魔法が使えるよ!2
その夜、私が眠った後にお兄ちゃんたちが仕事を終えたおじさんたちのステータスを確認したところ、以下の通りだった。
『ホーメル マリアの夫 40歳
体力 18
魔力 0
器用さ 8
素早さ 8
スキル:調理』
『マリア ホーメルの妻 30歳
体力 8
魔力 5
器用さ 9
素早さ 9
スキル:生活魔法』
そして更に遅くに帰宅したローレンス君にも確認したら、
『ローレンス ホーメルとマリアの三男 15歳
体力 6
魔力 0
器用さ 4
素早さ 1
スキル:調理』
という、ホーメルおじさんの下位互換みたいなステータスだったらしい。
その夜、ホーメルおじさんの家では臨時家族会議が開かれ、この大発見を役所に申請することになった。
ダラスお兄ちゃんがだけどね。
だって元々役所で働いているのだから申請手続きにも明るいだろうし、家族の中で一番頭が良いので他のメンバーから押し付けられた形だ。
ただ、申請するのは良いが『ステータスオープン』という言葉をどうやって知る事ができたのかを前もって考えていないと痛くない腹を探られる事になるということで、家族会議の議題は途中からどういう言い訳をするかに変わったらしい。
結局、私が赤ちゃん言葉で色々しゃべっているのを、こういう意味か?ああいう意味か?って遊び半分にダラスお兄ちゃんが確認していたところ、たまたま「ステータスオープン」と言う言葉に聞こえたので、他の言葉同様確認する形で復唱したところ、画面が開いたという事にするらしい。
それと私が元々発した言葉がステータスオープンであったかどうかははっきりしないという言い訳も考えたらしい。
うん!苦しゅうない。良きに計らえなのだ。
で、早速ダラスお兄ちゃんが役所に申請したところ、世紀の大発見ということで王城まで話が行ってしまったらしい。
まぁ、当然、そうなるよね。
で、ここの所、ダラスお兄ちゃんは役所でも王城への訪問でも絶賛残業増加中なのだ。
だから私はとっても寂しいのだ。
時々、変な赤ん坊だとか愚痴愚痴言いながらも私を可愛がってくれた人が側にいないんだもん。
滅茶苦茶不満なのだーーー!
カルメンおばさんが、「食堂の忙しい時間だけでも家で預かろうか?」と言ってくれたけど、お姉ちゃんたちのマルクス君の扱いを見ていたら命の危険を感じたので、大泣きをしてそれだけは回避したった。
エヘン!
で、ダラスお兄ちゃんの申請の後、国中でステータスオープンをした所、40人に1人の割合で魔法スキルを持つ者が存在する事が判明した。
ウチの家族は3/6、つまり2人に1人の割合で魔法スキル持ちが居るので結構珍しいのかも?
スキルの使用が一般的になると、偉い学者先生たちが色々と研究して、この世界ではスキルは使うぞと強い意志を持って発動しなければ使えないらしい事が分かった。
一見パッシブスキルに見ても、全部アクティブスキルらしく、確固たる信念を持って使うぞと思って初めて発動するのだ。
それは魔法スキルであっても、非魔法スキルであってもなのだ。
だから今まで御伽噺を聞いて、ああ、魔法が使えたら良いな~位で魔法を使ってみようとしても発動しなかったのだ。
スキルボードを見て、自分がちゃんと使えるって知らないと発動しないからこそ、今までこの世界で魔法が使えるとは思われていなかったらしい。
でも、一旦魔法が使えると分かると、世の中の動きは素早かった。
国は早速魔法部隊なんてものを騎士団の中に作ったらしい。
火魔法、水魔法、土魔法をスキル保持者を中心に団員を募集しているらしい。
何で火と水と土?なんて珍しく定時で帰宅していたダラスお兄ちゃんが独り言ちしていたので、「ひまほう、いりょく、つおい、みずまほう、へいし、のみみじゅ、いりゅ、つちまほう、じんち、ちゅくる」と教えてあげたら、一歳児に教わったと凹んでいた。
ふぉふぉふぉふぉ。
私に勝とうなんて10年早いぞ、若造よw
前世、おばさんだった私には敵うまい。ニヤリ。




