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伯父さんがプレイボーイだった件

7/17 誤字報告ありがとうございました。

大変助かります(*^^*)

「この国では、血の近しい三親等内での結婚は禁止されています。ことに及ぼうとすれば、国全体に掛かっている制約魔法で、一時的に氷付けになります。……1分程度なので、命には問題ありませんが………………」




侯爵令息ユージーンが、振られるのは10回目だった。


「また、ダメだったー。何でなんだよ!」


「それよりお前、何とかしないと消されるぞ!」


「どうして?」


「どうしてだって? お前の親父?の不貞が発覚し過ぎて、お前の歴代の彼女達の家庭がギスギスしてるからだよ。もう10人お前の異母姉妹が見つかったんだろ? 目茶苦茶だよ。


公になってないから良いけど、噂でも出たら彼女達の親に消されるぞ。隠蔽する為に!」



疑われているのは、ユージーンの父ジブリール。

金髪碧眼の海軍将校で、素敵筋肉の格闘も強く性格も良いハンサムな男だ。

現在36歳でも輝く美貌は衰えていない。

若い時はモテモテだったそうだ。


「俺の父上は、母上一筋だ。そんな軟派なことはする筈ないだろ?」


「じゃあなんで、ディープキスする度にフリーズしてんだよ。可笑しいだろ? ちゃんと親と相談しろよ。彼女達から母親の不貞が漏れれば、最悪死者もでるぞ。俺はお前の死ぬのを見たくない!」


瞳をうるうるして訴える友グライムスに、さすがのユージーンも言葉が詰まった。


「解ったよ、聞いてみる」


「そうしてくれ。もし隣国に行く時は、教えろよな」


「えー、待って。それって、逃亡するってこと?

俺、行きたくねーよ」




◇◇◇


なんてことで、晩餐時に父に即聞いた。


「父上、俺は付き合った子が、連続10人全員キスしようとしてフリーズした。俺の異母姉妹なんじゃない?」


父ジブリールは、口に含んでいたスープを盛大に吐き出した。


「馬鹿ヤロー、俺がそんなことする訳ないだろ? 昔からキャシー一筋なのに! 信じるよな、キャシー?」


母は一瞬ポカンとしたが、破顔して笑い出した。

「信じる、信じてるわよ、ジブリール。だってあの頃、ずっと隣にいたじゃない。近くに男が歩くだけで、威嚇してたのに、浮気なんて貴方には無理よ。くふふふっ」


「もう、そんなに笑わないでよ。恥ずかしいなぁ。

そもそもユージーンが悪いんだぞ。でも、フリーズかぁ? 何でだろ?…………………うーん、うーん、あ!」


いい年したおっさんが、顔を朱に染めて照れている。

初めてこんな父を見た感じだ。


「「オスカール(義兄さん)じゃない?」」


母と父が同時に言った。

誰だよ、それ?


父は疑問に答えてくれた。


「ああ、お前の伯父さんだ。腕の良い魔法医なんだが、女癖が悪くて、お前が生まれる前に廃嫡されたんだ。本当は俺は子爵位を継ぐ予定だったんだよ。本当、だいぶん人生設計狂った。キャシーにも負担かけたよね。ごめんね、愛してる」


何隙あらばイチャついてるんだよね、まったくもう。


「それで誰と付き合ってたって?」


ああ、言わないと駄目かぁ?

まあこの際だ、聞いてみよう。


「えーと、

ミシェル・サウナリー伯爵令嬢

アルメリー・ダウナー子爵令嬢

ミルキー・バイクニア子爵令嬢

ブーチェリ・アニマ侯爵令嬢

クレンチャ・バーパロス伯爵令嬢

ミランダ・ディーパー伯爵令嬢

サクラ・パポット子爵令嬢

テュナール・ワイス子爵令嬢

ジェリーナ・アングワス侯爵令嬢

ジュノン・サッチャーニコ伯爵令嬢


だよ」


「マジか、これ。みんな血縁かよ? 侯爵家3つしかないのに、2つ駄目か」


「伯爵家も4つ駄目なのね。たぶんこの令嬢達の上か下はセーフだと思うけど、もうその家の子とは付き合えないわよね」



落胆する父母に、俺は申し訳なくなる。


俺だって、一番目のミシェルと付き合えたら、きっと結婚まで行ったよ。

フリーズのせいで、何度も別れては付き合ったから、俺はプレイボーイみたいに言われてるんだよ。

いい加減にしてくれよ。


これが俺の心の声だ。

今、口に出せば、さらに混乱させちゃうから言えないけどさ。



「まあ、あれだ。お前にはガチガチの箱入り娘と結婚して貰うしかないな」


「そうね、それしかないわね」


一瞬他国の令嬢はとか聞きそうになったけど、オスカール伯父さんが何処までバラまいているか不明だから、言うのを止めた。


因みに伯父さんの容姿は、父から筋肉を落として身長を10cm位足した、金髪の長髪らしい。モデルかよ!


もう俺は、伯父さんがこの国からいなくなってから、数年後に生まれた子供か、ガチガチの身元のしっかりした子としか婚約出来そうにないと思った。


結果、父が探偵社に伯父さんの足取りを依頼し、はっきり結果がでるまでは、付き合うことも婚約もできないことになった。


もうこれ以上醜聞はさらせないと、父母から判断されたのだ。


「それにしても、10人付き合う前に言って欲しかったわ。心に傷を抱えた女の子達、大丈夫かしら?」


「その点は大丈夫。みんなノリの良い超美人だからさ。俺の後にも彼氏作ってたよ」


「ノリの良い、美形かぁ? オスカールの遺伝子だな」


「そうね。確かにノリで生きてたわね。またさぁ魔法医だから、病気治して貰ったら余計にブーストかかるみたいね」


「そうなのか?」


「そう言う話を聞いたのよ」


「そっか」


「そうなのよ」



俺は一瞬、最悪なことを考えた。

俺自身が、伯父さんの種なんじゃないかって。

でもさっき、父は母にくっついていたと言ってたから、それは除外することにした。


想像するの、普通に怖いよ。



ある科学者が、動物は自分の種を保存する為に精子をばら蒔くと言っていたけど、その点で伯父さんは最強かもしれない。


きっと結婚したりしていないだろうし。



◇◇◇


一年がかりで探偵が調査してくれた報告によると、伯父さんの子の可能性がある子は、100人にのぼると言う。

付き合った女性は、少女から熟女(未婚・既婚含め)1000人を越えているらしい。

どうなってんの? 伯父さんのその性欲、人間? 

淫魔とかじゃなくて?



俺は令嬢とのキスでフリーズしたが、伯父の子が令息のこともあり、結婚後にフリーズし離婚した例が既に2件出たらしい。

つまり異母兄妹だったということだ。


貴族家が揉める原因となるので、三親等以内の接触でフリーズする魔法を解除する法案が、最近可決された。


血の濃さより、貴族の家庭内の混乱を止めることを重視したのだろう。


俺自身、キスをしないと解らなかった。


もしかすると、結婚後にフリーズして離婚していたのは俺かもしれないのだ。


法律の施行開始は1年後だから、まだフリーズ状態は続いている。明らかな混乱を避けるなら、1年後から動いた方が良いかもしれない。


因みに探偵が調査してくれたから、俺は異母姉妹を避けることができるのだ。


だがどうせなら、気の合う人と結婚したいなと思う。

 

このリストがあるから、選択肢が狭まったことは否めない。




そして伯父さんは、娘が婚姻無効になった母親に刺されて死んだらしい。いくら腕の良い魔法医でも、負傷した状態では治療出来なかったようだ。



会ったことのないオスカール伯父さんは、100人以上の子供を作り、三親等以内の結婚を防ぐ国の制約魔法を停止させ(法律を変え)、貴族家庭を陰から混乱に陥れた。


そして刺されて死ぬと言う表の新聞にも載り、伝説を作ったのだった。



「安心してよ、伯父さん。伯父さんの遺伝子は、ずっと生き続けるだろうからさ」





お墓に戻ってきた伯父さんに、僕はちょっとだけ嫌みを言ったのだ。






ん、待てよ。

伯父が原因なら、何故俺は彼女達とフリーズしたんだ?


いとこなら、四親等じゃない?


じゃあ、やっぱり彼女達は父上の子?

若しくは、母上と伯父さんが俺の……………


うわーーー、もう良い。

これ以上、考えない。



どうやら探偵社の調査は、役に立たないかもしれない。

なんてこったい。



ジブリールは三親等とか四親等を、大雑把にしか解っていないです。


5/29 10時 日間ハイファンタジー(短編) 49位でした。

ありがとうございます(*^^*)

16時 14位でした。ありがとうございます(*^^*)♪

22時 12位でした。やったぁ( ´∀`)♪

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