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パァパ~

 最近、私は引っ付き虫に変身中だ。

 ダラスお兄ちゃん専用の引っ付き虫だ。

 『ステータスオープン』騒動で中々定時に戻って来れなくなっていたお兄ちゃんが、漸く定時帰宅に戻ってからは必至にしがみ付いている。

 まぁ、それでもステータスのせいで、時々は残業にはなってるけど、その頻度は前に比べてたら可成り減った。


 私のステータスには、育ての親はダラスお兄ちゃんと明記されているのじゃ。

 親代わりはちゃんと毎日、赤ちゃんを可愛がらなくてはいかん!

 忙しいダラスお兄ちゃんの代わりに、共犯者パリスお兄ちゃんも色々とスキンシップを取ってくれたり、面倒を見たりしてくれるけど、ダラスお兄ちゃんは別格なのである。


 そして最近、私的には大きな事件が起きているのである。

 そう、恋する女の子という敵が出没したのだ。

 それも複数。


 『ステータスオープン』で一躍世間の脚光を浴びた元々イケメンなダラスお兄ちゃんは、役所勤務ということもあり、将来食いっぱぐれる事のない婿として有望株なのである。

 近所のおばさん連中が持って来る所謂見合いの話や、役所の出口で出待ちしている有象無象の女の子たちは全部漏れなく私の敵である。

 そこで私は一計をめぐらした。

 うしししし。


 ダラスお兄ちゃんが残業の日、パリスお兄ちゃんにダラスお兄ちゃんの御勤め先である役所まで連れていってもらった。

 残業が漸く終わりちょっとお疲れ気味のダラスお兄ちゃんが役所の正面玄関から出てくると、早速綺麗どころの女の子が4人程お兄ちゃんに群がろうとした。

 その時!

 シャキーン!

 私のやる気スイッチが入った!

 私を抱えるパリスお兄ちゃんの腕をパシパシ叩いて、ダラスお兄ちゃんの所まで連れて行ってもらい「パァパ~」と両手を差し出し甘えた顔をして見せた。


 その瞬間、役所の玄関は固まった。

 誰も動かなかったが、私が「キャッキャ」とダラスお兄ちゃんに笑いかけ、「クスクス」と笑うのを必死で抑えているパリスお兄ちゃんだけがさっさとダラスお兄ちゃんに近寄り、私を小包の様にポイっとダラスお兄ちゃんに渡した。


 こらこら、私は小包じゃないんだからね。

 丁重に扱いたまえ!


 そんな事を思っている間も、我に返った綺麗どころたちが蜘蛛の子を散らす様に去って行ったのを確認した。


 やった!勝った!

 ふふふふ。

 これで勝負はついたな!


 店までの帰り道、パリスお兄ちゃんは「こりゃもう、お前は此奴を嫁にもらうしかないぞ」と言っていた。

 そうだね、この世界ならこれくらいの年の差なんて当たり前だからね。

 マリアおばさんだってホーメルおじさんの10歳下だしね。


「いやいや、それはない」と懸命に否定しているダラスお兄ちゃんを冷たい目で睨みながら、私は今後の設計を頭の中で組み立てて行った。

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