無い左腕を前に出してみた。


 最近、ダラスお兄ちゃんは元気が無い。

 今こそ、楽しい楽しい蜜月期なんだから、素直にそれを喜べばいいのに何でだろうね?


 反抗期幼女は今夜もギリギリまで調理場で仁王立ちしているのだ。

 エッヘン!


 でも、夜になると食堂は飲み屋にもなる。

 ウチは宿屋ではないし、春をひさぐおねいさん達が働く様なお店ではないので、お酒は出ても淫靡な雰囲気にはならない。

 それでも酔っ払いたちが大きな声でワイワイやってる横に幼児が居るのはあまり教育上良く無い。

 鼓膜が破れそうだしね。

 ついでに眠いしね。


 そんで調理場の端っこに持ち込んでもらっている小さな長椅子とクッションに眠気に負けて幼女が横たわり眠っちゃうと、家の奥からダラスお兄ちゃんが呼ばれ、私を部屋まで運んでくれるのが最近のトレンドだ。


 この反抗期が始まって1週間くらい経った時、ダラスお兄ちゃんから「どうして居間の方に戻らないの?」って聞かれた事があった。

「ダラスお兄ちゃんはらいねんいにゃくなる。それぇになれる!」と、フンスと両手に力を入れて答えたら、「お前の負けだ」という謎のホーメルおじさんの言葉にダラスお兄ちゃんは項垂れただけだった。

 そして今に至る。


 私にとってダラスお兄ちゃんは親なのだ。

 母親であり、父親である。

 それなのに子供がこんなに小さい時に育児放棄して出て行くとなれば責められても仕方が無いのだが、ダラスお兄ちゃんは別に育児放棄している訳ではない。

 だって私の親じゃないからね。

 でも、ついつい責めたくなってしまうのはどうしてだろう?

 私は本当に寂しいんだからね!


 でも冗談ではなく、ダラスお兄ちゃんから親離れしなければ結婚をぶち壊したくなるので、まずは親離れを実現させる。

 それが私からダラスお兄ちゃんへの結婚のプレゼントだ。

 うっし!寂しい。

 それは分かった。

 寂しくて涙が出る。

 うん、分かった!

 でも、何をしないといけないんだっけ?

 親離れ!

 うん、頑張ろう!

 中身は大人なんだから、デキるでしょ?

 うん、デキる!


 最近の私は頭の中でこの問答を繰り返している。

 後、数か月でいなくなってしまうダラスお兄ちゃんから早く親離れした所を見せないとね。

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