学校にも行かなくちゃ
光陰矢の如し。
烏兎匆匆。
月日に関守なし。
歳月人を待たず。
サーシャは直ぐ育つ。
更にあれから2年が過ぎ、とうとう私は6歳に。
国の方針で6歳になった平民の子供は近くの教会にある学校へ行く事になるのだ。
私とマルクス君は同い年なので、同じ教会、つまり同じ学校へ通う事になる。
カルメンおばさんの所のマルクス君、かなりの美形だけど、まだお子ちゃまだから手足の長さは分からない。
言葉もまだ片言なので頭がいいかどうかは分からない。
でも、いつも生きたお人形扱いされてお姉さんたちにいじめ・・・・ゴホンゴホン、可愛がられていても、毎回可愛い笑顔でお姉さんたちに笑い掛けてるから、性格はとっても良いはず。
平民の子供は労働力でもあるので学校は週1回しかない。
でも、家のお店からはちょっと距離がある。
なので、カルメンおばさんか、マリアおばさん、時にはマルクスのお姉さんの誰か、高い確率でおしゃまなタタお姉さんになる事が多いのだけれども、一応、大人か大人に近い者に付き添われて学校へ行く。
そうしないと人攫いが怖いらしい。
まぁ、人攫い云々と言えど、私は美人には育たなかったので連れ去られる事はないんじゃないかと思う。
あ、いや、決して不細工ではないのだよ。
ちゃんと可愛いのだよ?
髪も結構育って来ていて、細い髪なんだけどバターブロンドの綺麗な髪なのよん。
目も鼻も口も形がいいし、あるべき場所に収まってはいるんだけどね、目だけが異様に大きいのよ。
日本の漫画のキャラクターの様にあり得ないくらい大きなお目目で、しかもキラキラなの。
漫画で見ると、目が大きいのは可愛かったりするけど、実際の人間で目が大きすぎるのはちょっと・・・・。
だから初対面の人が私を見ると、目しか印象に残らないらしい・・・・。
でも、でもっ、あり得ないくらいに形の良い綺麗な目なのよーーー!よーーー!よーーー!
思いっきり心の中で叫んだら、頭の中で木霊が帰って来てしまった。
コホン!
で、そんな可愛い私とマルクス君は学校の初日から毎回お手々を繋いでよちよちと学校へ通っているのだよ。
だから私たち二人はいつもセットなのだ。
そこへもってきて、隣の区から通っているちょっと小太り君のデニー君。
同じ年で何かの工房の跡取り息子らしい。
それと、彼の隣の家に住んでいる一つ年上のナタリーお姉さん。
私たちは大抵いつもこの4人でひっつきもっつきしている。
私はダラスお兄ちゃんに反対されながらも、短時間ではあるけど調味料を魔法で呼び出したりしてお店で働いているし、ナタリーお姉さんも両親が共働きらしく家事の真似事をしてるんだって。
でもデニー君は家業の工房へ立ち入るにはまだ年端もいかないと言われ、仕事は何もしていないらしい。
マルクス君は相も変わらずタタお姉さんたちの生きた人形をしている。
つまり仕事のお手伝いとかはしていないんだよね。
これってやっぱり女の子の方が男の子より精神的な発育が良いからこその現象かなぁ~。
まぁ、働いているって言っても一日2~3時間、それも気が向かなければ働かなくても良いよ状態なので、大手を振って働いてるとは言えないかもしれない。
それに夕方、ダラスお兄ちゃんが仕事場から帰宅すると、私はお兄ちゃんに蛭の様にくっついて回ってるものね。
15歳も年が離れていると、私が多少我儘を言おうが、何をしようが本気で怒る事が少なく、どっちかというと、私が怪我をしない様にとか、魔力を使い過ぎて気絶しない様にとか健康面をとっても気にしてくれていて、相変わらず保護者って感じなんだよね。
ダラスお兄ちゃんは最近仕事が定時に終わってもちょっぴり遅く家に帰って来る様になった。
遅いと言ってもほんのちょっとだけどね。
でも、その代わりと言っていいのか、リーブン君は家で働く様になっているので、彼の顔はしょっちゅう見るんだよね。
ハンサム君ではあるんだけど、ダラスお兄ちゃんの切れ長の目と違って、クリクリっとした真ん丸の御目目で、背はまだ少し低い。
いつもニコニコっとしてて、年上のおねいさんたちに可愛がられているのを良く見掛けるよ。
そして、6歳ではあっても女の勘ってちゃんと働いている気がする。
ほぼほぼ定時に帰ってくるダラスお兄ちゃんに虫がくっついてる、そんな気がするの。




